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難聴のこと

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感音性難聴のため、補聴器をつけています。
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『ききみみずきん』

『ききみみずきん』

 まだ、読み聞かせボランティアを始めたばかりの頃、小学校高学年の読み聞かせで、なんの絵本を読んだらいいのか、迷っていた。その時、お仲間のひとりが、「昔話がおすすめ、意外にみんな知らないから」とアドバイスをくれた。

 それからは、積極的に『ききみみずきん』を読むことにしている。みんなにも、このおはなしを知ってもらいたくて。広松由希子さん作、降矢ななさん絵、岩崎書店のものだ。

 今年度から、朝の読

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聞こえにくいって、どんなふう?

聞こえにくいって、どんなふう?

 わたしは中等度難聴者だ。両耳に補聴器をつけている。

 聞こえにくいことを、誰かに説明することって、難しい。長年、どんなふうに説明したら、わかってもらいやすいだろうかと、考えてきた。聞こえを見えることに例えたらいいのかも。思いついたのは…

 「ところどころ、滲んで読めなくなった文字がある、本」を読むこと。

 だから、前後の文字から、内容を想像する。しかも、この「本」の文字は、体調などで、滲む

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姫路おでんとえきそば、それからアーモンドバター in美容院

姫路おでんとえきそば、それからアーモンドバター in美容院

 今のわたしの髪はショート。髪を伸ばしたい気持ちはあるが、髪の量がとても多く、いつも途中で挫折する。ショート丈でも、癖があるので、すぐにまとまらなくなり、こまめに美容院に行かねばならない。

 美容院は苦手だ。何が困るかって、補聴器を取らなくちゃならないから。聞き返しが増えるから、お相手に申し訳なく思う。ただ、今はそこまで困らずに通えている。腕がよく、またわたしにはきこえやすい声の美容師さんを見つ

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声出してこー!

声出してこー!

 小学校の高学年のころだったか、国語の授業で、ひとりひとり朗読を発表することになった。記憶があいまいだが、たしか鹿が出てくる物語だったと思う。声を出して読むうちに、とても楽しくなってきて、何度も何度もしつこく読んだ。

 発表の日、あがり症で吃音があるわたしだったが、自分が満足する朗読ができ、とてもとてもうれしかった。一時だけれど、別の誰かになれるような気もしたし、その物語をじっくり味わえて、楽し

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明日からパート始めます!

明日からパート始めます!

 「少し前、こんな募集があったの。この募集を見たとき、真っ先に、muちゃんが目に浮かんだんだよ。」

 7月頭、親友から、もらった言葉がきっかけだった。

 小学校の低学年さんたちを、放課後の数時間、学校内の教室で見守る仕事だ。週1日から3日ほどの勤務になる。夏休みだと、午前中の半日ほどを、見守る日もあるらしい。

 また、子どもに関わる仕事をやりたい。少し前から、漠然と、そう思うようになった。息

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補聴器購入をご検討の方へ✨

補聴器購入費用は医療費控除の対象となっています。詳しいことは以下のサイトからご確認ください。

https://www.jibika.or.jp/modules/hearingloss/index.php?content_id=7

補聴器をつけて、そのきこえに慣れたら、世界は変わります。あなたのおきこえが、少しでも楽になりますように!

新たな音の世界

新たな音の世界

 10年ほど前のこと。

 補聴器のきこえに慣れてきたころ、きこえてきた音たち。

 特に、わたしの印象に残る3つは…

 ひとつめは、炭酸水の「シュワーッ」の音。

 はじめてきいたとき、ものすごく、胸が弾んだ!それからは、炭酸水を飲む前に、グラスを耳元に寄せ、微かな音を楽しむようになった。泡が弾ける「ぷつぷつ」もゆっくりと味わう。頬に当たる「ぷつぷつ」が、冷たくて、気持ちがいい。

 「シュワ

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補聴器を10年使ってみて

補聴器を10年使ってみて

 わたしは、両耳40〜65dB(デジベル)、中度の感音性難聴だ。高音域ほどきこえにくい。

 感音性難聴は、脳内の内耳や中枢の聴神経に障害がある場合に起こる。薬物療法が難しく、そのため、補聴器などで聴力を補い、生活する人もいる。

 10年前、わたしは日常生活での会話にも困るようになり、補聴器をつけ始めた。 それから、耳掛け式の補聴器をずっと使用している。今の補聴器は2代目だ。

 補聴器使用10

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耳雨 (じう)

耳雨 (じう)

 『音のことのは WORDS of SOUNDS』という本を、図書館で借りて、読んでいる。

 音、言葉の響きを世界のあちこちの風景と共に、楽しむことができる。その中で、ふと、目に止まった言葉があった。

 「耳雨」と書いて、「じう」と読む。

 耳の中の雨。経験された方もみえるだろう。耳鳴りのことだ。

 耳鳴りと言うよりも、素敵に感じる。耳鳴りに困った人が、昔にもいて、こんな言葉を生み出したの

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このままがいい

このままがいい

 ある日。
 スーパーで新玉ねぎを手にしたとき。

 「あら、もう新玉ねぎがあるのね。やわらかくておいしいわよね。」

 銀髪を美しく結った人に、ふいに話しかけられた。そうして、話し始めたら気づいてしまった。彼女は耳が遠いのだと。

 わたしは彼女の真正面から、身ぶり手ぶりを交えて話す。はっきり発音するようにも心がけたが、やはり聞こえにくいのだろう。何度も聞き返される。たび重なると、彼女は申し訳な

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覚えていてね

覚えていてね

 10月半ば。
 夫が休日の朝。

 夫の顔色がいつもとは違うと気がついた。
 思わずわたしは、夫の二の腕を鷲掴みにする。

 こうすると、掴んだ相手に熱があるかどうかがわかる。わたしが平常運転であることが前提だ。

 うーむ。いつもより体温が低い気がする。疲れがかなり溜まっているみたい。これは、体調不良になりかけているな。

 夫に「今日は一日ゆっくりするべし」と強めに告げる。夫は「超能力みたい

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一短一長

一短一長

 玄関ドアに、喫茶店のようなゴロンゴロンと鳴るドアベルをつけたい。今ついているのは、リンリンリンとさわやかに鳴るベル。この高い音が聞こえにくくなってきた。わたしは難聴持ちだ。

 両耳に補聴器をつけて、早9年。

 毎朝、身支度を整えたら、メガネより先に補聴器をつける。ぼんやりした世界がはっきりする。いろいろな音が入ってくる。

 朝の家事をバタバタすましてから、録画してあるドラマを息子とみる。テ

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難聴のわたしと補聴器

難聴のわたしと補聴器

 40代半ばのわたし。
 補聴器を両耳で使い始めてからまるっと9年になる。

 子どものころから聞こえは悪かった。内緒話は聞こえず、いつも肩身がせまかったし、大人数での会話は聞き取ることが難しく、あいまいに笑ってごまかしていた。

 話相手の口を読んだり、わからないところを想像で埋めたり。たまごアレルギーをなまこアレルギーだと信じこんで、会話に参加していたこともある……。

 注意深く聞くことは実

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