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『銀河鉄道の夜』3回目(七と八)
賢治さんは、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と言われていました。それはつまり、「みんなが幸せになれば、自分も幸せになれる」ということなのでしょう。 みんなを幸せにするために、日蓮宗の布教をされたり、農民のために無料の私塾を開いてみえました。童話を書くことも、そのひとつだったかもしれません。わたしには、賢治さんの「幸せ」のひとつが、童話のような気がするのです。 賢治さんの童話との出会いは、尋常小学校時代、担任の先生に読み聞かせをしてもらったことからでした。その時に童話の面白さに目覚め、それからお話を書くようになり、自分が書いたお話を、家族へ読み聞かせもされていたようです。 音楽もお好きだった賢治さん、どんな風に読み聞かせをされていたのか、非常に気になります。きいてみたかったなぁ。リクエストできるなら、『風の又三郎』がいいです。 わたしは、お話を読んで、その世界に浸っているときには、自分の人生を少しお休みできるような気がします。お話で知った物事で、自分の世界が広がったり、自分では持てない視点に気がついたりもします。 また、お話を創る側から考えると、自由ですよね。現実では、ままならないことでも、出来ちゃいますものね。それは、創作全般に言えることでしょうか。 さて、今回のお話で、ジョバンニとカンパネルラは、不思議な人たちに出会います。この人たちは、どこに住んでいる人なのでしょうか。何をしている人なのでしょうか。そして、どこへ行こうとしているのでしょうか。 ジョバンニカンパネルラは、旅が進むうちに、その不思議さが当たり前に、思えてきたようです。この世界に馴染んできたからでしょうか。 作中では、「はるれや」と、乗客の方々が祈りを捧げる場面があります。節が出てきたので、また歌ってみました。 『銀河鉄道の夜』3回目(段落七と八)、お楽しみいただけたら、幸いです。 よろしくお願いいたします♪
『銀河鉄道の夜』2回目(四から六まで)
『銀河鉄道の夜』2回目は、段落の四から六までです。ジョバンニたちが見上げただろう、天の川まではっきりと見える満天の星空は、とても美しかったのでしょうね。 満天の星空というと、学生時代に仲間たちとよく訪れた、御嶽山のふもと、長野県王滝村の星空を思い出します。月がない空一面に星が光り、ぼうっと天の川もあるのです。いつもはすぐわかる星座でも、星がありすぎて、よくよくみないとわかりませんでした。 最初は、天の川を雲とみまちがえていて、それが天の川だと気がついたとき、ものすごく感動して、その場から動けなくなりました。 そんな星空を、寝転んで、じっと見ていると、まるで、自分が宇宙に浮かんでいるような気持ちになるのです。時折、流れ星にも会いました。星座早見盤で、銀河や星雲星団を探しながら、望遠鏡でみたりもしました。晴れていれば薄明近くまで、星空を楽しみました。 賢治さんが、星を宝石に例えられるのが、とてもしっくりとします。惑星以外の星は、キラキラと瞬いてみえますよね。まさに、満天の星空は無数の宝石が入っている宝石箱のようです。 さて、ジョバンニとカンパネルラの旅が始まりました。線路脇には、星のりんどうの花が咲き乱れているようですよ。さぁ、ご一緒に出発です! おやすみ前のおともにしていただけたら、うれしいです。宝石箱のような星空を思い描きながら、お楽しみください。 どうぞよろしくお願いいたします♪
『銀河鉄道の夜』1回目(一から三まで)
この8月半ば、『銀河鉄道の夜』のほとんどを朗読して、カタチにしたのですが、よくよくきいてみたら、肝心なところを読み間違えていて、最初からやり直すことにしました。 それで、どうせならと、子どもの頃に観たことがある、1985年公開のアニメ映画『銀河鉄道の夜』を、もう一度観たり、物語にまつわることについて調べたり、また、このお話しの根幹にあたるだろう、幸せについて、考えたりしました。 幸せって、当たり前にあって、いつもは気がつきにくく、どちらかというと、しんどいときに、過去を振り返って、「あの時は幸せだったんだなぁ」と、わかるような気がします。でも、ちゃんと意識したら、たった一日の間でも、ささやかな幸せはたくさん見つかりました。 誰かの幸せを願う前に、まずは自分が幸せになることが必要で、自分が幸せであれば、周りにもふんわりと伝わって循環すること、また物事の捉え方によっては、いつでも幸せを感じられることに、気がつきました。 それで、タイミングが来たみたいだと思って、段落の一から三までを一気に読んでみました。そうしたら、力まずに、スラスラと読めるではありませんか!ほとんどやり直しをせずに、読みたいように読めました。ただただ驚いています。 また、数日前、りんどうの切り花を見かけ、思わず買いました。『銀河鉄道の夜』にも、りんどうの花が出てくるんです。まだ蕾のりんどうでしたが、もう秋の入り口に来ているんだと、しみじみしました。お気に入りの花瓶にいけたら、その日の夜のうちに、ふんわりと蕾が開きかけました。花は蕾よりも、柔らかな色合いです。ますますうれしくなって、朗読の写真にしました。 さて、『銀河鉄道の夜』の1回目の朗読です。朗読がカタチになって、とても幸せです。後、5回ほど続く予定です。自分のペースでまいります。 どうぞよろしくお願いいたします♪