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成長

私は数年前まで、
日本にはいくつもある「松風」という
町に住んでいた。
その時の生活を思い出してる。


松風での生活の始まりは、
朝からドラマ。
ドラマが大好きで、
アルバイト先の店長の奥さんと
いつもドラマの話で盛り上がってたぐらいすき。
ニュースを見たいという気持ちと、
ドラマが見たいという気持ちが競り合い、
大体ドラマを見てた。

まず朝起きる。
テレビをつける。
決まってめざましテレビ。
他はしっくりこない。
メイクスタート。
この段階で、めざましテレビからドラマに変える。
学校に行く前もドラマを見る。
CMを飛ばせば一本見れる時間には起きてた。
たくさん録画して、
興味のあるものだけを少しずつ厳選していく。
溜め込んでいる中から、
選んで見る。
ワンクールの中でそのうち、
お気に入りのドラマが見つかる。
それを小さな楽しみにして1週間を過ごしてた。

もちろん、
当たり前に家を出られると思ったら大間違い。
登校できない日は週に1回から5回。
そう。まるまる1週間登校できない日もあった。
1週間まるまる行けたら友達に褒められてた。
出勤できない日もあったけど、
学校より全然行ってて、
なんなら
出勤出来なくなってしまった子の代わりに
たくさん出てた。
生活があったから。
学費もあったしね。

あの町での生活の中には、
絶望と虚無、
それしかないと当時は思ってて、
黒歴史だと思ってた。
これ以上の地獄は無いだろうと。
いつか報われるんだと。

でも、
その後に起きる新しい地獄を私は知る由もなく
人生を進めていく。
人生地獄が平常運転。

今思えば、
あの生活の中には目に見えて
「キラキラ」したものなんてなかった。
でもね、
確かにそこにはたくさんの思い出と、
努力と、
勇気と、
経験と、
自分があった。
そんな日々を、私は愛していた。すきだった。

失って気づくとはまさにこのこと。

きっと今の暮らしも、
未来の私の、愛する生活になるんだと思う。
なってくれたらいいなって思う。

幸せな思い出が、
絶対に叶えたい約束が、
それがあれば、もうちょっと生きてみるかって
生きていく理由にできる時がある。

もうちょっと、あとすこし、頑張ってみようと思う。

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