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エッセイ・コラム

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2022年9月の記事一覧

やはり直接会うのがいいねって話

やはり直接会うのがいいねって話

新型コロナウイルスでいろいろと騒ぎ始めてから、あっけなく2年半が過ぎてしまった。
いつぞやは緊急事態宣言で町がすっかり閑散としていたものだが、いまでは賑わいを取り戻した。
健全になったと思う。

そういえば昨年ごろだったか、都や区の職員が渋谷なんかで外出自粛を町に繰り出してよびかけているというニュースをよく見た。そのとき、政治家の考える対策など「やっている感」でなんとかなっているのだとしみじみ感じ

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中学生のころに出会ったキャリア学習の講師のはなし

中学生のころに出会ったキャリア学習の講師のはなし

中学生のころ、キャリア学習をする時間があり、その時に何度か講師を招いて話を聞くという機会があった。
そこで確か、ハローワークで就業支援をしていたか何かしていた、「岸さん」というおじさんが来たことがあった。
ゆっくり・もったりとした癖の強い話し方をしている人であったのでよく物まねをしてバカにしていたのだが、曲がりなりにも仕事をするような立場になってみると、結構まともなことを言っていたような気がしてい

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振り返ればそこには越えてきた壁がある

振り返ればそこには越えてきた壁がある

努力して得た結果が、時間の中でいつの間にか環境になることは少なくない。

例えば、小さいころ必死に歩こうとしていたのに、いざ歩けるようになるとそれが普通になるような話だ。
考えても見てほしい。
普段の生活で「歩けた!」と喜ぶことが、健康な男女にまずあるだろうか。

ほかにも、受験に合格したときには一つの山を越えたように感じられ、それが非常に特別で「やってやったぞ」という気持ちになる訳だが、暫く経っ

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「袋とじ」がもたらすこころがわかるのが大人である

「袋とじ」がもたらすこころがわかるのが大人である

この間職場で、何の気なしに雑誌の「FRIDAY」の袋とじを開けた。素手で乱暴に開けて、中をみていたその時、「初めて袋とじを開けたのっていつだっけ?」という思いに至った。
記憶をたどると、わたしは「ヤングガンガン」が初めての袋とじだったような気がする。

初めて袋とじを開けるとき、今のように手で無造作に開けたりはしない。
指示通りはさみで丁寧に開けるものだ。

そして、何より特徴的なのは、あのときの

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人生の「通学路破り」をしよう

人生の「通学路破り」をしよう

小学生のとき「通学路破り」なんて言葉があった。

今思えば別に通学路なんてどうということはないのだが、安全の確保という点でも一応は作っておかねばならず、そして何より当時の我々にとって「通学路破り」の罪は非常に重いものであった。

通学路と異なった道を行こうものなら先生に密告されることも少なくなかった。ましてその罪が友人にばれたら自分にとっての弱みにすらなって、拙い交渉の道具になってしまうこともあっ

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「なんで勉強なんてすんの?」

「なんで勉強なんてすんの?」

大人であれば誰しも、思春期というものを体験している。

子供から大人になるその過程で、世界や日本といった、自分より大きなものへの疑問がわいたり、はたまた自分の存在意義といった観念的な世界にも身を投じる時期でもある。

こうした日々の中で誰しも一度は先生に投げかけたギモンがある。

いろんな先生がこの疑問に答えてきたものの、そのたびに私は首を傾げ続けるばかり、答えにたどり着けないまま何年もの月日が経

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賢者タイムと死ぬことと

賢者タイムと死ぬことと

三島由紀夫のエッセイで、『新恋愛講座』なるものがある。この中に、「終わり」について書いている「おわりの美学」なる章がある。
OLのおわり、恋愛のおわり、などまあそれは様々なおわりなわけだが、そのうちに「童貞のおわり」というところがある。

初めの方に、男にとって童貞であることは恥ずべきことであり、それを誇る年頃の男は嘘をついているか相当の変わり者のどちらかだ、ということが書いてある。男などだれしも

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修学旅行でカレーを食べると必ず嘔吐する児童がいる不思議

修学旅行でカレーを食べると必ず嘔吐する児童がいる不思議

小6の時、修学旅行初日の夕食で、カレーが振る舞われた。
先生が「くれぐれも食べ過ぎぬように」と注意したが、当然小学生なので聞いていない。
結果、違うクラスの太った男子児童が食堂で派手に嘔吐してしまった。
そのあとの展開は推して知るべしである。

なぜひとは注意されたことをわざわざやるのだろう、と嘔吐した児童を見て不思議に思った。
「吐くから食い過ぎるな」と言われているのに、「食い過ぎて吐く」という

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「突飛な意見を持つことを恐れるな。今日認められている意見は皆、かつては突飛だったのだ」

「突飛な意見を持つことを恐れるな。今日認められている意見は皆、かつては突飛だったのだ」

クルマ離れ、結婚離れ、読書離れ、旅行離れ――現代の若者はたくさんのモノから離れはじめているという話を聞いて久しい。

あらゆるものから離れた先にあるものは自由だ。
恋人や婚約者がいなければ自分勝手に動いて何も文句を言われることはない。
クルマがなければ管理する必要もない。無駄な税金を払うこともない。
旅行から離れれば、煩わしいトラブルからも自由になる。
本から離れたら他者の思想から自由になれる(わ

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最後は紙になる不思議

最後は紙になる不思議

デジタル化が進んだ世の中にあって、一つ不思議に思っているのが「最後には紙になる」ということだ。

YouTuberが人気が出てきたときに、きまって本を出したりする。
「小説家になろう」など、ウェブからデビューした作家も、大体紙媒体の本を出す。
新聞記者としてもまずは電子版に出して、そのあと紙になるというプロセスを経ることが多い。

これは単に、出版社が確実に売れるひとに書かせて儲けたいという狙いも

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