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「普通」が映し出す社会



「普通」


この言葉以上に
その時代の社会を表す言葉は
ないと思う。






2022年現在では、

常にマスクをすることが「普通」
リモートでのお仕事が「普通」
マッチングアプリでの交際・結婚が「普通」


以前はどれも
「普通」ではなかった状況・事だろう。





10年前であれば、

常にマスクをした人は
「風邪なの?」と心配され、

仕事は出勤・出社が当たり前、

マッチングアプリは
出会い系と呼ばれていたのではないだろうか。





また、
さらに時代を遡って(さかのぼって)みると

男子中学生は全員坊主が「普通」
普通列車の灰皿設置「普通」
部活中の水飲み厳禁は「普通」

そんな「普通」がある時代だった。







普通という言葉には本来、

「特に変わっていないこと。
ごくありふれたものであること。
それがあたりまえであること。
また、そのさま。」

という意味がある。


社会においては時間とともに
大衆に受け入れられ、浸透し、
「普通」という風潮、空気ができあがる。




普通が次の時代の
普通に移りかわるとき、

かつてテレビが
アナログからデジタルに
切り替わった時のように、

大衆はそのチャンネルを
変えざるを得ない。


次の普通に適応しなければ
何のビジョンも見ることができず、
かつてあった普通という名の「空気」に
留まってしまうのだ。


新しい空気はきっと軽く、
古い空気はきっと重いものだろう。






以前、共感覚の私が
「普通」という言葉を視たとき、
まるでテレビの砂嵐の画面のように
文字が白黒に歪んで見えた。


普段の私であればは文字から
カラフルな色味を感じるのに
ここまで白黒なものは初めてだ。



だが、
この文章を書いていた私は今
腑に落ちた。




「普通」という言葉は
テレビのようなもので、

社会の普通が新しくなると
チャンネルを変えなければいけない。

でなければ
かつての普通は映らなくなってしまう。


ということを
私の共感覚は
言いたかったのだろう。






「普通」という言葉は、
表向きの軽い言葉の意味の奥に
より重いメッセージ性を秘めている。


その時代の社会を表し、
きっとより良い時代のために
刷新し続ける言葉。






今のところ、
私のテレビはちゃんと映っている。


しかし、
明日にでもチャンネルを
変えなければいけないかもしれない。


砂嵐の画面のまま居続けるのか、
新しいビジョンを見るのか。



チャンネルを変えるリモコンは
しかと握っておきたい。




そして、

誰かにこのリモコンを
操作されないためにも

しかと自分の手で
握っておくのである。











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