葛島裕士

Gifu→Nagasaki (24)

葛島裕士

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    そっと栞を挟みたくなるような、そんな素敵な記事をまとめています。 時折、その栞を頼りに読み返させていただきます。

  • みんな主人公計画ライティング・ゼミ 2024

    • 8本

    個人の語りを聴き、人生を紐解く営みについて学びあうゼミ。ライフストーリーやみのうえばなしにフォーカスしたライティング文化をつくる「みんな主人公計画」プロジェクトです。

記事一覧

一人旅で石巻に行ったときのこと

「ドーンという音がして瓦礫の波が校舎にぶつかったんです。ここに火が回るもの時間の問題だと思いました。」 そう言って、当時、門脇小学校の教頭をされていた先生が見せ…

葛島裕士
2週間前
176

初めての個展の振り返り

今年の1月に写真展『ヴィクトリア湖と生きる / Life at Lake Victoria』を開催させていただきました。 あれから半年が経ち、冬も春も終わり、梅雨も終わろうとしています…

葛島裕士
4週間前
45

ほんとうのことば | ある日の日記より

「僕、梅雨が好きなんですよね」 そう声にして言ったのは初めてだったかもしれない。 言い慣れないことばのざらつきを舌で感じる。どうしてこんなことばがぽろっと出てき…

葛島裕士
1か月前
21

梅雨、独りの部屋で雨音に祈る。

夜勤バイトから帰宅し、シャワーを浴びる。きっとこんなことが去年もあった。冷凍ご飯と一昨日作った豆腐のガレットを温め、碧く薄暗い部屋の真ん中にぽつんと置かれた折り…

葛島裕士
1か月前
18

歩くこと、書くこと

気がつくといつも山道を歩いている。 去年の冬の一人旅、瀬戸内海に浮かぶ豊島の山の中をひたすら歩き、その数日後には、奈良県十津川村にある玉置神社からの帰り、山麓ま…

葛島裕士
1か月前
25
一人旅で石巻に行ったときのこと

一人旅で石巻に行ったときのこと

「ドーンという音がして瓦礫の波が校舎にぶつかったんです。ここに火が回るもの時間の問題だと思いました。」

そう言って、当時、門脇小学校の教頭をされていた先生が見せてくれたは「燃えている家が校舎にぶつる」その言葉のままの写真だった。

去年の夏休み、一人旅で初めて東北を訪れた。
盛岡から仙台に向かい、朝一で石巻に移動した。たまたま大学の同期で、東北出身の友人が石巻にいるということで、石巻で落ち合い、

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初めての個展の振り返り

初めての個展の振り返り

今年の1月に写真展『ヴィクトリア湖と生きる / Life at Lake Victoria』を開催させていただきました。

あれから半年が経ち、冬も春も終わり、梅雨も終わろうとしています。この半年の間、何度もこうして個展の振り返りを文章として残そうと思いつつ、なかなか頭の整理ができないでいました。しかし、ありがたいことに2回目の個展の開催も決まり、ここで一度、初の個展について区切りをつけようと思い

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ほんとうのことば | ある日の日記より

ほんとうのことば | ある日の日記より

「僕、梅雨が好きなんですよね」

そう声にして言ったのは初めてだったかもしれない。
言い慣れないことばのざらつきを舌で感じる。どうしてこんなことばがぽろっと出てきたのだろうか。

◇◇◇

6月29日(土)
傘が手放せない日が続く中、063Coffeeで第3回のライティング・ゼミが開催された。店内に入ると、この日の参加者はすでに揃っており、僕が最後の一人だった。

第3回のテーマは「聴く」こと。

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梅雨、独りの部屋で雨音に祈る。

梅雨、独りの部屋で雨音に祈る。

夜勤バイトから帰宅し、シャワーを浴びる。きっとこんなことが去年もあった。冷凍ご飯と一昨日作った豆腐のガレットを温め、碧く薄暗い部屋の真ん中にぽつんと置かれた折りたたみ式の小さなテーブルでぽつぽつと朝ご飯を食べる。カンカンと雨粒がベランダの床を打っている。
普段はコンセントを抜いているテレビの電源をつけ、音量を「0」にする。そして、『言の葉の庭』を再生した。

毎年、梅雨になるとこの映画を思い出す。

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歩くこと、書くこと

歩くこと、書くこと

気がつくといつも山道を歩いている。
去年の冬の一人旅、瀬戸内海に浮かぶ豊島の山の中をひたすら歩き、その数日後には、奈良県十津川村にある玉置神社からの帰り、山麓まで3時間、山道を下った。春の台湾一人旅、観光客のいない田舎の山道をひたすら歩いた。大学の当直実習の明けの朝、「長崎の先に行きたい」とふと思い立ち、樺島までバスで向かった。長崎の先に立つ、樺島灯台まで1時間、雨がぽつぽつと降る中、イノシシの背

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