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大学の話

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大学に関することのあれやこれ
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2020年1月の記事一覧

知りたい思いの片思い

ちらほらと、定年退職される先生の最終講義が開かれるようになってきた。
あまり接したことのない先生だと、もうご定年のお年だったのか、と驚くことも少なくない。

学内の先生の場合はなるべく聴講させていただくが、いつも思うのは、先生の為人やこれまでの人生や教育・研究について、できれば最後の最後でなく、もっと前に知っていたかったなということだ。

なんというか、いい本を読んだときに、もっと前にこの作家さん

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学会にくるアンケートに思う日本の未来と少子化

学会にくるアンケートに思う日本の未来と少子化

 学会からアンケートに答えてくれ、という一斉メールがきた。そういえば前も似たような案内がきていたような気がするな、と思ってアンケート先を開いてみたら、男女共同参画とダイバーシティに関するアンケートだった。まぁ、テーマはいいんだけどね。ただ、これに対応するために各学会内でも委員会を立ち上げろとか、WG作れってなって大学と二重に仕事が増えていくんだろうなという暗い未来を予想して憂鬱になる。こんなんなら

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学者の学者による学者のための学問

学者の学者による学者のための学問

誰も読まない論文
自分はアメリカで政治学を修めたのであるが、実はそのアメリカ政治学にあまり愛着を抱いていない。これは自分一人だけじゃない。いっしょに勉強した仲間の多くは、少なからず自分の選択に疑問を抱いていた。大学の先生にでもなって飯を食えるようになった者だけは、なんやかんやと飯の種の効用に後知恵の理屈をつけるが、それ以外はみんな惜しげもなく学んだ内容を忘れていく。そうしておいて何の支障もない。

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卵を運ぶ

センター試験というのは、そうとうな気遣いをもって運営される。

会場の大学で2日間で動員する人員は、自大学の入試のときより多い。
いつもより暖房も焚くし照明も明るくするし、看板や掲示や試験室の設営も細かくやるし、車や人の動線を規制して不足なく人を置く。
センター試験にはほとんどの教職員が関わり、役割を持つことになる。(ので、センター対応で初めて顔を合わせる教職員も結構いる)

センター試験の運営の

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卒業は意外と大変

大学で教務的なところに関わって思ったこと。それは、世間でイメージするより、大学をすんなり卒業するというのは大変だということだ。同じ年に入学した学生が全員揃って4年で卒業する、なんてのはまずない。休学もある。留年もある。退学もある。意外とある。結構ある。

よく、日本の大学は遊んでいても卒業できる、みたいな論調の言説があるのだが、実際はそんなことはない。ほんとうに何もせず遊んで卒業できる大学は、ない

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アナザースカイ

アナザースカイを録画しておいて疲れたときにたまにみるのだが、見終わると私のアナザースカイはどこだろうか、とよくぼんやりと考える。
今答えるのだったら、たぶん大学時代を過ごしたあの街だろうな、と思う。

それはとある城下町で、私の生まれたところにも小さなお城があったが、それよりはるかにはるかに大きな城下町で、大学はお城の近くにあった。

研究室や家で悶々としたり鬱々としたり哲学的なことを考え出してど

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