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もらいタバコ
同名の小説のテーマソングとしてつくった曲です。 これは自分でうたってみた版です。 Synthesizer Vの花隈千冬ちゃんver. https://www.youtube.com/watch?v=TovUHVhd-Wc …
有料メンバーシップ終了のお知らせ
管理が煩雑になってしまったので、noteでのメンバーシップを廃止します。
今後はpixivFANBOXでの更新が主になります。
noteでの短編小説単体での販売は継続しますが、これ以降はあまり更新しないと思います。
小説と関係ないエッセイなどはたまに更新するかもしれません。
たびたび変更して申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(2−4)
「お会計、お願いします」
いつものイベント終わり。ライブバーの閉店時間を迎えて、私たちは帰路に着く。といってももう、深夜0時。もうとっくに終電はなくて。
「オールしようよ!」
週末の夜だからと、酔っ払ってご機嫌の深青に連れられて。私と惟さんと、3人でカラオケに向かった。
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(2−3)
ため息をつくように、白い煙を吐き出す。私がすっかり喫煙者になってしまったのは、元彼がタバコ嫌いで、ライブ帰りでタバコの匂いのついた私と盛大に喧嘩して別れたから、その反動で。
……というのは建前の話で、実際のところは違っていた。
あのライブイベントのあと、私は深青のほかに惟さんのライブにも顔を出すようになっていた。
惟さんは同じライブバーで毎月ライブイベントを開いていて、すっかり惟さんのフ
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(2−2)
その人に初めて出会ったのは、深青の出演するライブイベントでのことだった。
その日深青と一緒に演奏をしていた、惟さんというギタリストの女性だった。
「初めまして。惟です」
小さなライブバーのカウンターに座り、ボンベイサファイアの青いボトルを開けて。ただタバコを吸っているだけでも、なんとなく絵になるミュージシャン。痩せ型で背が高くて、ボーイッシュなショートカットが似合う、見るからに女の子か
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(2−1)
深夜のアパートで、電子ピアノにヘッドホンをつないで。私は密かに恋の歌をうたう。
『恋人になれなくてもいい、親友でいられるなら』
そのフレーズは、学生時代の友人への片想いのエピソードを思い出して、自然と出てきたフレーズだった。
今からもう10年以上前の大学生の頃、私は1人の女性に恋をした。
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(1−5)
それでも懲りずに、わたしは葉瑠さんのライブに行った。相変わらずわたしは、葉瑠さんの小説のファンだったし、葉瑠さんの演奏が好きだったから。
葉瑠さんだけじゃなくて、惟さんのライブにも時々顔を出すことにした。なんとなく葉瑠さんがいるんじゃないかと思って行くと、案の定、彼女はそこにいて。
なんだか悔しいから、葉瑠さんになかなか気づかなかったフリをしたこともあった。ああ、わたしは本当に素直じゃな
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(1−4)
出番が終わると、葉瑠さんは顔見知りらしいお客さんのところへ行って話し始めた。しばらくしてこちらの視線に近づくと、葉瑠さんはわたしの隣にやってきて、話しかけてくれた。
「初めまして、葉瑠です。ええっと……お名前聞いてもいい?」
「……愛里です」
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(1−3)
東京の西、都心からは少し離れたとある駅の最寄りに、そのライブバーはあった。
6月ももうまもなく終わるというその日はじめじめとしていて。もう日も暮れていたけれど、ライブバーへの道のりを歩いているだけでじんわりと汗がにじむ。
だけどわたしの心はワクワクでいっぱいだった。だってこの日は、待ちに待った葉瑠さんのライブの日だったから。
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(1−2)
毎日楽しみに読んでいたシガーキス姉妹百合の連載が終わったのは、まだ少し肌寒い、春になったばかりの頃だった。
『最終話』と書かれたその次にもまだページがあって、開くとそこには動画サイトへのリンクと、歌詞らしきものが書かれていた。葉瑠さんのお知らせページによると、それはシガーキス姉妹百合のイメージソングというもので、作詞・作曲共に葉瑠さんがおこなっているらしかった。
【三角関係百合】ひとり見上げる虹の色は(1−1)
その言葉は、その透き通る声は、ただわたしを赦してくれた。
取り返しのつかない罪を犯したわたしを。ただ包み込んで、抱きしめて。そして、それがわたしにとっては一生の罰だった。
*
ベッドの上に寝転ぶ。スマホを手に取ると、いつものWebサイトがすぐに開く。そろそろ、いつも読んでいるWeb小説の更新の時間だった。
1話あたり、たったの2000文字強だから、ほんの一瞬で読み終わってしまうのだ