連載百合小説《とうこねくと!》東子さまへ届けたい唇(2)

《前回のあらすじ》
 東子さまのお屋敷へ帰ってきた恵理子ちゃん。気持ちを整え、東子さまの書架の前に立ちます。
 書架の中から聞こえてきた東子さまの小さな声に、恵理子ちゃんの胸は締めつけられます。
 恵理子ちゃんが自らのことを「付き人失格です」とつぶやくと、東子さまは──

 3畳ほどのスペース。両サイドには一面の本棚。入った正面に大きな格子状の窓。
 その窓に向かうようにシックな机があり、その前に

もっとみる
ありがとうございます!秋田の田園風景をお届けします☆
60

【小説】愛の挨拶 前編【※百合】

私という人間は、何をもって「私」なのだろう。今の私を作っているのは、何なのだろう。
環境も顔も同じ双子の妹と私は違う個体ではあるけれど、ほぼ同じようなものなのに、どうして妹ばかり愛されるのだろう。彼女と私は一体何が違うのか。私はどこで間違えたのか。
小さい頃からそんなことを考えて生きてきた。

職員室で高橋先生に「先生」と声をかけると「頑張ってね」と鍵を渡される。旧校舎の音楽室の鍵だ。小さな八分音

もっとみる

連載百合小説《とうこねくと!》東子さまへ届けたい唇(1)

《前回のあらすじ》
 キスで東子さまの気持ちを悟った西條さん。
 その時の東子さまの気持ちを西條さんから聞き、自分の気持ちも再確認した恵理子ちゃん。
 聞きたい想いや伝えたい想いがあふれ出し、西條さんと南武ちゃんの声を背に、東子さまのお屋敷へ走って帰りました。

 みなさん、こんにちは。北郷恵理子です。
「はぁ、はぁ……」
 このお屋敷の主──神波東子さまの付き人です。

 海辺から全速力で走って

もっとみる
ありがとうございます!秋田の稔りをお届けします☆
66

女子大生失格

彼女に初めて会ったのは、ある初夏の日。緑の芝が昨日降った雨できらきら輝く、地元のちょっと大きい公園でのことだった。
「ボランティアスタッフの斎宮ゆりあです」
 ふわふわで色素の薄い髪をひとまとまりに束ね、黒縁の眼鏡をかけ、飾り気のないノーメイクの肌はびっくりするくらいにすべすべ。潜在的な美少女というのはこういう子なのだろうと素直に納得できる程の美しさ。初めて彼女に会ったときの印象は、そんな感じだっ

もっとみる
スキありがとうございます。
4

連載百合小説《とうこねくと!》キスの理由、キスの意味、そして東子さまは……(3)

《前回のあらすじ》
 西條さんがキス魔になった理由を知り、黙り込んでしまった恵理子ちゃんと南武ちゃん。
 唇は時に言葉より雄弁だと話した西條さんは、自ら進んでキスをした東子さまの気持ちも読み取ったと話します。
 その気持ちは、恵理子ちゃんにキス出来なかった理由にもつながると話す西條さん。
 恵理子ちゃんは、東子さまがどんな気持ちだったのかを西條さんに尋ねました。

 西條さんに自ら進んでキスをした

もっとみる
ありがとうございます!秋田の空をお届けします☆
56

ショート百合小説《とうこねくと! ぷち》緑の町に舞い降りる前に歌って!東子さま

みなさん、おはようございます。北郷恵理子です。
「ふふふふ〜♪」
 今日も朝からご機嫌に鼻歌を歌う奥さま──神波東子さまの付き人をしています。
 
「東子さま、おはようございます」
「恵理子ちゃんおはよ〜♪」
 小気味よいステップを踏みながら、満面の笑みで冷蔵庫からプリンを取り出す東子さま。あいさつまで歌になっちゃってます。

 東子さまが歌が好きだということは、このお屋敷に来た時からなんとなく察

もっとみる
ありがとうございます!秋田の自然をお届けします☆
70

【がらんどうの根は甘く】(6)

大学の長期休みはバイトをした。実家には戻らずに、ひとまず学生のあいだに社会人の年収くらいの金額を貯めたいなと考えていた。貯金が趣味というわけでもないのだが、かといってほかにやりたいこともなく、マンガや映画といった娯楽では、月にバイト代の半分を使い切るほうがむつかしいくらいで、いまの時代、たった一人で贅沢をするのも案外にむつかしい、と孤独な日々の豊かさをありがたく思う。

 中学生、高校生のうちでは

もっとみる
わーいでござる!!!
5

たぶん、なんだけど……
小説は朝に投稿した方が多く見てもらえる感じがする!(私の体感では)

昨日の夜に投稿した『とうこねくと!』の最新話はこちらです🙋
https://note.com/yash_nord/n/nbe0f95b77fc9?magazine_key=mee26884bf918

ありがとうございます!秋田の自然の不思議をお届けします☆
42

【がらんどうの根は甘く】(5)

私は彼女の存在よりも、こちらに浴びせるように視線を向けているほかのクラスメイトたちに鼻白む。

「謝りに行ったんだけど、あんまり受け入れてもらえなかったみたい」髪の毛をいじりながら彼女は、「それ、よかったらもらって。いらないなら捨ててもいいし」

 もう片方の手で、しきりにスカートをにぎったり、離したりを繰りかえす。

 捨てるなんてもったいない。ただ、私がもらうわけにもいかない。

 かといって

もっとみる
やったーでござる!!!
5

何も知らないあなたの旅路と、歯車の壊れた私の家路

立ち止まるのは悪い癖。私はどうせ、限界がある。

「…ねえ! お願い!お願いッ!」

もうだめです。
綾西絃帆は死にました。旅の終点沖縄で。

剃刀みたいな岩で作られた、夕日が最後に落ちる岬を登り、底なしの青い海へと落ちました。
盗んだバイクは待ち人なし。

でも、どうしてこんなノートを残したの? 本当に彼女はいじわる。

読んじゃダメ 遺書=9/9 改メ日記=8/28〜

一緒に帰ろう。

私は

もっとみる
👊👊👊👊
14