愛咲蒼春

手から言葉を吐き出す人?/哲学っぽいことを考えてます/人生で得られた経験、小説の投稿や…

愛咲蒼春

手から言葉を吐き出す人?/哲学っぽいことを考えてます/人生で得られた経験、小説の投稿や社会批評、読んだ本などの感想を書いていきたいと思っています/三度の飯より百合が好き/三島由紀夫と尾崎豊も好き/試行錯誤中につき

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    世の中で評価されている作品のどこが凄いのかを考察してみる 写真素材:https://www.photo-ac.com/main/detail/29533025

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    文章の簡単な書き方や小説を書き続ける方法などを書いていけたらいいな~(願望) 写真素材:https://www.photo-ac.com/main/detail/29163733

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    三島由紀夫の暁の寺にぶっつけてやろうと思って書いていました。百年後に東洋のツァラトゥストラって呼ばれてないかな~。

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【Forget-it-not】第一話「冷たい風の吹く街で」

【登場人物】 浅倉美春:20歳の秀才女子大生。身長160センチ、真面目で繊細な性格。何やら社会に対して思うことがあるそう。 白雪瑠璃:帝東大学哲学科首席。身長172センチ、青い瞳の天才哲学者。物事には常に懐疑的かつ批判的な目を向け、世間の常識に捉われない。 【本文】  人を愛したい、夢を叶えたい、幸せになりたい、だれもがそれを望んでいる。なのにどうして人々は争い、いさかい、戦うのだろう。それはきっと、人を憎むこと、夢を諦めること、不幸せになるのが簡単だから。  わた

    • 【Forget-it-not】第三十一話「大切な人を守り通すだけの力が欲しい」

       血の気が引いてゆく。  後ろにいた瑠璃があわてた様子で鍵を開け、素足のままに庭に出たので、わたしもつづいて外へ出る。芝のチクチクとした葉と、冷たい砂の感触がやけに鮮明に感じられた。  南南西の空を見あげると、青やかな満月がわたしたちを見さげていた。その不気味な佇まいに、肌がぞわりと粟立つのが分かった。 「これって、まずいんじゃ」  わたしが言うと、瑠璃は苦虫を嚙みつぶしたような顔でうなずく。 「記憶を消されてしまう、二年前のように」  心臓が跳ねあがる。  なぜ? 

      • 純文学が衰退したのは何故か?

        出版不況と云われて久しい今日この頃。大衆小説も随分と悲惨なようですが、分けても純文学は惨憺たる状況にあります。芥川賞以外の文学賞は世間に興味を持たれず、芥川賞でさえもが没落の一途を辿っています。芥川賞授賞式の記事が新聞の一面を飾ることは無くなり(あったらすみません)、三日も経てば、誰がどの作品で受賞したのかを忘れ去られる。それは何故だろう? 文学を愛する者としていささかの興味があります。 そんなわけで今回の記事では、謎の文学作品で三島由紀夫をおちょくったりしている私が、現代

        • 【Forget-it-not】第三十話「月の都からの接触」

           一週間後の月曜日に、ふたたび瑠璃の家に行った。前の週は木曜が祝日になっていたため、木曜から日曜までアルバイトのシフトがびっしりと入っていて、行きたくても行けなかったのだった。  わたしたちは泉水と榛名の話をふまえ、いままで得た知識をパズルのように組みあわせつつ、思考を飛躍させた。  まず、古事記における伊邪那美は、自然を擬人化させた存在であると考えられる。なぜかというと、海も島も森も動物も、すべては自然が生みだしたものであるからで、国生みに際してすべてを生みだした伊邪那

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        【Forget-it-not】第一話「冷たい風の吹く街で」

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          【Forget-it-not】第二十九話「縄文時代は愛の時代か?」

           世界的な文明といえば、エジプト、メソポタミア、インダス、黄河の四つの地域が有名だけれど、縄文当時の日本にも、それらに匹敵するかもしれない文明があったそうで、それを指ししめすように、日本各地で世界最古級の磨製石器や土器、遺跡などが発見されている。  特筆すべき点としては、海外で見つかる道具には、人間をあやめる目的のものがおおくふくまれているが、縄文時代のものには対人用の道具は見られないそうだ。これはその時代に戦争行為がなかったことを示している。日本に戦争が生じたのは、渡来人

          【Forget-it-not】第二十九話「縄文時代は愛の時代か?」

          【Forget-it-not】第二十八話「安倍晴明の伝承」

           あくる週の月曜日、わたしは久方ぶりに大学におもむき、泉水といっしょに構内のカフェのテラス席で榛名を待っていた。屋内は暖房が効きすぎていて暑いと泉水が言ったのと、ほかの人に聞かれたくない話もあったので、しぶしぶ寒空の下にいる。  わたしはまず、泉水にすべてを打ちあけた。泉水はおどろくでもなく、真剣に話を聞いてくれて、最後にはややいら立った様子を見せた。 「何か腹立つなぁ、そいつら。正々堂々やらずに好き放題やるなんて私は嫌いだな。男だろうが女だろうが正面切ってやれよって話」

          【Forget-it-not】第二十八話「安倍晴明の伝承」

          【Forget-it-not】第二十七話「条件付きの愛は愛ではない」

           木曜日、わたしたちは瑠璃の祖父母の家に行った。昨日はまったく捗らなかったので、休憩がてら、瑠璃の育った環境を見たいとわたしが提案したのだ。  家は山間の盆地のちいさな集落にあり、そこは地元のとなり町によく似ているけれど、こちらのほうが平地の面積が広く、伸びやかな印象を受け、また肌ざむい。そのなかの平凡な平屋が瑠璃の育った家のようだ。  玄関口で祖父母が出むかえてくれた。ふたりともに柔和な雰囲気をただよわせていて、祖父は畑仕事をわざわざ切りあげてまできてくれたらしい。

          【Forget-it-not】第二十七話「条件付きの愛は愛ではない」

          うつ病を克服するためにやったこと

          私は中学生のときに同級生や先輩からいじめられ、また、教師からはパワハラを受けて心を病み、以後何年にもわたり精神疾患――うつ病、強迫性障害、社会不安障害など――に苦しみました。 同級生が高校に進学するなか、自分だけが置いてけぼりになる焦燥感、一生このままなのではないかという不安、誰にも分かってもらえない苦しみに押しつぶされ、ベッドから起きるのも辛い生活が何千日と続いていました。 中学卒業後は精神科に入学し、そこで上記の障害の診断をやんわりと受け(私が行った病院では病名をはっ

          うつ病を克服するためにやったこと

          【Forget-it-not】第二十六話「仏教では人の心は救われない」

          「仏教には色々な宗派があるから一概には言えないけれど、基本的な信条は同じ。要約すると、人生は苦である。苦は執着から生まれる。執着は覚りによって消え去る。覚りは人と法との関係によって育まれる、というもの。覚りは宗派によっては仏や無分別智と呼ばれるみたいだね。覚りとは何かと言うと、簡単に言えば、私という主観を排し、物事のありのままの事実を見て、良い悪いと裁断しないように生きようといったもの。仏教ではこれがそのままこの世の真理とされている(わたしは「へぇ」と言う)。  個人的には

          【Forget-it-not】第二十六話「仏教では人の心は救われない」

          【Forget-it-not】第二十五話「竹取物語」

           あくる日の火曜日、昼前に起きたわたしは、寝おきの顔を瑠璃に見られないようそそくさと身なりを整え、彼女の作ってくれた朝食兼昼食を食べた(瑠璃は料理までわたしより上手なのだ。正直に言うとくやしい)。  食べてるさいちゅうに、泉水と榛名に今回の件を話して協力をあおいでもいいか、と聞いてみた。瑠璃は美春の信頼する人なら構わないと言ってくれたので、彼女たちに姉のことを書いたメッセージを飛ばそうとしたのだけど、榛名の父親のことが気になって『今度会ったときに大切な話をしたい』とだけ送っ

          【Forget-it-not】第二十五話「竹取物語」

          【Forget-it-not】第二十四話「神々の国へ行くには」

           あくる日、わたしは浅倉家について知るために、母方の実家に電話をした。母の実家は紀中地方なのだけど、もともとは紀南地方に住んでいたと聞いたことがある。だから家系をたどればなにかが分かるかもしれない。  祖母によると、人物像が明らかのは高祖母までとのことで、その高祖母は一九〇一年に生まれ、大正時代の初期までを紀南地方ですごしたらしい。その後、紀中へ引っこして、曾祖母の代からは三代に渡って紀中で生まれすごした。それが母の代になると、短大への進学で大阪へ出た母と父とが出会い、父の

          【Forget-it-not】第二十四話「神々の国へ行くには」

          【Forget-it-not】第二十三話「自分の弱さを悟られないように、ちょっと背伸びをしているだけで、どんな人も寂しいし、苦しいし、辛いんだと思うな」

          「実は、私は両親ともう七年も会っていない。その最たる理由は、中学受験の失敗にある」  わたしの実家で聞いたとおり、瑠璃の母親は彼女のおさないころから教育熱心で、瑠璃が幼稚園に入園するのに合わせて東京へ引っこし、上流階級の子の集う幼稚園にかよわせる典型的な教育ママだった。  可哀想な瑠璃はそんな母親を信じて勉強に打ちこみ、結果を残すと褒められるので、これが正しい生きかたなのだと勘ちがいしていた。しかし、明晰な瑠璃は母の干渉にだんだんと違和感をいだくようになる。彼女はどこへあ

          【Forget-it-not】第二十三話「自分の弱さを悟られないように、ちょっと背伸びをしているだけで、どんな人も寂しいし、苦しいし、辛いんだと思うな」

          表現の自由の裏側をのぞいてみる【とある愛知者の日記】

          世の中には表現の自由と称して好き放題する人たちがいるらしい。街のしみったれた看板に枯れ葉と見紛うようなわいせつ物を貼り付けたり、灰色の壁をカラフルにしてみたり。自分のつま先ひとつ見せたくない人間からするとまあ、ある意味ではすごいと思います。 彼らはこのような方便を使うそうですね。 道徳の欠片もない人間が道徳を語るとは面白い。現代の道徳はたしかにしょうもないなぁとは思います。しかし、彼らの道徳は原始人とそう変わりないレベルなのではないでしょうか。どちらが優れているかといえば

          表現の自由の裏側をのぞいてみる【とある愛知者の日記】

          【Forget-it-not】第二十二話「わたしはずっとむかしから知っていたのに」

           スマホで時刻を確認すると、十八時を回っていた。 「瑠璃っていつも何時に食べてるの?」 「二十時前くらいかな」 「けっこう遅いんだね」 「朝ご飯を食べないから、夜は遅い方がお腹が空かない」 「あーね。買い物とかはどうしてるの?」 「近所の商店に買いに行くのと、お祖母ちゃんたちが持ってきてくれる」 「じゃあさ、一緒にお買い物行かない? わたしの分を買わなきゃだし」  瑠璃は首を右にかたむけ、不思議そうな顔をする。 「冷蔵庫にあるものを自由に食べればいい」 「瑠璃もうちで遠

          【Forget-it-not】第二十二話「わたしはずっとむかしから知っていたのに」

          【Forget-it-not】第二十一話「月の民と月読」

           駅のちかくの本屋で熊野地方の観光地や伝承について書かれた本を買い、電車とバスを乗りついで瑠璃の住まいに向かった。  瑠璃の住居は、沼沢市の外れの緑豊かな住宅街にあり、土地の四方は二メートル超の築地塀に覆われ、塀の上には有刺鉄線が張りめぐらされていた。塀の軒下には数台の防犯カメラも見られ、門扉のかたわらには置き配用の宅配ボックスがある。 「要塞じゃん」  表札には番地だけが記載されている。わたしはもう一度、瑠璃がおくってきた住所を確かめ、それからインターホンを押した。

          【Forget-it-not】第二十一話「月の民と月読」

          スピリチュアルは科学的でないから信じてるやつはバカ、というのは間違いだよねって話

          インターネッツを徘徊していると、ここ五年ほどで科学的事実とやらが一般人のあいだで流行しはじめたように感じられます(かくいう私も一般人ですが)。科学を知り、人生を豊かにしたいという気持ちはよく分かりますし、事実、科学は素晴らしい。ですが、一部の科学至上主義者たちはネット上においてこのような文言を使います。 「データは? エビデンスは? それって根拠あるんですか(笑)」 彼らはなにに対してもデータや根拠を求めてくる。被害を最も受けているのは、占いやスピリチュアルやMBTIテス

          スピリチュアルは科学的でないから信じてるやつはバカ、というのは間違いだよねって話