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#結婚
泣きそうになったのは軌跡が奇跡すぎたから/短編小説
「え?報告しましたよ、8月に結婚したって」
紅葉が色付く少し前の季節、平日の夕方におしゃれなカフェの2階で向き合って座る私たちを見て、サラリーマンと女子学生カップルだと思う人は多いかも知れない。
そう話す彼は、見た目とは反して私の一つ歳下の27歳で、私は大学の頃から弟の様に可愛がっている。
男女の関係なんて無縁すぎる姉弟の関係で、今日も以前と変わらず「報告と相談の会」だと思い、私は写真を撮った
あの日した約束を貴方は覚えていますか?/短編小説
「テッペン取ったら会いに来る。
それまで待っていて欲しい」
そう言った時の言葉と、雰囲気はかろうじて覚えているが、彼女がどんな表情だったかの記憶は正直ほとんど無い。
*
「佐倉、29歳のお誕生日おめでとう!」
「ありがとう、みんな」
「いやぁ、お前ももう29歳か早いな」
「本当に。ずっと一緒だから実感わかねーわ」
はははっと笑い合う仲間。俺のグループ。
アイドルとして4人でデビューして8年