マガジンのカバー画像

小説

3
運営しているクリエイター

#小説

青春は、内側からわからない。

青春は、内側からわからない。

真っ暗な玄関先、座り込んだ僕は結び目が2度と解けないようにきつく、きつく結ぶ。

締め付けられた足が痛みを覚えている。
けれど、その痛さは足元の一体感を感じられて、不思議と不快ではなかった。

ぽっかりと空いてしまった心とは対照的に、足元には充足感が漂っている。ただ、それは失ったものの大きさを強調するかのように、喪失感も共に連れてくる。

大学進学を決め、お祝いに買ってもらった、新しいナイキのシュ

もっとみる
夜ふかしの理由。

夜ふかしの理由。

今日も、気付けば日付を跨いでいた。

ベッドに入り、YouTubeを見れば時間は過ぎていく。とっくに見たい動画なんてないはずなのに、今日という日を終わらせないように、次の動画を再生する。

俺は今日という日に一体、何を期待してたのだろう。

 

朝、iPhoneのアラームで目が覚める。寝不足のせいか、頭が重い。

12月の冷気が皮膚を刺し、乾燥した喉が痛くて、苛立ちを覚える。

今にも閉じそうな

もっとみる