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【詩】 真珠島

青い水面を光の粒子が飛び
ジムノペディがスラーに乗って流れている
ガラス越しに潮騒を感じながらとる
日曜日のブランチ

小さな方舟が水平線をまったりと描く
こちら側からは見える速度が違うことを
人称を隠す言語で
それとなく囁こうとするが
単語が見当たらない

白くて円い陶磁器の上に
ナイフとフォークが滑る
断罪という名の功罪を
静かに受け入れながら

どうしようもない悲しみは
フルフルと身を捩りながら
シャンパングラスに立ち昇る
琥珀色の気泡は
時に石化し
少しずつ嫋やかな層を纏い
いつしか光沢を放って
極小の珠になる
親指と薬指でそっと摘んで
南中の太陽と重ねて見る
こちら側の縦半分は
室内灯を受けて光るのだが
水中で放つ時は少し異色であるらしい

とろりトロリと幾重にも
異物を包む名もなき色のベール
胡桃色の時を重ねて
いつしかそこを出て
ひと旅
そして今ここへ

満腹に一呼吸
食後のホットチョコレートは
そこそこ甘い

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