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【書籍紹介】[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー)人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン

本日、長らく絶版となっていたブライアン・J・ロバートソン『ホラクラシー(Holacracy)』の新訳版が手元に届きました🌱

英語版の原著新訳版書籍

監訳を務めてくださった吉原史郎さん、 英治出版の下田理さん、そして新訳版を世に送り出すために尽力いただいた皆さんに感謝申し上げたいです。ありがとうございます。

今回は、新訳版の出版をきっかけに、私はそもそもこれまでの実践の中でホラクラシー(Holacracy)にどのような可能性を感じてきたのか?について振り返ってみようと思います。


ホラクラシー(Holacracy)

ホラクラシー(Holacracy) とは、既存の権力・役職型の組織ヒエラルキー(Hierarchy:階層構造)から権力を分散し、組織の目的(Purpose)のために組織の一人ひとりが自律的に仕事を行うことを可能にする組織運営法です。

フレデリック・ラルーティール組織(原題:Reinventing Organizations)』にて事例に取り上げられたことで、役職に伴う階層構造型の組織から、自律的な運営を行う組織へと移行するための方法・哲学として国内においても実践事例が増えつつあります。

ホラクラシー(Holacracy) は、2007年、Holacracy One(ホラクラシー・ワン)社のブライアン・J・ロバートソン(Brian J Robertson)と、トム・トミソン(Tom Thomison)により開発されました。

Holacracyの語源は、アーサー・ケストラー(Arthur Koestler)が提唱した Holon(ホロン:全体の一部であり、 且つそれ自体が全体性を内包する組織構造)という概念に由来します。

ホラクラシーを導入した組織では、組織の全員がホラクラシー憲法/憲章(Holacracy Constitution)にサインして批准することで、現実に行なわれている仕事を役割(Role)継続的に行なわれている活動(Accountability)として整理し、 仕事上の課題と人の課題を分けて考えることを可能にします。

ホラクラシーにおける組織構造は『Glass Frog』という独自開発された可視化ウェブツールを用いて、以下のようにホラーキー(Holarchy)なサークル図によって表されています。

2023年4月時点のHolacracyOne社のサークル図

ホラクラシーを実践する組織において仕事上、何らかの不具合が生じた場合は、それをテンション(tension)として扱います。テンション(tension)は、日々の仕事の中で各ロールが感じる「現状と望ましい状態とのギャップ、歪み」です。

このテンションを、ホラクラシーにおいてはガバナンス・ミーティング(Governance Meeting)、タクティカル・ミーティング(Tactical Meeting)という、主に2種類のミーティング・プロセスを通じて、および日々の不断の活動の中で随時、不具合を解消していきます。

ホラクラシーについては、日本人初のホラクラシー認定コーチであり新訳版の解説者である吉原史郎さんが、新訳版出版に際してホラクラシーのエッセンスについて語られた動画にもご覧ください。

ホラクラシー(Holacracy)に感じる可能性

フレデリック・ラルー『ティール組織(Reinventing Organizations)』にも事例として取り上げられた組織運営法であるホラクラシー。

2017年に初めて出会って以来、実践を積み重ねつつ、2019年にはオランダ・アムステルダムで開催されたトレーニングで開発者のブライアンとも会ってしまうほど、強烈に惹かれるものが当時の私にはありました。

どうしてそれほどまでに……?

振り返ってみて改めて感じるのは、ホラクラシーが『組織内の権限を分散しながらも、一人ひとりの存在、一つひとつの役割に尊敬と感謝を表現しながら、目的実現に向かっていける仕組みづくり』を行っていける可能性を感じるためです。

特有のルールや会議の進め方、組織を入れ子構造の円状にとらえるなどの特徴的な部分もありますが、それらもすべて、『一人ひとりの感じたものを尊重しながら、それらを目的実現へ繋げていこう』という設計思想から生まれたものではなかろうかと、私自身は感じています。

公私の大きなトランジションによって一度立ち止まらざるを得なかった探求と実践ですが、この1〜2年で新たな出会い・流れもあり、今回の新訳版の出版を機に再び旅路に踏み出せる兆しを感じて、とてもワクワクしています。

ホラクラシーに関して、前々からご存じの方も、気になってはいたけどあまりよく知らなかったという方もいらっしゃるかと思いますが、もし何か感じられたものなどあれば、ぜひお話ししませんか?

今回生まれつつある新しい流れの中で、皆さんと再会できることを楽しみにしております🌿

近年のホラクラシー紹介・実践に関する関連リンク

【開催記録】出版記念イベント:新訳版『ホラクラシー』を読み解く6つの問い

【開催記録】ABD読書会『愛、パワー&パーパス〜人と組織の進化力を紡ぐ新たな物語』presented by NexTreams

【書評掲載】ブライアン・J・ロバートソン『[新訳]ホラクラシー―人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1136号

さらなる探求のための参考リンク

HolacracyOne(ホラクラシーワン社)

RELATIONS:ホラクラシーの安定した実践までの長い旅路

カラビナテクノロジー:「自立」と「多様性」の共存するホラクラシーの実践

ホラクラシー導入6ヵ月後の実践者の声~場とつながりラボ「ホームズビー」

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大森 雄貴 / Yuki Omori
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