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工芸の話

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森の白樺の話2          (食べられちゃうらしい)

森の白樺の話2          (食べられちゃうらしい)

森の白樺の話2
前回は白樺の 基本情報 を述べましたが、今回は白樺のおいしい話。

林に生えている白樺を散策中に私は口にしようと思ったことはないけれど、聞いた話によると白樺のつぼみを生でまたは調理して食べられるのだそうだ。つぼみは非常に繊維が豊富で、冬の間(10月から5月)の間、料理のワンポイントとして使用するそうです。
また、葉はサラダとして生で食べたり、パイやスープなどのに添えて調理したり葉を

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森の白樺の話

森の白樺の話

北欧雑貨のネーベル(樹皮)スロイド。白樺の樹皮で作られた工芸品。
白樺の樹皮なんだよ。と言われても どの部分で何なのかぱっと想像がつく人の方が少ないんじゃないかと思うので、今回は白樺の樹皮からのいろいろな話。

白樺の樹皮と生活

北欧Swedenでは石器時代、床の断熱材として使われた跡が考古学者の発掘で明らかになっている。その後も白樺の樹皮は木材を湿気から保護し、屋根を密閉させるために使われてい

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Syjunta シーユンタ

Syjunta シーユンタ

雪が降り続いたスウェーデン。景色が雪の白さで少しだけ明るく感じられる今日この頃。
Syjunta シーユンタ (裁縫をする集まり) についてお話しようと思います。

スウェーデンで ”Syjunta” をしよう! おばさん達の集まりでしょ?
なんてからかわれたりするんですが、実際どんなことがきっかけに始まったのか調べてみました。

Syjunta (シーユンタ)という言葉がスウェーデン語の辞書(S

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ないならば 作れば良いじゃない。

ないならば 作れば良いじゃない。

昔から人間は道具を作ってきた。狩りに必要な道具、食事に必要な道具。
身近な材料をうまく利用して作ってきた。

今はどうだろう。必要なものは大体近所の店に行けば手に入る。もしくは足を運ばなくてもインターネットでショッピングができ、玄関前まで発送してくれるサービスまでできている。

これらのサービスは便利で私も良く利用している。

数週間前、新しい織物の製作に取り掛かろうと織機を準備していた。
今まで

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Vintage クラフトカフェ

Vintage クラフトカフェ

こんにちは。

今日はお知らせアナウンス。

実はVintage クラフトカフェ という京都のデジタルクラフトカフェさんの ポットラジオに出させていただいています。

もし良ければ聞いてみてください。

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手で織るなんてさ

手で織るなんてさ

織姫

小学生の頃、姉が誕生日だったか何かのプレゼントに "織姫"という 簡易手織り機械のオモチャをもらった。 あの小さな機械ではせいぜいコースターサイズの布を毛糸で織るのが精一杯だった。 それでも色々な色を選んで、ちょっと工夫して柄を出したりと子供ながらにワクワクするオモチャだった。 私はそれが自分のものでないのに取り (借りるという概念はない。)我が物の様に夢中になっていたのを思い出す。

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Trasmatta 最終章 (床を汚さないで)

Trasmatta 最終章 (床を汚さないで)

Trasmatta(過去記事)が一般的になったのは19世紀の後半になってからでした。テキスタイルは手作業で作られ、もちろんとても高価で価値があり、衣類や寝具が主な用途でした。衣類や寝具を繕って大切に使い、完全に磨耗した場合にのみ、床を保護および装飾するために、それらを細片に切断または引き裂き、敷物に織りました。

Trasmattoのトレンドは、ヨーロッパ大陸から、裕福な家に最初に持ち込まれました

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私の趣味は

私の趣味は

ちょっとトラースマッタ休憩

今日は私の趣味の織物の話

最近 ダマスクス織という手法にはまっています

こういう織機を使いますが木のツマミが沢山ぶら下がっているのが特徴的。

このツマミを下に引っ張ると 縦糸が持ち上がり、複雑な柄を織ることができるのです。
どういう事かと言うと

布の一部に 刺繍をするように絵を織り込みたいときに、縦糸を手で一本一本持ち上げて横糸を潜らせなくて

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裂き織りの話 3 Trasmatta

裂き織りの話 3 Trasmatta

Trasmattaが使われる前の話を”裂き織りの話2” でしてきました。
今日はようやくTrasmattaの出現の話。

現在はTrasmattaといえば床に敷いてあるマットを想像するのが一般的ですが、織られるようになった当初はベッドカバーやクッションカバーとして使われていたようです。

スウェーデン北部などでは、毛布として使われたともいわれています。
イェストリークランド地方で1773年の不動産

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裂き織りの話2 Trasmatta

裂き織りの話2 Trasmatta

こんにちは。前回の話でも出てきましたが、これからは裂き織りのことをスウェーデン語でTrasmatta(トラースマッタ)と呼ぶことにします。

そして今日はずっと遡って、Trasmattaが床に敷かれるようになる前の話をしようと思います。そうですよね、布の技術が浸透する前って、床にマットは敷かれていなかったわけなんですよね。
では床には何も敷いていなかったとか?

そんなことはなかったようです。

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Trasmatta 裂き織の話 その1

Trasmatta 裂き織の話 その1

前回 織物部屋の話← でお婆さん達が裂き織りの為に布を裂いている。と書いたのですが、今日はその裂き織りの話。

裂き織りはスウェーデン語でtrasväv(トラースヴェーブ)と言い、出来上がったマットをtrasmatta(トラースマッタ)と呼びます。
TrasはTrasorの単語から来ており、意味は破れた布。という意味です。 そのまんまなんですね。。。

Trasmattaの歴史や裏話に行く前に、ど

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ブレイクタイム Fika

ブレイクタイム Fika

前回はスウェーデンと言えばダーラホース。

そんな話からまずnoteを始めてみました。

今日は話が一段落したので 裏話は休憩。

私が毎週通う織物部屋(Vävstugaヴェーブストゥーガ)の話を少し書きたいと思います。

小さなコミュニティに昔は必ずあったというVävstuga。 (共同で機織り機をセットアップし順番に織っていくシステムの小屋や部屋)

昔は季節のカーテンを付け替えたり、キッチン

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Hejsan

Hejsan

手始めに
スウェーデンと聞いて、何を思い浮かべるだろう。
赤い家?
ダーラホース?
夏至祭?

スウェーデンに住んで17年目。
こう長く住んでいると、”へぇー”そうなんだ。とスモールトークから始まる知識なんかも増えてきて、今度は自分もその小話を誰かにしたくなってくる。

日本にも北欧の雑貨やインテリアなんかがすごく身近になってきているけれど、きっとその雑貨やものの”小話”を耳にする前と後では、写る

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赤い木の馬の誕生の話 

赤い木の馬の誕生の話 

前回 ダーラホースがどうして有名になったか。という話 ← だったのだけれど、 今日は”そもそも 木の馬っていつ頃できたの?”っていう話をしたいと思います。

現在確認できているもっとも古い木製の馬は、細身の長い木製の馬で、現在はFalunにあるダーラナの博物館に貸し出されているそうです。

放射性炭素年代測定よると、1560年ごろに作られたものだそうで1930年代にマルンのヴェストラフォルスの村の

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