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スターシードと詩

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#ポエム

森人との約束

木が揺れている

遠くに見える樹が
 揺れている

ザワザワ

ギシギシ

聴こえるはずの無い音が聴こえる

その揺れを見ると
思い出す

あの女(ひと)

強きひと
 そして
  弱きひと

人は多くの自分を持つ

あの時は

剣を持つ武人

雄叫びが
 森に響くと
  木々が揺れる
草木に風が這う
 風が鳴く

守り人

剣には多くの血が流れた時がある

彼は
 その時を思う時
  心に風が吹

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いくつかの時と、いくつかの弟子たち

いくつかの時と、いくつかの弟子たち

師匠!師匠!
これ見てくださいよ!

その少年は家に飛び込んでくると
嬉しそうに私に話しかける

彼と出会って何年になるだろう

道端で眠る彼に
食べ歩きの残りを渡してから
彼との縁は始まった

いや

どこか遠くでも、、

その時は少女だった

少女は、いつも私の仕事を見ていた
幼い顔はいずれ整った細身の面影を有し

「師匠」

と呼ぶ

何度出会っているのだろう

我が苦悩も

我が喜びも

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水色だったころ

水色だったころ

わたしは
 水色の世界にいる

眠りについた
 わたしは

遠き時
 その場所にいた

その水色は
 風のようであり
  ゼリーのようでもあり

甘い香りがした

わたしは、いつも満足げ

わたしは、いつも幸せ

そこにいる

ある時

赤い一滴

それは、少しずつ世界に広がる

また、一滴

それは、わたしに集まり

新たな肉体と言うものを作り始めた

それが出来上がるころ

わたしは、水色の世

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赤き花は、時の言葉を紡ぐ

赤き花は、時の言葉を紡ぐ

一言紡ぐ、言葉(ことのは)の
 甘き夢見る、このうつつ

多くの時巡りて、ここに立つ

冬が終わり
春がはじまりの日
赤き花

その花はこれから咲き誇る
 愛の日々をささやくように
  この部屋で咲いていた

いつものように
 圧縮された
  時の言葉を話していた

その部屋に
 馴染みの一人が女性を連れてきた

その声は
 風に舞う花びらのように
  部屋に広がる

彼女と話した瞬間
 脳に響き

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そこに炎あり

そこに炎あり

炎は形を成し龍になる

それは名を持たず
自由に流れ
自由に炎を広げた

時に、人の情熱の種火となり
時に、浄化の炎となり
時に、愛の炎となり

名を持たず
形を持たず
気まぐれに燃える

永き時に
多くの人々ともいた

それの中には
燃える炎とともに
孤独があった

消えぬ孤独

その孤独は
自らを焼き
人さえも焼く

大切な人も焼いた

自らの炎を恐れ
闇に身をおく
闇を照らす
闇を焼く

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器と鍵

テレパシーで通じる相手がいる

ただ、お互いに器が有り
それが、自分の感情や思考でいっぱいになると通じない

だから言葉を贈る

目の前に居ればわかる事も
言葉と言うきっかけがなければ伝わらない。

だから言葉を贈る

では、目の前にいる場合はどうだろう?

器がいっぱいの場合
言葉も
身振りも
行動も
伝わらなくなる

テレパシーが
あっても
なくても

最後は
信頼があるかどうか

信頼と言う

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ふた粒の真珠

あなたは真珠色の光
一粒
輝く
僕の中

あなたは黒き真珠
一粒
輝く
私の中

あなたは輝きをまとう
白く
虹色に
星の光を
日の光を
月の光を

あなたは漆黒の王子
気位と
気品
静けさと


ふた粒の真珠たち
太陽と月
闇と光
お互いが輝き
お互いを映し出す

白きその表面に
一点の暗闇を

黒きその表面に
一点の輝きを

どちらも美しく
どちらも儚い

手からこぼれ落ちる
光は時の雫

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星の歌人

星の歌人

優しき娘がいた
人を癒やし
心に寄り添う

多くの薬草や石、動物、水
癒やしの為に知らぬものはなかった

人々は娘の微笑みと
歌声も好きであった

祭りがあると
男達は
彼女と踊るために
花を送る

彼女は誰の花も受け取ることをしない

人々は
彼女が神に身を捧げていると噂する

人々は
彼女が己の運命を嘆く過去を持つと噂する

誰もその心を知ることはなかった

ある夜
村に聞き慣

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