よすけ

人生うまくいきたいもの書き。見たこと、聞いたこと、思ったこと。そういうものをつらつらと…

よすけ

人生うまくいきたいもの書き。見たこと、聞いたこと、思ったこと。そういうものをつらつらと。生きづらさの中に居心地を。いつか誰かの心の隅が動くように。

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  • よすけの短編小説まとめ

    書いた小説を投稿した順にまとめています。短いのから長いの。暗いものから明るいものまで。ほっと一息つけるように。

  • 詩集『よすけ』

    書いた詩をまとめています。見たもの、思ったこと、聞いたこと、そういうものを拙い言葉で綴る。

  • 『写真で描写』シリーズ

    撮った写真から思いついた小説っぽい一節。想像できるような、できないような。いつかこの続きを書く。#写真で描写

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【短編小説】ここにいる、ここにいて

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よすけ
1年前
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〈自由詩〉ほのか

ふらふらと どこにも行けない夜 飛び出す力も 飛び込む力も 持てない夜 心ここにあらず遠くに 体だけは近くに 飛び散る 弾けて落ちる いっそ連れ出してよ ぐいぐいと 引…

よすけ
19時間前
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【自由詩】空をなでる

海のそばへ 森の中へ 空の青は遠く まぶしくてすぐ背ける 夕焼けを見ていたい 君を心に置いていたい きっと感傷的になりたいだけ 何かに満足したくないだけ 欠けた胸…

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今日できないことは 明日やればいい 今週できないことは 来週やればいい 今月できないことは 来月やればいい 来年を待てばいい 一生かけて見つければいい 一生かけて …

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〈自由詩〉心の隙

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〈自由詩〉エンドロール

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〈自由詩〉一途

 きみじゃなきゃだめ  そんなこと  たぶんないのかもしれない  きれいなものは他にもある  あたたかいにもいろいろある  まわりの誘惑と かくれた浮気心と  ぜん…

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〈自由詩〉朝のこと

 今日の失敗  ことばの間違い  何もなかったような朝  駅前のひと騒ぎ  面白がる人だかり  何もなかったような朝  雲のない空  自分だけ静かな喧騒  本当に…

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8か月前
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〈自由詩〉はや歩き

 嬉しい、楽しい、帰り道。  良いことがあった時、誰かに話したくなる。  綺麗なものを見た時、誰かに話したくなる。  心が動いた時、誰かに話したくなる。  誰かな…

よすけ
8か月前
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【小説】ホワイト・ポートレート

よすけ
8か月前
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連作『ここにいる、ここにいて』

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よすけ
8か月前
1
【短編小説】ここにいる、ここにいて

【短編小説】ここにいる、ここにいて

1,807文字/目安3分

 仕事から帰って、晩ごはんの支度を始めようとしたら、彼が突然帰ってきた。
「ただいま」
 そう言っていつもやっているかのように、傘を置いて、上着を脱いで、部屋へ着替えに行った。
「あ、おかえり」
 遅れてその後ろ姿に声をかけたけど、間抜けな声しか出てこなかった。
 平静を装って、料理の準備に戻る。今日は二人分作らなくちゃ。

 彼が部屋から出てきて、わたしの隣に立つ。ふ

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〈自由詩〉ほのか

〈自由詩〉ほのか

ふらふらと
どこにも行けない夜

飛び出す力も
飛び込む力も
持てない夜

心ここにあらず遠くに
体だけは近くに
飛び散る
弾けて落ちる

いっそ連れ出してよ
ぐいぐいと
引かれるのも力を使う

嫌な場所には行きたくない
行きたいところは分からない

最後は自分で決めるしかない
足はまだ動かない
腰が重いわけじゃない

はやて時の中に
まどろみも続かない

熱のない灯り
今を待てない

明日が来る

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【自由詩】空をなでる

【自由詩】空をなでる

海のそばへ 森の中へ
空の青は遠く
まぶしくてすぐ背ける

夕焼けを見ていたい
君を心に置いていたい

きっと感傷的になりたいだけ

何かに満足したくないだけ

欠けた胸に手を当てる
物悲しさで満たす

今の先で夢見る
輝きは鈍く

ひとつ

主人公らしくなれない自分に
物語を刻む

ひとつ

都合のいい言い訳を
説いて悔やむ

ひとつ

君は歩みを止めないで
背中を押す手は届かない

またしても

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〈自由詩〉未来のために

〈自由詩〉未来のために

今日できないことは
明日やればいい

今週できないことは
来週やればいい

今月できないことは
来月やればいい

来年を待てばいい
一生かけて見つければいい

一生かけて
あなたをつくればいい

過去は見なくていい

今に自信がないのなら
明日に託せばいい

未来はちゃんとある

心が晴れなくても
怒りをしまえなくても

明日を迎えていい

あなたがあなたを好きになれなくても
あなた自身を嫌いにな

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〈自由詩〉心の隙

〈自由詩〉心の隙

やけに静かに思える時がある

昨日と同じ、いつもの朝

すれ違う人も同じ
猫が寝る場所も同じ
電車のタイミングも同じ

何一つ変わらない午前八時

自分だけが浮いている
世界が違って見える

澄んだ晴れの朝

楽しいことがあったような
思い出をどこかに残したような

ふわふわと、空気がまとう
風に流れる

だんだんと

沈む

遠ざかる

意識が宙に散る

人が人に見えなくなっていく
それを嫌だと

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〈自由詩〉少し先で

〈自由詩〉少し先で

意味なんて考えちゃだめ

意味を先に決めようとしちゃだめ

そんな声を聞かせないでよ

歩けば見つかるもんじゃない

いつのまにか近くにいるものだよ

その意味は後ろにしかない

だから待ってる

【短編小説】へこっほこ

【短編小説】へこっほこ

1,912文字/目安4分

 駅に向かう途中、レモン果汁が目に沁みるのは当然だと思った。

 綱渡りの人生、バターロールは少しつぶした方がおいしく食べられる。あの時もきみはクリームパンの中のクリームをパンの表面にぬって食べていた。まだ絹と木綿の違いも自信がなかったぼくは、なるほどと思いながら、クッキーをビスケットではさんで食べたのだった。

 まわりはちっとも信じてくれないけど、クッキーをビスケッ

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〈自由詩〉エンドロール

〈自由詩〉エンドロール

 名前を呼ばなくちゃ
 そうしないと振り向いてくれない

 布団に隠れて
 枕に顔をうずめても
 誰も起こしてくれない

 そのうち疲れ切って
 窓を閉めて灯りを消す

 特別だと思いたい
 自分と同じ
 群れの中に紛れたい

 よくある話さ

 新しさに目を向けるたびに
 思い出がちらつく
 強く輝き出す

 さよならを言わなくちゃ
 自分をまるごと愛せない

 今日がお別れの時だ
 そう思って

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〈自由詩〉一途

〈自由詩〉一途

 きみじゃなきゃだめ
 そんなこと
 たぶんないのかもしれない

 きれいなものは他にもある
 あたたかいにもいろいろある

 まわりの誘惑と かくれた浮気心と
 ぜんぶ押しのけて
 きみに向いてしまう

 諦めることができたら
 振り切ることができたら

 ジャンル分けできない
 ナンバーもオンリーもない

 会いたい 一緒にいたい

 ある意味のあきらめ
 それすらもみとめよう

 きみがいい

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〈自由詩〉朝のこと

〈自由詩〉朝のこと

 今日の失敗
 ことばの間違い

 何もなかったような朝

 駅前のひと騒ぎ
 面白がる人だかり

 何もなかったような朝

 雲のない空
 自分だけ静かな喧騒

 本当に何もない
 自分すらなくなったような朝
 落ち着かない閃光

 ひとりがちっぽけに感じる時

 隙間に触れるのはせめて
 優しさであってほしい

〈自由詩〉はや歩き

〈自由詩〉はや歩き

 嬉しい、楽しい、帰り道。

 良いことがあった時、誰かに話したくなる。
 綺麗なものを見た時、誰かに話したくなる。
 心が動いた時、誰かに話したくなる。

 誰かなんて、一人しかいない。
 頭の中では、もう話している。

 くだけた顔を見られないように。
 なんでもないのを装って。

 どんな顔を、するだろう。
 どんなことを、言うだろう。

 こんな、陳腐で安っぽい言葉を。
 こんな、単純でち

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