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詩集『よすけ』

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書いた詩をまとめています。見たもの、思ったこと、聞いたこと、そういうものを拙い言葉で綴る。
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記事一覧

〈自由詩〉眠れない夜に

〈自由詩〉眠れない夜に

 眠りの誘惑に負けずに
 目をこすり夢に挑む
 星の光がつくる道
 まどろみから世界に微笑む

 今だけは許される
 今ならぼくを許せる

 風の吹く音
 布団の擦れる音

 泣きたい気がする
 泣きたくはないけれど
 思い切り笑いたい
 そんな自分に嫌気が差す

 本当はもっとうまくいっている
 好きな夢だって見られる

 世界を恨むつもりはないけれど
 もっといい思いをさせてくれ
 空ぶりのく

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〈自由詩〉be

〈自由詩〉be

当たり前は当たり前じゃない
それが当たり前

だから
つつましく
わきまえて
感謝する

それが当たり前

お互いさま
自分だけが
気持ちはわかる

楽なことなんてない
つらいのは周りも一緒
みんな頑張ってる

それが当たり前

当たり前が当たり前じゃないなら
泣くのも逃げるのも甘えるのもいい

そんな居場所が

だんまり

だんまり

 好きなように書きたいと思って
 ここに来たけど

 別に書きたいわけじゃないかもしれない

 恥ずかしいようなことを
 恥ずかしげもなく書いて放って
 あとで恥ずかしくなっちゃって

 そんなことを毎日やっている時は
 最低限の飾りでも表に出した

 書きたいは書きたいのだけど

 見せようとしなくなった途端に
 書くことすらどっちでもよくなった

 書きたいじゃなくて見せたいだけか
 そりゃそ

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ご都合主義

ご都合主義

 自分に都合よく生きていたい

 信号で三回止まらずに渡れた

 三回足止めを食らった

 けっこう渡れたでいいじゃない

 楽しいことに目を向けて

 嫌なことは知らんぷり

 途中で雨が降ってもいい

 どしゃぶりならけっこう

 疲れてもちがう道を歩く

 でも疲れたら休む

 風に吹かれるままに

 強い風からは逃げる

 自分勝手にわがままに

 人には迷惑かけないよ

 王さまなのは自

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〈自由詩〉ひかりあつめ

〈自由詩〉ひかりあつめ

楽しみな日に限って雨が降る

自分は雨男、雨女

傘は差したくない

晴れが待ち遠しい

けれど折りたたみ傘が手放せない

水たまりを踏むのが嫌

日差しが強いのが嫌

いつも、いつも

そうやっていつも

悪いことばかりに光が当たる

身を包む陽だまり

涙を流す雨

良いことだってそこら中にある

不幸に鈍感でいたい

雲の切れ間に

〈自由詩〉ピリオド

〈自由詩〉ピリオド

夜に、あそぶ

 わたしは泣いている

言葉は、すれ違う

夜に、あそぶ

 言葉はすれ違う

 わたしは泣いている

〈自由詩〉まだ

〈自由詩〉まだ

 大丈夫かい、とは言えない

 わたしは知っている
 わたしの見えないところで
 わたしに降りかかる弓と矢を
 あなたは受けている

 避けることもできずに
 防ぐこともできずに

 ただ傷を負っている

 流れるのは涙か血か
 わたしには見えない

 つくられた影の中で
 わたしは生きる
 飛んで跳ねて踊る

 本当は今
 やっぱり明日

 大丈夫だ、とは思えない

 降り続ける弓と矢
 あなた

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〈自由詩〉「  」

〈自由詩〉「  」

 自分が何をしなくても
 誰かがつくった道がある

 自分が言葉にしなくても
 誰かが紡いだものがすでにある

 僕の代わりはいくらでもいる
 すぐに取って代わられる
 僕は代わりになるのかい

 君がいなくても
 世界はまわる、歯車は重なる

 壁の隙間を埋めるように
 白紙に色をつけるように
 君は笑う

 時計の針を戻しても
 自分が置き去りにされるから

 ただ明日を待つ
 ただ息をしてい

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〈自由詩〉はかれない

〈自由詩〉はかれない

 あなたを追いかける
 その距離何メートル

 あなたを求める
 その重さ何キログラム

 あなたを受け入れる
 その器は何リットル

 愛の深さは
 認める広さは

 すれ違いの角度は
 交わす言葉の文字数は

 満ちる
 渇く
 溢れる

 思い出の足跡、未来への道筋
 寄り添って、同じ歳を重ねる

 わたしはあなたにいくつの

つづき

つづき

 朝、目を覚ます。
 時計はいつもより遅い時間を示す。

 となりから聞こえる寝息。
 頬に触れる。

 起こさないように布団から出る。
 トイレに行く。
 コップ一杯の水を飲む。

 起こさないように布団に潜りこむ。
 もぞもぞと身を寄せてきて収まる。
 身動きが取れなくなった。

 もう少しだけ寝ることにする。

幸せ

幸せ

 なんにも予定がない二人の休日。
 やることがなくて、
 ただ時間を使える休みの日。

 お昼ごはんを食べて、運動がてらに散歩する。
 途中の公園で鳩を追いかける。
 どっちがうまく撮れるか勝負が始まる。

 家でお昼寝。
 久しぶりに一緒にお風呂。
 晩ごはんは余ってた冷凍うどん。

 会話がはずむ。

 今日のこと。
 明日のこと。
 これからのこと。

 思い出話。
 その日の気持ち。
 当

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〈自由詩〉旅人の明日に

〈自由詩〉旅人の明日に

 旅の途中で 僕らは出会った
 それはどんな特別でもないさ

 風が吹くように 波が揺れるように
 僕らのほんの一瞬が重なった

 君のこと まだ知らないけど
 だからちょっと歌い合おうよ

 そうやって
 何回だって笑えりゃ楽しくなるよ
 それはどんな暗い風景もパッと照らせるよ

 なにか抱えて なにか手放した
 期待も不安も後悔も思い出も

 雨が上がるように 鳥が舞うように
 ほんの少しの勇

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