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〈自由詩〉エンドロール



 名前を呼ばなくちゃ
 そうしないと振り向いてくれない

 布団に隠れて
 枕に顔をうずめても
 誰も起こしてくれない

 そのうち疲れ切って
 窓を閉めて灯りを消す

 特別だと思いたい
 自分と同じ
 群れの中に紛れたい

 よくある話さ

 新しさに目を向けるたびに
 思い出がちらつく
 強く輝き出す

 さよならを言わなくちゃ
 自分をまるごと愛せない

 今日がお別れの時だ
 そう思っても僕はいまだ
 ここで文字を綴っている

 君を忘れてしまって
 よくもまぁ歩いている

 結局は自分の憂いを
 仕舞っておけないだけ
 いつもと同じ朝

 よくある話さ

 さよならを言わなくちゃ
 自分をまるごと愛せない

 今日がお別れの時だ
 そう思っても僕はいまだ
 ここで文字を綴っている

 枯れる日が来るまで
 文字が綴られていく

 僕から僕の記憶は消えない
 まだ僕は生きている




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