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花 hana

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〈花〉
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#写真

『行ってみたい』

『行ってみたい』



『行ってみたい』

行ってみたい

全てをかけて

明日など知らない

明後日も

その先も

知らない

だから

駆けてどこまでも

行ってみたい

知らないから

知りたい

笑われても

そんなの

知るもんか

走ってみたい

どこまでも

走って

どこまでも見たいんだ

君も

僕も

知らない場所へ

そうやって

生きてたいんだ

(神戸市 波止場町 /メリケンパーク)

『夜のデザートを、ひとくち。』

『夜のデザートを、ひとくち。』



『夜のデザートを、ひとくち。』

その世界はない。存在しない。けれども、わたしの中にはある。あんなキラキラした写真に映るあれが現実にあるわけない。この世界のどこにだってない。ないのに、あの人もあの人もあの人も、わかってくれる。その世界はないはずなのに、たしかにここに存在している。ふれることのできないデザート。ひとくち。それは思い描くだけで、ふわふわしていたってあまったるくたっていい。レモンピー

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『誰かの雨粒』

『誰かの雨粒』

『誰かの雨粒』

誰かの涙を飲み込むような心地で
唇にあたった雨粒を噛む
額に一粒ぶつかると
そっと
ここにいるよと触れられた気持ちになる

わたしは此処に一人だけだって
泣いていた

あぁ一人じゃないんだって
教えてくれた

鋭く滑り込むように雪崩れてくる
雨の気配
実は大好きで
かなり恐ろしい
豪雨の気配

私ここに一人じゃなかった

『運転中』

『運転中』



『運転中』

君が僕を知ることはない
すやすや眠る頃
思い出したりするのです
雀の涙ほどの

安心したように羽を下ろして
出した足こそ使うべきでした
はじめから

いつか繰り返す頃に
解き明かしてみよう
それまで不透明なままで

何もわかってない
何もわかってないよ
だからまだ
運転中

その目から見る景色
奪って
持ち去って行ってあげよう
その代わりに肩を貸してね
歩く旅に出掛けられるように

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『夜が歩くなら』

『夜が歩くなら』



『夜が歩くなら』

夜が歩くなら
もし足が生えていて
ぺたぺたと裸足で動き回っているなら

僕のところには一生来ないね

鼻があって匂いの違いが分かる
そんな奴だったなら
僕のことなんて嗅ぎ分けて
避けていってしまうんだろう

明日のことがだいすきだ
なんて魅力的な響きなんだ
けど僕には夜が来てくれないから
理論上はあるけど存在しない星みたいに
ロマンと化して
僕の人生を彩りつづけるだろう

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『コーヒーカップ』

『コーヒーカップ』



『コーヒーカップ』

君のコーヒー1杯に魔法をかけた
誰にも気づかれない魔法さ

君が

一人で作業している間にトラックのドアに挟まれないように
バイクの曲がり角で重い荷物がバランスを崩さないように
これから沢山の思い出を一緒に作っていけるような帽子と出会えるように
街道で出会ったポットの花がこの先1日でも長く君と笑い合えるように
友達との再会が彩り豊かでいっぱいの果実になるように
書いている

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『髪を切れば』

『髪を切れば』



『髪を切れば』

俯く

いつもの足先が見える

と同時に

伸びてきた髪が

顔を包むように

下を向く

いつも隠れるようにしていた

あたかも守られているような

錯覚

そんなの

主観的な感覚でしかないことは

知っている

この細くて

すぐ燃えてしまうような装飾が

衝撃からも悪意からも

何でも防いでくれる

なんてことがあり得ないことくらいは

分かっている

それでも

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