『髪を切れば』
『髪を切れば』
俯く
いつもの足先が見える
と同時に
伸びてきた髪が
顔を包むように
下を向く
いつも隠れるようにしていた
あたかも守られているような
錯覚
そんなの
主観的な感覚でしかないことは
知っている
この細くて
すぐ燃えてしまうような装飾が
衝撃からも悪意からも
何でも防いでくれる
なんてことがあり得ないことくらいは
分かっている
それでも
寄り添ってくれるような優しさを
なぜか求めてしまう
けれども
暑い
風が吹けば見えるはずの
首も覆われて
暑い
.
.
.
だから切った
思いきって
とびきり短く
切ってもらった
軽い軽い軽い
涼しい涼しい涼しい
清々しい
私は
今
とても無防備だ
隠れられない
でも
清々しい
こんなに世界が広く見えるなんて
世界に
こんにちは
ああ 私は
ここにいるよ
隠れてなんかいない
真っ正面から
世界に
こんにちは