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#掌編小説
【掌編小説】キュートアグレッション
彼女は自分のことが大好きであった。本当の彼女は彼女自身にしか理解できない、真に自分のことを愛せるのは自分だけだと本気で信じていた。自分だけがこの寂しい世界の唯一の理解者だった。だから、誰からも見向きもされない日にも平気であった。彼女の心は、いつも自分を見てくれていたからである。
それと、鏡が苦手であった。鏡は心に映る現実から引き戻すからだ。素顔のままに鏡に立っていることは彼女の生きる自信を
【掌編小説】サトゥルヌス
仕事がようやく片付いたときには、職場は彼女ひとりだけになっていた。出社するべく、階段へさしかかると、そのすぐ下の踊り場で熊とも人間ともつかない大きな化け物が彼女の上司を鷲掴みにして、無我夢中で喰っていた。上司の方はピクリとも動かない。
すくんだままに、その様をじっと見ていた。左腕につけた時計。あの嫌みったらしい女上司に間違いなかった。
「テメエのせいでこんな時間まで仕事をする羽目になっ