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BLっぽいからと、CLAMP「X」を見ないのは損だぞ

今回は、CLAMP作品について書いてみる。
正直、私はさほどCLAMPに詳しい方じゃない。
「カードキャプターさくら」と「XXXHOLiC」、あと「ツバサクロニクル」を見たぐらいで、それ以外は特に見ようと思わなかったんだ。
ちょっとBL臭が苦手でね・・。
ただ、私が個人的に好きなアニメ監督に川尻善昭さんという人がいて、その人の過去作を漁っていくうちに、たまたま「X」という2001年のTVアニメに行き着いたんだ。
原作はCLAMPで、それも漫画としては割と初期の頃の作品だという。
ふ~ん、と思ってさほど期待せずに見始めたんだけど、何だこれ?めっちゃ面白いじゃん!
あまりの過剰な厨二っぽさに、思わず笑っちゃうほどのダークファンタジーである。
「X」の主人公は司狼神威という高校生で、この名前からして相当キテるでしょ?

司狼神威

「X」は、こういう厨二っぽい美男美女がわんさと出てくるのよ。
ストーリーは単純である。
異能力者たちが「天の龍」「地の龍」というふたつの陣営に分かれて戦うといった感じ。
前提として、どうやら地球が人類による環境汚染によってヤバい状況にあるらしく、それを踏まえて
・地の龍⇒文明を破壊し、人類を滅ぼすことによって地球を再生させる
という大義をもつ陣営が7名。
それに対して
・天の龍⇒地の龍を滅ぼし、人類存続から彼らの未来の叡智に期待する
という大義をもつ陣営が7名。
で、7vs7の殺戮になるんだけど、本作の監督の川尻さんは「バンパイアハンターD」や「妖獣都市」で知られるようにダークファンタジーを作らせれば日本屈指の人ゆえ、めっちゃこの作風にハマってるのよ。
よくよく話を聞くと、CLAMPはもともと菊地秀行先生の大ファンらしい。
その菊地先生の「妖獣都市」や「魔界都市<新宿>」をアニメ化した監督が他ならぬ川尻さんであって、そういう意味ではCLAMP⇔川尻善昭は最初から相思相愛、相性抜群だったんだと思う。
バトルの感じは、「Fate」の聖杯戦争にイメージに近いね。
「Fate」ファンで「X」を見てないという人は、ぜひ一度見てみてほしい。

あと、これには劇場版があるんだ。
別にTVアニメと繋がってるわけじゃなく、各々が別個に完結した作品である。
ただTVアニメは24話なのに対して劇場版は90分なので、映画はほとんどバトルシーンばかりで構成されている。
映画の方の監督は川尻さんじゃなく、りんたろう氏。
この人も演出うまいからね~。
原作が未完なのにTVアニメも映画も各々にちゃんとオチをつけており、TVのオチと映画のオチは全く違うものになっている。
このへんも各々の監督の色が出てて、なかなか面白い。
バトルの残虐度はやはり映画の方が上回ってるんだが、なんせ映画は90分だからキャラの掘り下げが足りないので、お薦めとしては
①TVアニメ(これはきっちりキャラの掘り下げができている)
②劇場版(こっちはTV版以上の残酷描写がある)

という順で見てもらう方がいい。

この映画は96年作品なので、実はTVアニメより公開が早かった

もうひとつ欲をいうなら、この「X」を見る前に「東京BABYLON」というOVA作品を見ておくと一層いいと思う。
というのも「X」では「天の龍」に皇昴流、「地の龍」に桜塚星史郎という因縁の関係のふたりがいるわけで、このふたりがコンビで主演してるのが「東京BABYLON」なのよ。
このOVAを踏まえておいた方が、「X」におけるふたりの殺し合いの哀しさがより際立つだろう。

「東京BABYLON」
中央が皇昴流、左が桜塚星史郎

あと、「X」が気に入った人には「ツバサ TOKYO REVELATIONS」というOVAも併せてお薦めしたい。
これは「ツバサクロニクル」の続編的OVAで、いうなれば「X」のパラレルワールド的なものをここで見ることができるんだ。
ここでも「天の龍」「地の龍」両陣営に分かれて対立してるものの、なぜか誰も死んではおらず、それどころか最後は両陣営が和解するという大団円を迎えている。
ハッピーエンド?
まあ、そうとも言えなくはないんだが、その代わりと言っちゃなんだけど、もう世界の方は滅亡しちゃってるんだけどね(笑)↓↓

地球環境は悪化し、人類はほとんど死滅した世界
ちなみに、画は東京の風景

CLAMPといえば「カードキャプターさくら」のイメージがあるから、私にはほのぼのしたイメージすらあったんだが、案外そうでもないみたい。
・ほのぼのCLAMP
・残酷CLAMP

この2軸があるようだ。
CLAMPは女子に圧倒的人気を誇ってるようだが、そのファンたちはどちらの軸を支持してるんだろう?
私なんかは、意外と残酷CLAMPも悪くないな・・と思ってるクチなんだけど。
愛し合う者同士が殺し合うというパターン、「X」はひたすらそれのループで、見てるとだんだんクセになってきてね。
「ツバサクロニクル」も、NHKで放送したやつはさほど面白く感じなかったんだが、続編(?)OVA「ツバサ TOKYO REVELATIONS」(←前述のやつ)と「ツバサ 春雷記」はめっちゃ面白かった。
このOVAから制作がProduction I.Gに替わったのが大きいのかも?
とにかく展開がやたら残酷になってきて、主人公の小狼くんが仲間のファイの片目をエグって食べちゃったくだりには衝撃を受けたよ。

片目をエグられたファイ
エグった目を食べた小狼くん

これ、あかんやろ・・。
NHKが「ツバサクロニクル」の3期を放送せず、OVAに切り替わった意味がようやく理解できた。
だってさ、「CCさくら」で毎回「さくら怪獣じゃないもん!」とか言ってたあのカワイイさくらちゃんが

パラレルワールドとはいえ、「ツバサTOKYO REVELATIONS」ではここまで血で薄汚れてしまうということの衝撃・・↓↓

「TOKYO REVELATIONS」でのさくらちゃんはあまりにも不幸すぎる
そして、謎のシーンが挿入されている・・

もともと、CLAMPの実体は同人作家の有志だと聞いている。
それも「聖闘士星矢」の同人誌だったとやら?
でもって、菊地秀行先生のファンだろ?
これどう考えても、ほのぼのCLAMPはフェイクだわ。
残酷CLAMPの方がCLAMPの本性だと考えるべきだろう。
「ツバサ 春雷記」もまた、とても哀しい話だった。
しかもこの「春雷記」、「ツバサクロニクル」のターニングポイントとなる章であると同時に「XXXHOLiC」の最終章ともカブってて、めっちゃ構造がややこしいんだよね。
ここで、「XXXHOLiC」本編の侑子さんと四月一日くんの別れという超重要シーンが描かれてるわけよ。
そう、CLAMPの作風の困るところは「複数の作品を繋げてしまう悪いクセ」なんだ。
お陰でひとつの作品に手を出したら、話が繋がってる他作品も気になって、ついついそっちにまで手を出してしまう。

色々なCLAMP作品に出てくる四月一日くん

とにかく、CLAMPの真髄が残酷CLAMPであるとするなら、その最高峰は「X」で間違いないだろう。
もう一度整理すると、
①東京BABYLON OVA2作品
②X TVアニメ 全24話
③X 劇場版
④ツバサ TOKYO REVELATIONS OVA3作品

という流れでの視聴をお薦めしたい。

④に出てくる司狼神威ら「X」のメンバー

古い作品だが、ネットで検索すれば普通に無料視聴可能なフル動画があるので、ご心配なく。
BL臭は多少あるけど、私ですら耐えられたんだから大丈夫ですよ。


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