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「響け!ユーフォニアム」男には理解しにくい、女子の世界観

皆さんは、「響け!ユーフォニアム3」見てますか?
この作品は皆さんもご存じのように、武田綾乃さんが書いた小説のアニメ化である。
「ユーフォニアム」を書いたのは、彼女がまだ学生の頃だったらしい。
早熟の天才かよ?
あと武田さんって、めっちゃ美人なんだよね。

小説家・武田綾乃

彼女は小~中学に吹奏楽をやっていて、高校は文芸部だったらしい。
ちなみに、高校は京都でも屈指(偏差値70以上)の進学校である。
才色兼備・・。
彼女の表情を見てると分かるが、この人は絶対に陰キャじゃないよね。
むしろ、本人が意識せずとも人が寄ってくるタイプだ。
だから、いまどきの物語によくありがちな「ヒロインが陰キャ」という設定は、あまり作家として得意じゃないはず。
多分、「ユーフォニアム」のヒロイン・黄前久美子のモデルは武田さん自身だと思うけど、確かに黄前さんの周りにはなぜか人が寄ってくる(トラブルが寄ってくる)感じだよね。
「黄前相談所」とか呼ばれてるし。
それでいて、当の本人は自分がグループの中心人物だという自覚がほとんどない。
こいつ、これだけ美人でありながら、自分が皆を惹きつけてるという自覚がないタイプか?

作者の意図としては「ぽやっとしていて冴えない子」に設定してるっぽい黄前久美子
でも実際は、かなり魅力的な女子だよな?

このアニメを見てると、「あぁこれ、絶対女子が作ったやつだな」とすぐに分かるわ。
だって、物語に男子っぽい価値観が希薄だもん。

ジャンプ三原則】
友情・努力・勝利

部活系アニメにおける男子っぽい価値観とは、「勝ち負け」である。
早い話、ここで一番最強なのは誰かハッキリさせようぜ、みたいな感覚さ。
ボス猿の理論とでもいうべきか、とにかく男子ってのは、最強をハッキリとさせたがるものなのよ。
私もサッカー部だったし、「キャプテン翼」が大好きでよく読んでたから、「キャプ翼キャラ最強フォーメーション」とか授業中よくノートに書いてたもんさ。
えーと、システムは3-5-2だな。
2TOPは日向と、あとポストプレーができる若島津をFWにコンバートするとして、当然トップ下は翼くんだろ。で、ボランチは・・

みたいな、ホントどうでもいいことを延々と書いてたんです(笑)。
とにかく男子は、「格付け」とか「ランキング」とかが大好き。
でも、女子は違うだろ?
彼女たちはそういうものよりも、もっと優先してるものがある。
そのへんを私はうまく言語化できないけど、「ユーフォニアム」の空気感はそういうのが実にうまいこと描かれてるんだよね。
大体、男子の価値観なら主人公は黄前さんじゃなく天才系の高坂麗奈になるはずだし、あとはライバル校にチート級のキャラが出てきたりして、もっとピリピリと緊張した展開になっていくはずなんだ。
しかし「ユーフォニアム」は、そういう展開にはならない。
あくまで内輪で、なんかデリケートな人間関係でヤキモキするばかり・・。

でね、これは先日ネットで見つけた「ユーフォニアム」最強奏者ランキングなんだが、そのTOP10を見てもらいたい。

「響け!ユーフォニアム」最強奏者ランキング

【1位】
鎧塚みぞれ(オーボエ)※OG
【2位】
高坂麗奈(トランペット)
【3位】
川島緑輝(コントラバス)
【4位】
佐々木梓(トロンボーン)※立華高校
【5位】
田中あすか(ユーフォニアム)※OG
【6位】
黄前久美子(ユーフォニアム)
【7位】
黒江真由(ユーフォニアム)
【8位】
中世古香織(トランペット)※OG
【9位】
吉川優子(トランペット)※OG
【10位】
笠木希美(フルート)※OG

なんか、引退した人たちがだいぶ入っちゃってるが、そこはご容赦下さい。
で、1位は鎧塚先輩ですわ。

オーボエ担当・鎧塚みぞれ

彼女が実力NO.1というのは、私も納得。
だって、新山先生が部員の中で唯一、音大進学を勧めたのが鎧塚先輩だからね。
3年時の夏にはさらにひと皮剥け、もう彼女はトンデモない水準にまで覚醒していた。
このくだりを描いたのが、映画「リズと青い鳥」(2018年)である。
「ユーフォニアム」ファンはほぼ全員これを見てると思うけど、これは黄前久美子でなく鎧塚先輩が主人公に据えられたスピンオフ(黄前久美子はモブ扱いになってて、セリフが1個しかなかった)だ。
監督はいつもの石原立也でなく、山田尚子。
だからというわけじゃないにせよ、このスピンオフのクオリティは本編「ユーフォニアム」を凌いでいるといっても過言ではない。
とにかく描写が、めっちゃ繊細!
その繊細さは、「ユーフォニアム」の1.5倍ぐらいある。

「リズと青い鳥」は、本編とキャラデザが少し違います

鎧塚先輩は、かなり男性向けのキャラである。
なぜって、彼女を構成する「天才」「覚醒」「寡黙」という要素は、全てが部活アニメの文法なんだよ。
「キャプ翼」読んで育ってきた、男の琴線にこそ触れる文法である。
あとは、高坂麗奈もそうだね。
彼女の「エリート」、そして激しい「熱血」の要素は、男の琴線に触れる。

転校生・黒江真由

そして、3期から彗星のごとく登場した新キャラ・黒江真由。
彼女は部活アニメの王道、「主人公のライバル」設定。
本来「ライバル」という要素は男の琴線に触れるものなんだが、しかしこの作品のややこしいところは、この黒江という子の性格だよ。
彼女は、レジェンド・田中あすか先輩とよく似た音を出すなど、技術的には恐ろしく上手く「ライバル」としての資質は十分なものの、なぜか勝ち負けの土俵には安易に上がってこない、妙にリベラルなタイプだ。
男目線では、なかなか掴みにくいキャラである。
でも、女子目線では「あ~、分かる分かる~」というタイプかもしれん。
逆に今の吹奏楽部において、男目線で最も分かりやすいといえるのは、高坂麗奈なんだ。
全国大会金賞を目指す⇒全員上手くならなければ⇒全員に厳しく指導すべしという分かりやすいロジックで動いてる子だから。
だけど女子ってやつは、なぜか非ロジック要素を大事にするんだよな~。
そこが、ややこしい・・。

黄金コンビ、黄前久美子と高坂麗奈

そして部長の黄前久美子は、ロジックと非ロジック、その両方を読み取れる稀有なタイプである。
もともとのベースは非ロジックの子だったと思うが、ややこしい田中あすか先輩や高坂麗奈に揉まれる中で、ロジック・非ロジック両方の理解をできるキャラにまで成長した。
むしろ、今の彼女の唯一というべきストロングポイントは、そこだろう。
「キャプ翼」でいうなら、翼くんは高坂麗奈であり、さしずめ黄前久美子は岬くんといったところ。
天才で天然な翼くんを理解できる無二の相棒であり、一方で理解されにくい翼くんの意図を翻訳して周囲に伝えることができるコーディネーターとしての役割が岬くんにはある。
そう、黄前さん=岬くんなんだよ。

翼くん(左)と岬くん(右)

私は原作を読んでないので今後の展開がどうなるかは知らんが、また例によって「オーディション」で揉めることは想像に難くない。
ましてや、今回は黄前さんに「ライバル」がいるんだろ?
黄前久美子vs黒江真由
うん、この展開は男目線でも面白くなりそう。
男ってやつは、「vs」が好きだから。
いいね。
多分、今後の吹奏楽部は、こんな感じに変貌していくと思う↓↓

ここまでいけば、悲願の全国大会金賞は実現できるだろう。
ファイナルシーズンなんだから、ぜひ金賞獲ってもらいたいね。
友情・努力・勝利
男目線でいうと、今の「ユーフォニアム」には「勝利」の成分が足りない。
男ってやつは、最後には勝ってカタルシスを得たいものなんだよ!

とりあえず、滝先生の櫻井孝宏が降板してなくてよかった・・


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