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日本アニメ界における、3大女性作家は?

表題の通り、「日本アニメ界における3大女性作家は?」は問いに対して、皆さんならどう答える?
私なら、もう答えは決まっている

【岡田磨里】1976年生まれ47歳
・「あの日見た花の名前を、僕達はまだ知らない」脚本
・「とらドラ!」脚本
・「花咲くいろは」脚本
・「さよならの朝に約束の花をかざろう」監督

いしづかあつこ】1981年生まれ42歳
・「宇宙よりも遠い場所」監督
・「ノーゲームノーライフ」監督
・「さくら荘のペットな彼女」監督
・「ハナヤマタ」監督

山田尚子】1984年生まれ39歳
・「けいおん!」監督
・「リズと青い鳥」監督
・「聲の形」監督
・「平家物語」監督

私の中で、上記3名は「美人3姉妹」という設定になっている。

手前から、三女・山田尚子、次女・いしづかあつこ、長女・岡田磨里

という冗談はともかくとしても、実際3名は割と年齢が近く、ビジュアルも美人揃いである。

岡田磨里
いしづかあつこ
山田尚子

3人とも優秀かつ美人って、日本の女性作家は一体どうなっとんねん!
こんなの、後に続く下の世代が超プレッシャーで可哀相じゃないか!
ブサイクな女子が監督や脚本家を志望しにくくなった現実を反省しなさい!
という冗談はともかくとして、今回取り上げたいのは次女のいしづかあつこ監督である。

「宇宙よりも遠い場所」

彼女の代表作といえば、やはり「宇宙よりも遠い場所」だよね。
青春ドラマとして、日本アニメ史上最も完璧な作品のひとつである。
正直私も、これの11話、12話で号泣したクチでして・・。

第12話のワンシーン

正直、いしづか監督は「泣かせの達人」だと思う。
私、「さくら荘のペットな彼女」でも泣いちゃったんだよね・・。

「さくら荘のペットな彼女」

ただ、「宇宙よりも遠い場所」は花田十輝の脚本の力、「さくら荘のペットな彼女」は長女・岡田磨里の脚本の力に頼る部分が大きかったと思うので、本当の意味で彼女が「泣かせの達人」に開花したのは、彼女自身が監督のみならず脚本まで手掛けた作品、「グッバイ、ドン・グリーズ!」じゃないかと思う。

映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」(2022年)

この映画、見たことある?
まだ見てないなら、ぜひ一度見てほしい。
「宇宙よりも遠い場所」が女子4人組の冒険譚として、こっちは男子3人組の冒険譚である。
正直、裏宇宙よりも遠い場所という感じだね。
やっぱ、泣けますよ・・。
さて、彼女のこのエモい作家性は一体どこからきてるのか?
実をいうと彼女は芸大在籍の頃から、既に映像作家としての名を馳せた人物だったんだ。
有名なところでは、「NHKみんなのうた」で↓↓のアニメ映像を制作してたという。

なんか、この時点でもう大学生の域を超えてると思うんだけど・・。
で、大学卒業後は「マッドハウス」に就職することになるんだが、もともとアニメーター志望だったかというとそういうわけでもなかったみたいで、実は彼女、あまりアニメに精通してなかったらしいのよ。
彼女の年齢なら、子供の頃「ミンキーモモ」とかに夢中になってるのが普通だろうに、どうやらそういう道は通ってこなかったらしい。
ちなみに、これまで見てきたアニメは
・ドラえもん
・風の谷のナウシカ
・天空の城ラピュタ

らしい(笑)。
逆にイイかも。
これを好意的に解釈すると、彼女は「無色」「変なクセがついてなかった」ということだ。
そんな彼女が入社したのが、あの丸山正雄プロデューサーのマッドハウスだったのも幸運したのか、彼女は20代のうちに早くも監督デビューすることになった。
それが、「青い文学」シリーズである。

青い文学「蜘蛛の糸」
青い文学「地獄変」

「青い文学」は日本の近代文学をアニメ化した企画で、マッドハウスの新鋭監督数名で全12話を分担する形になっていた。
具体的には、浅香守生(「CCさくら」「ちはやふる」等の監督)が太宰治を担当し、荒木哲郎(「進撃の巨人」「DETH NOTE」等の監督)が坂口安吾を担当、みたいな感じ。
そして、いしづか監督はトリの芥川龍之介蜘蛛の糸」と「地獄変」を担当するという、新人にしてはいきなりの大役。
なんか知らんがキャラデザは「BLEACH」の久保帯人、声優が堺雅人というややこしいことになっていて、多分大変だったと思うよ。
で、その内容については上の画像でお分かりのように、おどろおどろしくてグロくて、ホントにいしづかさんが監督したの?といった印象。
「無色」だった彼女ゆえ、逆に何でも出来たのかもしれないね。
で、この次に彼女が手掛けたのが、「さくら荘のペットな彼女」。
ここで彼女は、岡田磨里さんとコンビを組んだんだね。

これは青春ドラマ不朽の名作ゆえ、見た人は多いと思う。
そりゃ、岡田磨里+いしづかあつこ+鴨志田一(青春ブタ野郎の原作者)で面白くならないわけがないさ。
岡田さんといしづかさんは家もご近所だったみたいで、すぐに意気投合したらしい。
多分、この作品でようやくいしづか監督に「色」がついたんじゃないかな?
濃い目のエモさというか・・。
あと、私はいしづか作品だと「ハナヤマタ」も好きだね。
これは「よさこい」に取り組む女子高生たちを描いた物語なんだが、やはり彼女は等身大の青春ドラマをやらせるのが一番しっくりくるわ。

「ハナヤマタ」

いしづかあつこ、岡田磨里、山田尚子。
彼女らの作品には、ひとつの共通性があると思わないか?
敢えて分かりやすいところをピックアップするなら、

・いしづかあつこ「宇宙よりも遠い場所」
・岡田磨里「あの日見た花の名前を、僕達はまだ知らない」
・山田尚子「聲の形」

これらは全て、死を取り扱ってるんだよ。
そして主人公はそれを消化し、自らは生きるという「生の肯定」のドラマとなっている。
生の肯定って、ごく当たり前のドラマじゃん?と思うだろうが、実際彼女らの描くドラマはごく当たり前の物語性さ。
ただ、その当たり前の物語を全く嫌味なく、まっすぐ描けるところが何よりも凄いんだ。
これって、彼女たちが女性だからじゃないだろうか。
男性にはなく、女性だけが持つひとつの強みは、子供を産めることである。
自らの胎内に生命を宿せる、その機能の根源とは、圧倒的な「生の肯定」に他ならない。
対する男性の場合、種の存続をかけて最優先にすべき事項は
群れを守ること=子を産める女を守ること
であり、自らは生命を危険にさらしてでも外敵と闘う本能が刷り込まれている。
そして、その本能の根源とは、圧倒的な「死の肯定」。
死の肯定=戦士の勇敢さ、と置き換えてもいいわな。
このへんは男女の相容れない、太古からの根源的な相違なんだが、逆にこの相違があったからこそ、人類という種は今日まで生き延びてこられたわけよ。
ただ、「死の肯定」の男性が「生の肯定」の物語を描いた場合、どうしても嘘臭くなっちゃうんだよね。
逆に、女性が「死の肯定」を描いた場合(主に殺し合いとか)にも、それはいえるんだけど。

男の象徴・富野由悠季なんて、普通に皆殺しにします・・

いしづかあつこの最新作「グッバイ、ドン・グリーズ!」は、やはりここでも【死の消化⇒生の肯定】という鉄板のプロットでした。
遺された者は、いかに生きていくか、という物語。
相変わらず、嫌味のないドラマを作る人だ。
特に、これは彼女が脚本から作ったという初の作家性100%の作品だけに、一見の価値あり、である。

いしづかあつこ監督作「グッバイ、ドン・グリーズ!」興行収入1億円
岡田磨里監督作「さよならの朝に約束の花をかざろう」興行収入3億5000万円
山田尚子監督作「聲の形」興行収入23億円


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