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「青春ブタ野郎」確かに理論上、透明人間化はあり得なくない?
今回は、「青春ブタ野郎」シリーズについて書いてみたい。
先日、劇場版の「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」を見たんだけど、う~ん、どう表現したらいいのかな・・。
良い意味でも、悪い意味でも「平常運転」。
思えば、前作「おでかけシスターの夢を見ない」もそうだった。
劇場版だからといって特別何か変わったことをやるわけでもなく、
「テレビアニメ用に作ってみたけど、尺が中途半端だから劇場版にしたよ」っぽいものすら感じたわ。
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とはいえ、内容的にはとても満足してるんだ。
なんていうか、この「平常運転」に安心感があり、逆に心地いい。
この安心感を担保してるのって、私はエンディングテーマの存在が大きいと思う。
「不可思議のカルテ」
テレビシリーズ、そしてこれまでの劇場版3作品、全てにおいてこの曲一本で統一している。
歌い手はその都度変わるものの、やはり「青ブタ」といえばこの曲、というイメージが定着してるよなぁ・・。
ラストにこの曲を聴いただけで、一定の満足感を得られるのは一体何なんだろう?
とにかく、「青ブタ」は根強く人気あるよね。
こういう不思議な出来事を題材にした青春モノって、もうそれだけでみんな大好物なんですよ。
このての学園不思議系って、そのルーツを辿れば80年代の大林宣彦作品に行き着くんじゃないかな?
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俗にいう、尾道3部作だね。
「人格入れ替わり」や「タイムリープ」等、今となってはベタな展開の基礎を作ってくれたのが、この大林宣彦監督である。
で、こういう大林ネタはやがて色々な漫画、小説、アニメで使われるようになったんだが、その決定版ともいえたのは「ココロコネクト」だったんじゃないだろうか。
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これ、結構好きだったな~。
男子2人、女子3人の高校生グループが毎回不思議現象に見舞われる系の物語で、それも
・人格が入れ替わってしまう
・心の声が人に聞こえてしまう
・体が子供になってしまう
・欲望が解放されてしまう
・記憶が消えてしまう
・未来が見えてしまう
などなど、めっちゃ現象のバリエーションが豊富。
だけどこれ、あくまでも「ファンタジー」なんだよね。
一方、「青ブタ」の方はファンタジーというより、「SF」である。
じゃ、「青ブタ」をファンタジーでなくSFたらしめてるものは一体何かというと、それはこの人の存在ですよ↓↓
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私が「青ブタ」で最も好きなキャラ、双葉理央。
彼女はメガネ女子、理系女子、衣装は白衣、引きこもり(物理実験室に)。
何より双葉の担当声優は種﨑敦美さんだし、その低体温で気だるいキャラは何となくお分かりいただけると思う(例/フリーレン、鎧塚先輩etc)。
でも、この子はテンション低い割にめっちゃいい子で、主人公・咲太の周りで起きる不思議現象を全て量子力学で解説してくれるという便利な役回りになってるのね。
正直、この子がいなかったら「青ブタ」はSFとして成立してないよ。
私、双葉のファンなので、「不可思議のカルテ/双葉ソロversion」を貼っておきます。
あぁ、双葉・・。
で、この作品に出てくる不思議現象は、全て「思春期症候群」という現象として物語の根幹をなしているんです。
どうやら人間が思春期限定で引き起こす、一種のサイキック(?)らしい。
その詳細については、いまだ不明。
ただ唯一双葉だけが、これを量子力学で理論的な説明をつけようとしてくれている。
たとえば、この「青ブタ」における最初の事件、「桜島先輩が見えなくなる現象(透明人間化?)」。
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双葉は、この現象の説明に量子論を持ち出してくるんだよね。
<量子力学二重スリット実験>
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皆さんもよくご存じ、二重スリット実験。
この世界全てを構成する最小単位「量子」は、
観測することで初めて粒子化する⇒実体化する
ということが上の図のような実験で証明されたわけさ。
まず、これが量子論というものの大前提。
じゃ、観測しない時はどうなるの?ということになるんだが、その答えは
確定しない状態(実体化しない状態)
ということになる。
全てのカギを握るのが、「観測」。
世には「フタを開けてみるまでは分からない」という言い回しがあるけど、量子力学のキモはまさしくそれで、フタを開けた時(観測した時)に初めて量子が確定する(箱の中のモノが現実化する)ってこと。
そして我々がいるこの世界は、観測されてるからこそ存在している。
・・じゃ、逆に観測されなかったらどうなるの?
そう、それこそが桜島先輩の透明人間化現象の真相。
桜島先輩は観測されないから量子が確定しない⇒肉体が実体化(粒子化)しない
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観測されない時、量子は粒(可視)でなく波(不可視)。
そして現在、桜島先輩を構成する量子は「波」という不確定な状態であるがゆえ、周りの人たちにはほとんど見えなくなってるんだね。
・・さて、ここでひとつ疑問に思わないか?
この場合、「観測者」って誰なの?
うん、たとえば「涼宮ハルヒの憂鬱」なら、「観測者」はハルヒである。
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「STEINS;GATE」なら、「観測者」は岡部倫太郎である。
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「サマータイムレンダ」に至っては「観測者」が2人いて、慎平とハイネ、観測者同士闘って生き残った方がセカイを確定できる、というノリだったよね。
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じゃ、「青ブタ」の「観測者」は一体誰なのか?
双葉は、それは「学校」だと分析していた。
学校が彼女を「観測」しないことによって、彼女の存在は確定しなくなったんだ、と。
・・怖い話だね。
学校で空気扱いされると、ホントに空気になるのか?
というか、この作品では「観測者」の存在が割と首尾一貫せず、ブレブレなんだわ。
事実、最新作「ランドセルガールの夢を見ない」だと、今度は主人公・咲太が透明人間化現象に陥ってるんだが、これは明らかに学校が原因ではない。
どちらかというと、今回は本人の深層心理の方に原因があった様子。
そもそも、「青ブタ」の「思春期症候群」は大体そういう構造になってて、どのケースにおいても、その現象を引き起こしているのは本人の深層心理なんだよ。
おそらく桜島先輩の件も、先輩自身の「観測」が問題だったんだと思う。
ほら、「思春期」は誰でも心の中にモヤモヤしたものを抱えて悩んだりするでしょ?
そういう不安定な深層心理が、自分が自分自身の「観測」を拒んでるんじゃないだろうか。
すると量子は「粒」とならず「波」のフワフワした状態のままとなり、その不確定性がセカイを不安定にしちゃうんだろう。
とにかく、「青ブタ」作者・鴨志田先生の考え方は
「観測者」は世界に1人とかじゃなく、みんなが個々に「観測者」である
というものっぽい。
これ、意外と真理かもしれないなぁ・・。
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この「観測」⇒「確定」において、最もドラマティックな物語だったのが、劇場版1作目の「ゆめみる少女の夢を見ない」だったと思う。
・咲太が死ぬ世界線
・桜島先輩が死ぬ世界線
・牧之原翔子が死ぬ世界線
さあ、どれを「確定」する?という話だったんだから。
「確定」しなければ、やり直せるのか?
どうやら、そうみたい。
「シュレーディンガーの猫」は、箱を開けるまで箱の中の猫は生きた状態と死んだ状態が並行する「パラレルワールド」になってるという。
箱を開けた瞬間、セカイはひとつに収束しちゃうんだろうけど。
多分、「ゆめみる少女の夢を見ない」という物語は、箱を開ける前のセカイを描いていた、というのが妥当な解釈だと思う。
とりあえず、今後の「青ブタ」は「大学生編」になるらしいね。
大学生になってもまだ、「思春期症候群」は続くのか・・。
これはこれで楽しみである。
ところで、原作小説の流れはよく知らんけど
大学生になっても双葉は出てくるよね?
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