なぜあの人は好かれるのか?愛される人がやっているコト(ベン•フランクリン効果)
「はぁ、あの人苦手だけど、仕事の依頼しなきゃ。嫌だなぁ・・・」
そんな時ってありますよね。仕事は人間関係で成り立ってます。人間ですから好き嫌いもあります。そんな中でもうまくやっていかなければなりません。
一方で、周りを見ると非常にうまくやっている人がいます。「◯◯さんは誰からも好かれるなぁ」なんて話を聞く事もあります。
人から好かれる人は何が違うのでしょうか。どうすれば、上手く人間関係が築けるのでしょうか。好意を持たれるコミュニケーションについて考えてみます。
嫌いな人から好意を得ることは可能?
冒頭の「嫌いな人に何かを要求する」シーン。誰もが一度は経験がある、タフなシチュエーションです。できることなら避けたい。でもそこは仕事、やるしかない。そんな時どうすれば良いでしょうか。
あからさまに機嫌をとったり、おべっかを使うのは逆効果。ますます嫌われかねません。実は、自分への敵意をやわらげさせる方法があります。それは、「ちょっとした頼みごとをする」という手法。
「なんのこっちゃ?」と思うかも知れませんが、この「小さなお願い」のパワーは侮れません。「小さなお願い」がもたらすメリットとそのメカニズムについて見てみましょう。
不思議な効果「ベン•フランクリン効果」
ベン•フランクリン効果という言葉をご存知でしょうか。アメリカの物理学者ベンジャミン・フランクリンから名付けられた人間関係における特殊な効果のこと。このフランクリンさん、100ドル札になっている人なので、顔は見た事があるのではないでしょうか。
フランクリンさんはアメリカで避雷針を発明した人です。政治家でもある彼は当時、議会の中で敵対心剥き出しのライバル議員に困っていました。その時にフランクリンさんが取った行動は、そのライバルから「本を借りる」という意外な行為でした。
相手の教養が高いことを知ったフランクリンさんは珍しい一冊の本を借りれないかと打診しました。ライバル議員は意外にもその頼みに応えてくれました。そこから良好な関係を築く事ができたのです。
これがベン•フランクリン効果の元になったエピソードです。でも、「え?なんでハッピーエンドなの?」と思いますよね。たかだか本を貸しただけで関係が良くなるのでしょうか。そこには人間が持つ不思議な思考の癖が関係してます。
これは「認知的不協和の解消」が背景にあります。自分がとった行為に正当な理由を考えてしまう、という人の脳が持つ特性が関係しています。自分の物事に対する態度とそれに取り組む行動が一致しないとき、認知的不協和という不快さやストレスを感じるようにできています。筋が通らないことに気持ちが悪さを感じ、無意識の内にこれを解決しようとします。
本を貸した相手に起こった現象はこんな感じです。
1. 敵対視しているフランクリンに本を貸した。つまり助けるという行動を先にしてしまった。
2. 「なぜこいつを助けなきゃいけないんだ?」と認知的不協和が起こる。困惑する。
3. 脳は困惑による不快さやストレスを取り除きたくなる。先に行動をしているので、考え方をねじ曲げて補正しようと動く。
4. 「こいつには助ける程の好意を持つ価値がある(ということにしよう)」と、考え方をねじ曲げ、帳尻を合わせ、正当化する。
5. 認知的不協和は解消しされ、不快さとストレスがなくなってスッキリ。
6. 最後には相手への好意が残る。
小さなお願いにより、相手にこんな思考の変容を促す事ができるのです。ベン•フランクリン効果、すごいですね。ちなみに、フランクリンさんはこの本に全く興味がなかったそうです。したたかですね。そして、このエピソードの後も小さな願いをしまくって人望を集めたそうです。恐るべしベンジャミン•フランクリン。
私達の日常の中にも、はじめは嫌いな人に対しても、「しゃあないなぁ、わかったよ」と依頼に応えるシーンがありますよね。これは正にベン•フランクリン効果が発動している瞬間ですね。
つまり、「相手の気持ちを変えるにはこっちが何かするのではなく、相手に何かさせる」事が大切です。お願いされ、それに応える内にその人をどんどん好きになる。お願いされた方が相手を好きになるのは何とも不思議ですが、この心理法則は使わない手はありません。
昔から「手がかかる子ほど可愛い」と言いますが、これもこの効果によるものだと思います。
苦手な人には小さなお願いをしましょう。それを繰り返す事で、相手はどんどん好きになってくれます。誰からも愛される人は実はお願い上手だったりするのです。
「一貫性の法則」への広がり
「小さなお願い」には実は別のメリットがあります。それは、そのお願いの先に、次のお願いも通りやすくなるということです。これは「一貫性の法則」と言われる心理法則です。
「一貫性の法則」とは自らの行動や発言、態度、信念などに対して一貫した行動をとりたいという心理のこと。小さな要求を通した後に、大きな要求を通す「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」という技術がありますが、これは一貫性の法則によるものです。
そう考えると、小さいお願いがいかに重要か、そして、その「最初のお願い」をいかに早めにするかが人間関係を構築する上で重要ですね。そのお願いの先には、一貫性の法則に乗って、どんどん人間関係が良くなるという幸せな未来が待っています。
「小さなお願い」のコツ
「小さなお願い」のパワーが分かったところで、具体的に実行するポイントは、「その場ですぐしてくれる」レベルの小さいお願いをすることです。
例えば、「今何時ですかね?」「今日って雨降るんですかね?」など時間、天気について聞いてみる。スマホがあるので自分で調べればいいのですが、それをあえて軽くお願いするのは、有効です。誰も嫌がらないので、簡単に応えてくれます。
あとは、「〇〇についてどう思います?」「感想教えてください」といった相手の考えを教えてもらうのも良いです。相手の思考の癖を知ることができますし、何より思っていることを言うだけなので、相手の負担が軽いです。
大切なのは「ありがとう」と感謝を伝えることです。「感謝されるようなことをした」という情報が、相手の「認知的不協和の解消」のスイッチを押し、好意へと変換されていきます。
「ベン•フランクリン効果」の逆活用
「お願いに応えるとその人に好意を持つ」、という法則は何も相手にだけ機能するわけではありません。自分にも使えます。つまり、気に入らないけど関係を築きたい人、好きになりたい人に、自分から助けに行けばおのずとその人が好きになるということです。
そして、このメリットは助けられた相手には「返報性の原理」、つまりお返ししたくなる衝動が芽生え、良いフィードバックが期待できます。
嫌いだと思っていた人から、お返しされる。その先にはお互いに好きになるという善循環が生まれます。
手っ取り早く人間関係を構築するためには、その人の役に立とうとすることです。そうすることで、自分の中の苦手意識がベン・フランクリン効果によって、好意に書き換えられていくのです。
まとめ
周りを見渡すと「甘え上手な人」っていますよね。そういう人達は小さなお願いをする達人なのです。知らず知らずベン・フランクリン効果が発動し、お願いを受けた相手からどんどん好意を集めています。放って置けない存在になります。
「母性本能をくすぐる」という感覚も近い感覚かもしれません。甘えられて助けることで好意が芽生えます。
日本人はNoと言わない人種だとよく言われます。少々無茶なお願いでも、実は大概の事は受けてしまうものです。そう考えると、お願いしない手はありません。
「小さなお願い」を通して、お互いに好意を持ちながら円滑なコミュニケーションができれば、ストレスのない毎日を送れるのではないでしょうか。
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