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気ままな読書日記

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ジャンル関係なく、気ままに本の感想を書いていきます。
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2022年8月の記事一覧

伊集院光『名著の話 僕とカフカのひきこもり』KADOKAWA

伊集院光『名著の話 僕とカフカのひきこもり』KADOKAWA

NHKのEテレ「100分de名著」に出演している伊集院さんが出会った約 100冊から、心に刺さった3冊を厳選して再読、さらに名著を紹介してくれた3人の先生と再会して語り合ったのが、本書である。

カフカ『変身』、柳田国男『遠野物語』、神谷美恵子『生きがいについて』の3冊である。先生方は、それぞれドイツ文学の川島隆さん、『柳田国男全集』編集委員の石井正己さん、批評家、随筆家の若松英輔さんである。

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厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』ぴあ

厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』ぴあ

若い人を中心に投資に関心がある人が増えていると言う。しかし、やはり投資というと大損しそうだし、そもそもやり方もわからない。そんな投資に興味のある人に向けて書かれたのが、本書であり、ベストセラーとなった。

やさしい語り口で書かれているので、とても読みやすく、わかりやすい。売売れ行きが良いのもわかる気がする。「お金の増やし方」と書いてあるので、手に取りやすいこともあると思う。

投資をしていない人は

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恩藏絢子、永島徹『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』中央法規出版

恩藏絢子、永島徹『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』中央法規出版

脳科学者の恩藏絢子氏は、同居する母親がアルツハイマー型認知症と診断され、とても混乱してしまったという。脳科学の専門家にもかかわらず、母親が「脳」で病気になることを防ぐことができなかった。

「もの忘れ」「徘徊」「妄想」など、脳科学的に分析していくと、恐れる必要がないことだと気づき、意外と健康な人でもよく起こっていることだったり、その人の今までの習慣と合わせて分析すると、なんら不思議ではないことだっ

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湯川れい子『時代のカナリヤ』集英社

湯川れい子『時代のカナリヤ』集英社

昔、炭鉱で「空気の汚染」を感知するために、カナリヤが坑内で飼われていたが、湯川れい子さんは自分が身体感覚で感知する「時代のカナリヤ」だと思っているという。たくさんの良い音楽を聴いて、できる限りしっかりとした感性を保っておきたいと考えているという。

本書は、音楽評論家であり、作詞家でもある湯川れい子さんの86年間の半生を描いたものであり、男女平等、国民主権という民主主義の洗礼を受けた、戦後第一世代

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若松宗雄『松田聖子の誕生』新潮新書

若松宗雄『松田聖子の誕生』新潮新書

本書の冒頭に「この本は私の人生についての物語である。」と記されているように、松田聖子とかかわった著者の半生の記録である。

日本のアイドル女性歌手と言えば、山口百恵か、松田聖子のいずれか、または両方を上げる人が多いと思われる。松田聖子は、2曲目から24曲連続オリコン1位の記録を持つ。

この松田聖子のデビューに著者は大変苦労した。まずは父親の反対である。大牟田の社会保険事務所に勤める国家公務員で、

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