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かったぱしから読書生活

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大学卒業以来、ずっと出版業界。本が好きで、ずっとこの世界で暮らしている。読書はフィクション派。ファンタジー好きなれど、時代物、ミステリー、純文学、何でも来いで、ひたすら濫読。読書… もっと読む
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2020年7月の記事一覧

末廣圭「援女体」

末廣圭「援女体」

末廣圭「援女体」。電子復刻第90弾。官能ロマン小説なので、今日のお話は女性の方々は読まなくて結構。今一つ元気のない会社の男性たちを、援助交際ならぬ応援交際しようと、仲良し4人の美女OLは四谷の小料理屋「いまい」で気勢を上げる。先ずはボス格の佐々木由紀子から行動開始。愛社精神と、互助精神。こういう会社があればいいなあという男の願望。さぞや出社も楽しかろう。意外や男性陣が、実力も気力も充実。背中を押し

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末廣圭の官能小説電子復刻コンプリート

末廣圭の官能小説電子復刻コンプリート

末廣圭の官能小説、さすがにこれで官能小説の電子書籍化は、全41点でとりあえずお終い。「一盗二卑三妾四妓五妻」との言い伝えがあるが、やはり人妻物の売れ行きが良い。相変わらず力作揃いの帯キャッチフレーズ。
①艶火〜突然したくなる女たち。きて・・・お願い、早く来て!どうにもとまらない
②援女体〜元気がないのは大嫌い! うなだれないで、うつむかないで大きくなりなさい
③贅沢な浮気〜乱倫人妻大乱舞! 疼きは

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末廣圭「艶火」

末廣圭「艶火」

末廣圭「艶火」電子復刻第89弾。官能ロマン小説なので、今日のお話は女性の方々は読まなくて結構。今回は四つの短編集。https://www.amazon.co.jp/dp/B08DNDMLCN/
①「上司の仮面」では、自動車販売会社の営業所長である吉永久美子・43歳は本部からのノルマを厳しく口にして、所員たちから疎んじられていた。しかし売れっ子セールスマンの貝塚義一が仕掛けた手相占いで、人妻としての

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キングダム、朱海平原の戦いに決着

キングダム、朱海平原の戦いに決着

原泰久「キングダム」第58巻。朱海平原で趙の守護神である龐煖と死闘を繰り返す信。死力を尽くして龐煖を倒した信は、その代償に生命が尽きる。嘆き悲しむ飛信隊。しかし羌瘣が、自らの命を縮めてまでの禁断の秘術を使い、信を幽明境から引き戻す。頼みの龐煖が倒れたことで、趙軍は鄴に敗走。追う秦の王翦将軍の秦軍。しかし鄴も、秦の桓騎将軍に既に落とされていた。進退窮した李牧は鄴を後にする。入城したものの鄴に食糧は残

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坂爪真吾『許せないがやめられない SNSで蔓延する「♯怒りの快楽」依存症』

坂爪真吾『許せないがやめられない SNSで蔓延する「♯怒りの快楽」依存症』

坂爪真吾『許せないがやめられない SNSで蔓延する「♯怒りの快楽」依存症』(徳間書店)。SNSの炎上と集中砲火。SNSの普及で玉石混合のニュースが、ありとあらゆる人々から発信されるようになった。その火薬庫がtwitterである。最近で言えば、女子プロレスラーの木村花、ナイナイの岡村隆が話題となった。SNSを多用している自分にも切実なテーマなので一読。https://www.tokuma.jp/bo

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3年後の日本の恐怖

3年後の日本の恐怖

安生正「ヴァルキリー」(徳間書店)。この作品は、日本の3年先の近未来を描いている。その時の日本は、海外移民によるテロが頻発し、街中では多くの人々が口論する不寛容な社会。「悪は悪と戦い、悪を殲滅する」。グノーシス主義を現代に持ち込んだテロリストたち。ソマリア沖海賊への合同特殊作戦部隊に参加した、陸上自衛隊の香椎雄二・24歳はそこで地獄を見る。たとえ女子供であっても殺さねば、自分たちが殺される。帰国後

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末廣圭「秘情」

末廣圭「秘情」

末廣圭「秘情」電子復刻第88弾。官能ロマン小説なので、今日のお話は女性の方々は読まなくて結構。今回のお話は婦人警官の性。警察官といえども、制服の中身は一人の女性。そこには恋心もあれば、異性を求める欲望もあれば、快楽に身を溺れさせる官能もある。むしろ日頃から抑圧されているだけに、性への渇望はより強いものとなる。男性から見れば、制服フェチ的な魅力にも溢れているが、著者は制服や拳銃の中に隠れた女性たちの

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末廣圭「男は悦楽」

末廣圭「男は悦楽」

末廣圭「男は悦楽」。電子復刻第87弾。官能ロマン小説なので、今日のお話は女性の方々は読まなくて結構。主人公は出世に関心を持たない50歳手前の、冴えないおじさんだが、自分で打ち込める生き甲斐を持っている。そんな飄々とした生き方に、惹かれる女性たちも多い。彼女たちの心身に鬱屈する悩みを、歌麿は耳を傾けたり、絵筆を取ったり、身体に奉仕したりと慰める。官能描写の陰で、男と生まれた幸せとは何であるかを、著者

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末廣圭「女体の品格」

末廣圭「女体の品格」

末廣圭「女体の品格」。電子復刻第86弾。官能ロマン小説なので、今日のお話は女性の方々は読まなくて結構。今回のタイトルは、女性の品格ではなく、女体の品格。つまり男女が愛し合う行為の中で、女性が見せる品格について論じている。例えば快感の絶頂に至った女性が、隣室に聞こえるくらいの大きな声を出すことを、どう品格として捉えるか。著者曰く、女体の品格とは、麗しく悩ましい外見よりも、その女性の体内に秘められた、

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赤松利市「鯖」の地獄

赤松利市「鯖」の地獄

赤松利市「鯖」(徳間文庫)。赤松利市は62歳にしてデビューして「藻屑蟹」で第1回大藪春彦新人賞を受賞している作家。目を覆いたくなるような凄惨なシーンや、底無しの悪意をここまで徹底的に描ける作家は、なかなかいない。人間の要望や宿業を、エゲツないまでに生々しく描く。人の持つ浅ましさと生命力、それは表裏一体の汚れた魅力でもある。
その赤松利市の異色第2弾「鯖」。投網漁法に押されても、一本釣りの誇りを持

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末廣圭「恋しくてそうろう」

末廣圭「恋しくてそうろう」

末廣圭「恋しくてそうろう」。電子復刻第85弾。官能ロマン小説なので、今日のお話は女性の方々は読まなくて結構。大学生が童貞を失う過程で、女性の欲望や生態を知って惑乱するお話し。若いからって、こんなに妙齢の歳上女性にモテるのは羨ましい限り。女性って、こんなに男性の童貞喰いを好むものかというのは、男性向けの官能小説の願望か。
 主人公の滝沢慎ニは、大学合格のお祝いパーティに、中学時代の家庭教師だった憧れ

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恥味もうろう

恥味もうろう

末廣圭「恥味もうろう」。電子復刻第84弾。官能ロマン小説なので、今日のお話しは、女性の方々は読まなくて結構。タイトルはダジャレのようだが、内容は結構シリアス。エディップスコンプレックスに、ED機能が絡んだ深い苦悩がテーマだった。主人公の瀬川浩太郎・32歳はバツイチ。「ブティック・野波」女社長である野波慶子の社長秘書を務めている。48歳ながら、165cmの身長で抜群のプロポーション。しかもバツイチ。

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岸田るり子「白椿はなぜ散った」

岸田るり子「白椿はなぜ散った」

岸田るり子「白椿はなぜ散った」(徳間文庫)。この物語は、二つのミステリーで構成されている。そして双方には、表裏一体の因果関係が存在する。先ずは殺人ミステリーである。映画化も間近なミステリー作品「ホワイトローズの奇跡」の著者である人気作家・青井のぼるは、その作品の一部が盗作であると脅迫されていた。その対価に500万円を支払った青井だったが、その直後に脅迫者は殺害され、青井自身も失踪した。「自分は犯人

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末廣圭「ふたまたな女たち」

末廣圭「ふたまたな女たち」

末廣圭「ふたまたな女たち」。電子復刻第83弾。官能ロマン小説なので、今日のお話しは、女性の方々は読まなくて結構。今回は二股かける女性たちのお話。末廣圭の描く男性主人公は、マメに女性の相談に乗る。しかし相談相手は必ずプロポーションの素晴らしい美女であり、グジグジメソメソの後腐れもない。相談の手法は必ずセックスという定理。一発やるのが、女性にとっても最もストレス解消なのか。
 国府田雄二・30歳は、

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