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“PARKA Handmade Percussion”工房へ行く!
【この記事はJPC 会報167号に掲載されたものです】
11月某日、私は茨城へ車を走らせていた。
東京、千葉と通り過ぎる度に周りの木々の色付きが深くなる。
そう、今は晩秋。
都会の喧騒に紛れていては気づかない季節の移ろいに思いを馳せる。
みなさま、こんちには。
JPCの元カリスマ店員、今はパンデイロWSを主催しております、みたにです。
前回のパンデイロ紹介の記事はいかがだったでしょうか?
2ページぶち抜きでお送りしましたが、正直話し足りないというかページ数が足りなくて。
また別の機会にその気持ちをぶつけたいと秘かに企んでおります。
さて。今回のミッションは魅力的な楽器を生み出し続けるパーカッション工房“PARKA”のishikenさんに会いに行く!です。
先日、Twitterに新しいパンデイロが完成しました!という動画をishikenさんがUPしておりまして。
一目見ただけでとても魅力的な代物。
「実物を見たい!」と思った私。
これはPARKAの工房に訪れるしかない。
パンデイロを見せていただきつつ楽器にまつわる色々なお話を聞いてみたい。
そしてせっかくならその模様をJPCの会報に書いて魅力的なPARKAのパーカッションを皆さまにご紹介したい。
そして茨城特産の美味しいものがあったら食べてみたい。
などというヨコシマな願いを思い浮かべる。
でもいきなり伺って迷惑じゃなかろうか・・・
ishikenさんとも数年前に茨城に引っ越しをされてからお会いしてない。
っていうか通算で五回もお会いしてない・・・大丈夫かな・・・
5秒ほど考えてコンタクトを取ってみる。
こういうことに関して私は異常に腰が軽いのである。
早速お返事をいただける。
余談だがishikenさんは返信が早い。
素晴らしいことだ。
「ホントわざわざいらして頂いても何も面白いところが無くて申し訳無いようなところですが、それでもよろしければどうぞいらしてください!(原文ママ)」とのお返事。
いやいや!なにをおっしゃいますやら!
そこにパンデイロがあるだけで十分なのです!
とは言ったものの送っていだだいた住所だけでは見当もつかない。
地図を見てみると目印になりそうなものがほとんどない。
なるほど。
これは想像以上に遠いのかもしれない。
日程もあっさり決まり、みたには大きな期待と小さな不安を胸に茨城への日を待つのであった・・・
そして当日、いざ茨城!
めちゃめちゃ天気が良い。
いわゆる行楽日和というやつだ。
いや行楽に行くわけじゃない。
でも幸先がよいのは確かだ。
車を走らせること3時間弱。
「ここを見落とすとウチにはつけません」という目印はなんとかわかったものの、その先で自分の居場所を見失う。
結局、ishikenさんに電話して誘導してもらうことに。
そしてようやく工房へと辿り着きishikenさんともご対面。
久しぶりにお会いするけどお変わりなさそうだ。
再会を喜びつつ、早速工房へ案内していただく。
ドドン!(効果音)
ここがあの魅力的なパーカッションが生み出されてる現場だ!
フレームに使う木材をはじめパンデイロのジングルを抜く前の金属板や工具などを見せてもらいながら色々な話を伺う。
「意外と使う道具は少ないんですよ」とご本人はおっしゃっていたが、接着剤だけでも5種類使ったり、パンデイロの型を作るためにオリジナルの道具など作ったり、と随所にishikenさんならではの工夫が窺える。
よく見るとカホンを椅子にしているところとかなんかよい。
別角度からも。
整理整頓された道具類たち。
ここはもともと蔵として使われていた建物で軒先があります。
塗装したり、木材や金属を切ったりする時などはそこで作業することも多いとのこと。
目の前に自然が広がりこの環境で作業するのはとても気持ち良さそうだ。
工房の見学がひと段落。
いよいよ楽器を見せて貰うことに。
と、その前に。
「柚子でも持っていきますか?」とおっしゃられる。
家の裏手は立派な柚子の木が!
「いいんですか!?」と遠慮はしない方向で。
その場で何個ももいでくださる。
あたり一面に柑橘系の爽やかな香りが立ち込めた。
いきなりお土産の柚子をいただいちゃってご機嫌の私。
そして魅惑の楽器紹介へ。
まずはお目当てのパンデイロ。
PD301 301D(Dと表記があるほうが標準の深さ、表記がない方が浅めです)
パンデイロとして成立しているけど今までにない楽器を、ということで製作されたモデル。
特徴としてドラムヘッドのメーカーエバンス社のハイドローリックが使われていること。
ハイドローリックはポリエステル製フィルムの2枚のヘッドの中にオイルが注入されている特殊なヘッドで青、赤、クリアー、ブラックのラインナップがあり、それぞれ表と裏の厚みの違いがあります。
本皮だとアタックや低音をかせぐためにテープなどでミュートしていましたが、このオイルが絶妙なミュートになるのでミュートは基本的にいりません。
ishikenさんは全てのヘッドを試していて品質のバラつきやパンデイロの相性的にブルーが1番安定しているとおっしゃっていました。
比較動画もアップされています。
このヘッドは気温や湿度の影響をうけにくいため安定したチューニングを得られます。
これによりステージ上の照明や野外の湿度によるチューニングのトラブルを防ぎます。
ドラムヘッドをパンデイロに張るとチューニングやテンションの問題である程度張らなければいけなかったのですがローテンションでも鳴ります。
ダイナミクスレンジも広く弱く叩いても鳴ります。
PARKAのパンデイロの特徴でもあるのですが倍音が整理されていてコントロールしやすく非常にマイク乗りが良いです。
音色も中低域と高音域のバランスがドラムセットに近く、ドラムを叩く方がアコースティックなセッションで使うには最も適した楽器と言えるでしょう。
ロックやポップスに使うなどブラジル音楽ではない現場でも活躍してくれそうです。
ishikenさんは色んな方に選択肢のひとつとして提案したいとおっしゃっていました。
ジングルはブラスで穴が空いてます。
この穴は音が少しトラッシーになるそうです。
中板はアルミ。
付属でスペーサーがついてきます。
カラーはイメージカラーのターコイズブルーとオレンジとナチュラル。
ハイドローリックのブルーとの組み合わせはポップでカラフル。
見た目はオシャレなインテリアのようです。
PD301D
https://komakimusic.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=9478
PARKAの代表的なパンデイロもご紹介します。
この2台がなかったら今回の301も生まれなかったでしょう。
PD101 101D(Dと表記があるほうが標準の深さ、表記がない方が浅めです)
300g〜320gの超軽量パンデイロ。
(Dだと320g〜340g)
とにかく軽いパンデイロを探している方に必見。
15年前初めて作っていただいた時は衝撃でした。
フレームやフープやジングルなどこだわり抜いた軽さと音を追求したモデル。
音のキレがよく、どんな音楽にも相性のいい音作りができます。
レモ社のスキンディープを張ることも可能です。
PD101D
https://komakimusic.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=9479
PD201
パンデイロ for ROCKとishikenさんはおっしゃっていました。
ジングルの中板がはみ出しているのが特徴的なパンデイロ。
重量は350g前後(これでも軽いです)
マルコススザーノ氏の“あの音”を追求し、構想5年をかけて完成したモデル。
世界的にパンデイロが広まったのもスザーノ氏の功績が大きいです。
パンデイロというと“あの音”という方も多いのではないでしょうか。
ヘッドもスキンディープを搭載しポップス、ロックやファンクなどハードな音楽にも対応できる懐を持った楽器。
SQ101R
PARKAといったらこの楽器!という方も多いのではないでしょうか。
それぐらい印象的なルックスとサウンドを誇る楽器です。
独自のスプリングリバーブのスペーシーサウンドは非常に魅力的。
ぜひ一度実物を触れて体感していただきたいです。
打楽器で「こんな音が出るのか!」と驚かれると思います。
またボディの穴を使ってウドゥドラム的な使い方もでき奏者のインスピレーションによって無限の可能性を秘めた楽器です。
またリバーブバタやリバーブジャンベなど様々なバリエーションもあります。
ShakePad series
PARKAオリジナルのバッド型シェイカー。
振ったり、叩いたり、モデルによっては擦ったり打楽器でできることはなんでも出来る画期的な楽器です。
スクェア型やラウンド型などの形やサイズも色々なラインナップがあり用途によって使い分けることができます。
個人的には音の出せない場所でのパンデイロの練習に使ったり、スネアの上に乗せて叩くのがお気に入りです。
小物・アクセサリー
カシシは個性的な形で(ジングル付き、鈴付き、山羊皮付きetc)振り方によって音の長さを変えることができて演奏の幅が広がります。
またカシシ型のパンデイロ用ジングルなどもあります。
パンデイロのロールがしやすくなるワックス、厚さの違うスペーサーセット、お手持ちのパンデイロを軽くできる軽量フープなどオリジナルの小物も沢山あります!
【ishikenさんに質問!のコーナー】
Q.パンデイロとの出会いは?
A. 元々ドラムを叩いていました。パーカッションにも興味があって2000年頃LPのパンデイロを手に入れてそれからハマりました。元々小さいものが好きで様々な要素をひとつの楽器にまとめたパンデイロが性に合ったのだと思います。
Q.いつ頃からパンデイロや楽器の製作されているんですか?
A.初めて作ったのは2003年頃です。持っていたLPのパンデイロが重くてフープを作り始めたのがきっかけです。リバーブボンゴもその頃から製作しはじめました。
横浜に住んでいる頃は4畳半のキッチンに間仕切りをして作業や塗装をしていました。
Q.楽器製作をする時に気をつけていることを教えていただけますか?
A.モノを作るのは好きだったのですが、やはり楽器は音が肝心なので「ここでこうやったらこういう音がする」という自分のイメージを具現化することが大事だと思っています。
自分的にはパンデイロは小物を作る感じ、カホンは家を作る感じをイメージしています。
またホームセンターや東急ハンズに行った時に木材や材料や工具などを見てインスピレーションを受けたり、楽器を実際に使っていただいている方からのフィードバックを受けて常にブラッシュアップをするようにしています。
Q.PARKAの楽器は見た目も音も非常に魅力的です。特徴を教えていただけますか?
A. ここ10年で情報の量とスピードが劇的に変わりました。
情報の取捨選択も多様性があってみんな一緒じゃなければダメだ、という感覚も今後どんどんなくなっていくと思っています。
そんな中で楽器も様々な方向性があっていいのではと日々考えています。
PARKAの楽器はストライクゾーンに入る角度でひねりを入れてつくる、という意識で作っています。
尖った部分もありつつ扱いやすいとでも言えばいいのでしょうか。
あとはポップでキャッチーな見た目になるように塗装にも気を使っています。
Q.会報を読んでいる方にメッセージをお願いします!
A.私の作る楽器は一般的なものとは少々ベクトルが違っていて、実際に手に取って音を出してみないとなかなか理解しにくいものが多いです。
ただ、刺さる人には確実に刺さるだけのインパクトはあると思います。
JPCさんのように実際に音を出して体感できる環境に置いていただけてありがたいと思っています。
ぜひ多くの方に触って試しいただきたいです!
ishikenさん ありがとうございました!
【お知らせ】
PARKAではパンデイロのカスタムもしてくれます。
サイズ(9.5インチ〜10.5インチ)
フレーム(深さ、ジングルの数、窓のサイズ)
ジングルの種類(真鍮・洋白・チタンetc)
色
(別途料金がかかる場合があります、詳しくはお問い合わせください)
など音の好みやご自分の演奏に合ったカスタマイズが可能です。
今回はパンデイロ301 Dをベースにカスタムしてもらいました。
音圧と音量を稼ぐために少し重くして欲しいとオーダー。
フープを真鍮にしてもらいました。
カラーは以前作ってもらった赤がお気に入りだったので外は赤、中は黒に塗装してもらいました。
ハイドローリックの青と合うかなぁと思ったのですが落ち着いた色合いになって気に入っています。
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収録曲は全11曲オリジナルの書き下ろし。
一度聞いたら忘れられないメロディとついつい口ずさんでしまうリズムが交錯する。
ブラジルのタンバリン「パンデイロ」から日本に一台しかないslit drumなど数多くの打楽器を操り多彩な音の空間を演出する。
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