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【心理学23】子育て世代は知っておきたい「同調現象」のリスク(組織心理学分野)

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はじめに

30代といえば子育て世代です。
私の周りでは出産ラッシュor入学ラッシュ(小/中学校)でして、なんだかこうグッと来るものがあります。
自分の同級生たちがパパ・ママになったというのをちょっと信じられない気持ちです。
原人のように原っぱで走り回っていたあの同級生たちがです。
田舎だと結婚も早い傾向があるので、早い子ではもう中学生になります🤔
自分も歳をとったなぁと実感しています。

少しだけノスタルジックな気持ちに浸りながら、今日は子育て世代の皆さんには是非知っておいて欲しい心理学分野を解説していきたいと思います。
ベンチャー企業の組織運営でも使える知識ですが、どちらかというとベンチャー企業で働く子育て世代の皆さんにお伝えしたい内容です。

キーワードは「同調現象」です。


1.同調現象とは

同調現象とは、集団の中で一部の人間が行った行動や判断に他の者が引っ張られる現象(同調してしまう現象)のことをいいます。
「同調行動」ともいいます。

元々はシェリフさん(1935年)が行った社会心理学の実験によって提唱されるようになった現象です。
他にも社会心理学の有名な実験がいくつかありますが、ここでそれら実験の詳細を説明しても多分面白くないので、要点だけまとめます😁

まず、人間は一人で物事を判断できる動物ですし、自分で意思決定をすることができます。
優れた頭脳、知性、感情を持った社会的動物です。
それと同時に、人間は他の人間たちと共に生活するという意味で集団的な社会生活を営む動物です。

それゆえに、集団の中においては他者の意見・行動に影響を受けます
集団の中で自分一人で下した意思決定とは異なる意見・行動を目にしたとき、自分の下した意思決定を曲げてしまうのです🤔
丸い言い方をすると「他者に合わせてしまう」ということです。
しかも、多くの場合、自分が他者の意見・行動に影響を受けているということに気づいていません。
自分は自分の考えで行動していると思っている場合がほとんどです。
ここが非常に面白いところです🙄
洗脳の一種も実はこの同調現象を利用(悪用)しています。

同調現象は、とても身近な現象です。
最も身近な例は、私達が「社会規範(一般常識)」と呼んでいるものです。
集団の中で「たぶんこれが正しいよね。みんなそう思っているよね。普通そうだよね」というルールのようなものが社会規範です。
そして、多くの人間がそれに従うようになります。

しかし、その「普通」「正しい」「みんなそう」と誰が決めたのでしょう。
自分の意見だと思っているその意見、本当に貴方の意見ですか?😒
ただの同調現象ではないですか。

今日はそういうちょっと怖いお話です。

ちなみに、同調現象は集団で生活する動物にはほぼ見られると思います。
シマウマの群れの中の一匹を脅かしてみると、その一匹の行動に連鎖するよように周りのシマウマも退避行動をとるシーンがテレビでもたまに見られますが、あれです😁
集団で生活する動物ならば多かれ少なかれ同調現象が起こると考えられます。


2.同調現象の段階

人間の同調現象には、段階があると考えられています。
ケルマン教授(Herbert C. Kelman, ハーバード大学)よれば、以下の3段階があるそうです。

(1)追従(Compliance)
(2)同一視(Identification)
(3)内面化(Internalization)

以下、簡単にご説明いたします。


(1)追従(Compliance)


追従とは、集団の中で構成された規範(考え方、価値観、意見など)に表面上従っている状態のことをいいます。
したがって、内心では個人的な別の見解を持っています😏
この場合、集団から離れればまた自身の見解に戻るので、同調現象の中でも最も弱い段階といえます。

追従が発生する理由としては、何らかの好意的評価を得たいため、懲罰やデメリットを避けるため、集団内の影響力を持った人間から目をつけられるのを防ぐためなど、様々な理由によって発生します。


(2)同一視(Identification)


同一視とは、自分が尊敬する人と同一になりたいという欲求から発生する同調現象です。
自ら進んで自分の見解・行動等を変化させるので、上記の追従よりも強い同調現象といえます。

ただし、尊敬する人への信頼が無くなってしまった場合や憧れがなくなってしまった場合は同調現象が消滅し、元の自分の見解・行動に戻ります。

ちょっと古い例ですけど、安室奈美恵さんが全盛期の頃は街中にアムラーが溢れていましたよね?🙄
今の20代は知らないと思いますけど、似たような格好した人たちが大勢いたのです。
黒髪ロングストレート+ロングブーツ?だったかと思いますが、同じような格好をした人たちが渋谷の町を闊歩しておりました。

その一昔前には松田聖子さんと同じ髪型をする人が山程いまして、うちの母ちゃんなんて聖子ちゃんの2倍はあろうと思われる顔面で聖子ちゃんカットしてましたからね。
もし私が同級生だったら全力で止めてましたが、残念ながら周りにそういう優しい人がいなかったようで、黒歴史写真がいっぱい残っています。

同一視怖いですわぁ😰
自分を見失いがちな同調現象です。


(3)内面化(Internalization)


続いて、同調現象の最上位である内面化についてです。
内面化とは、集団内の影響を持った人間の意見・主張・行動に心から共感・納得して自分自身の見解として全面的に受け入れ、自己の信念・行動等を変化させることをいいます。

もうここまで来ると自分の価値観そのものになっているので、集団を離れたとしても見解が変化しづらくなります。
原則として何もなければそのままその見解を持ち続けるようになるので、同調現象の最上位に位置します。

今、皆さんが自分の信念として抱いている見解等があると思いますが、それこそが内面化の結果です。
元々は他人の見解・思想・価値観などが基になっているはずです。
私でいうと「出されたものは残さず全部食う!」という主義です。
婆ちゃんに叩き込まれました。
食べ物を残すという行為にとても強い罪悪感があってなかなかできません。


3.身近な同調現象

さて、ここからが本題です😒
これから、3つのお話をしていきます。
一つが家庭内、もう一つが学校内、最後が職場内です。
それぞれ同調現象がよく発生する場であり、集団です。

これらの集団内では日々同調現象が起こります。
そして、それが時に自分、家族、子どもの人生を大きく狂わせます。
だからこそ、今回の記事のタイトルに「子育て世代は知っておきたい」という文言を入れました。
我々30代は、家族を持ち始める時期ですし、部下を持つことが多くなる年齢層です。
だからこそ、同調現象のリスクを把握しておくべきだと思います。
少し怖い話も含まれていますが、これからの人生の参考になれば嬉しく思います。



(1)家庭内での同調現象


三つ子の魂百までといわれるように、幼少期をどう過ごしたか、どういう環境で育ったか、どういう価値観に触れたかで人生はほぼ確定してしまいます。
そのため、家庭内で触れる価値観は非常に重要で、同調現象の中でも最上位の内面化が発生しやすい場所といえます。
もし家庭内で誤った価値観、誤った思考・思想等を強烈に植え付けられた場合で、特に他の家庭、同級生等に関わりがないような状態に陥ってしまった場合は悲惨な状態になりやすいです。
そのまま幼少期を過ごすと、小学校を卒業する頃には内面化が完成されてしまうこともあります😰
その場合、大人になってからの修正はほぼ不可能だと思います。

最悪のケースでは、是非善悪の区別がほとんどつかないような人間になってしまう可能性すらあります。
親の価値観が狂っている場合、その子供もその価値観に大いに影響を受け、自身の正しい価値観として内面化してしまうことがあるのです。
だからこそ、我々大人は、自分が子どもと比較して圧倒的に優位な地位にいることを理解しておかないといけません。
彼らの人生を良くも悪くも変えられるのです。
私達が日頃発する言葉や見せる行動が、そのまま子どもに影響を与えます。
意識的無意識的に同調現象を引き起こしてしまいます。
その同調現象が子どもたちの価値観の基礎を形成していきます。

だからこそ、30代以降は自分の言動に今まで以上の注意を払わないといけないと思っています。
とはいいつつも、日々生きるのに精一杯なのでなかなか子どもの目まで気にして生きられないかもしれませんが、たまに自分を客観視して、身を引き締めて「範を示す立場なのだ」という自覚を持たないといけないなと思います。

小学生の子どもに対して、親が「勉強しろ!」「宿題をしろ!」と言うのは簡単ですが、自分は果たして社会人として毎日勉強をしているのか、将来のために学んでいるのかを自問自答したいところです🤔
子どもにだけ強く命令し、自分はテレビや動画を見てダラダラと過ごすというのは子どもにとっては不誠実な行動なので、子どもはしっかりそこを見ています。
このような言動ばかりしていると悪い意味での同調現象が起こりやすくなるので、注意が必要だと思います。

子どもが自分のいうことを聞かないという現象にも大抵理由があるので、そこをじっくり考える必要があるかもしれません。



(2)学校内での同調現象


続いて注意しないといけないのは、学校内での同調現象です。
小学校高学年~中学校が特に重要かと思います。
というのも、その時期は思春期真っ盛りなので、通う学校次第では不良が量産されてしまう時期だからです😰
修羅の国出身の私としては、ここを非常に気にします。
残念ながら、不良の連鎖(悪い意味での同調現象)は間違いなく存在します
そして、その連鎖の発生しやすさは学校内の平均的な学力に依存する傾向があると思っています。

とある心理学者が行ったカンニング実験では、みんなの前で堂々とカンニングを行う人が1名いた場合に、最終的にクラスの半数がカンニングを行ったという結果があります。
同調現象は悪い行動でも関係なく起こるのです😱
むしろ、悪い行動の方が起こりやすいとすら思います。

私が実際に見た例としては、4月頭にクラスにたった一人だけいた不良が、次の月には5人に増え、その5人が他の仲間を誘い始めて集団で不良行為を繰り返したという事例がありました。
その結果、半年後にはクラスの半数以上がタバコ、飲酒、薬物などに手を出し、常習的な万引行為を行うようになっていました。
不良行為を繰り返しているメンバーの中には、ずっと真面目に生きてきた子も当然含まれていますし、成績優秀者だった子も含まれています。
そして恐ろしいことに、この後、このメンバーたちは学年を超えて同調現象を引き起こしました。

最終的にどうなったかというと、不良行為を行わない人間(断った人間)を暴力によって従わせる文化が学校内で根付きました。
先生に聞いたところによると、この悲惨な状態は主要メンバーが卒業した後も2~3年継続したそうです。
同調現象の恐ろしさがよくわかると思います。
自分の子どもがその中に巻き込まれるケースを想像してみたらそのリスクがよく分かるかと思います。

これからの時代、本人の意向も十分に汲んだ上で大人が子供のために複数の選択肢を提示すべきだと心底思います。
一度同調現象が拡大してしまうと、途中で止めることはほぼ不可能ですから、そもそも悪い意味での同調現象が起こりにくい学校を選択肢として提示すべきだと考えています。
できればいつでも転校できるようにしておくべきです。
環境の悪い学校に無理して行き続けるというのはあまりに損失が大きいでしょう。

また、一度環境が悪化してしまった場合、それをもとに戻すことはほぼ不可能です。
一般の教員にそれができるとは到底思えませんし、先生方にそこまで大きな期待をしては可哀想だなとも思います。
著名な心理学者でも不良を更生させるのはほぼ不可能ですし、できたとしても何年も先の話です。
だからこそ、その場から瞬時に離れるということができるようにしておくべきです。

そして、良い意味での同調現象(周りが勉強をするから自然と自分もするという文化)が発生しやすい場所はその環境そのものに大きな価値があります。
通常はそういう学校には入試があるので、入ること自体が難しいケースが多いですが、なるべくそういう学校に行った方が良いと思います。


(3)職場内での同調現象


最後に、職場内での同調現象についてお話します。
職場内での同調現象で最も多いのは、CEO等の経営層の価値観・行動に他の従業員が同調してしまう現象です。
経営層の意思決定・行動が法的にも倫理的にも正しいものであるならば何ら問題ないと思います。

しかし、違法だった場合はそうもいきません😰
会社の不祥事は毎年のように発生していますが、その多くでは経営層が従業員に対して同調を強制しています。
同調現象をあえて起こしているのです😱

その結果、同調現象が広く発生してしまい、違法が違法のまま放置され、改善されることなく露呈し、会社として崩壊します。
ついこの間もそういう粉飾決算事件ありましたよね…
結局その会社は上場廃止になりましたが、投資家からみると到底容認できない事件でしょう。

このような事態を発生させないようにするためにも、日頃から同調現象という危険な現象を客観視する癖をつけておかないといけません。
今自分が行っていることが果たして正しいのか。
このままでいいのか。
少し疑問を持ってみる必要があります。
目の前にある雰囲気、価値観から少し距離を取って、客観的に自分や自己の属する集団を観察してみるといろいろなことに気づけるかもしれません。

確かに、同調現象がすでに起こっている中で自分だけ別の行動をとるのは勇気がいります。
しかし、それが結局は自分の人生や他人の人生を救うかもしれません。
同調現象は良くも悪くも作用するので、時々客観的にみてみるという習慣をつけるだけでもだいぶ違った見方ができるかもしれません。



おわりに

今日は同調現象(同調行動)について解説させていただきました😁
同調現象は、日頃日常的に起こっている現象であるがゆえに、あえて注視することも少ないと思います。
でも、その小さな同調現象の積み重ねによって少しずつ価値観は形成されていきます。
子どもたちも日々周りの大人達から学び、価値観を形成していっています。

そのような何気ない日常の中で、集団の一人として、親として、統率者として、自分を客観視してみるというのはとても難しいことです。
しかし、どこかで一度立ち止まって、分析してみる時間も必要です。
きっと多くの気付きがあると思います。

せっかくなので今日を分析の日にしてみてはいかがでしょうか?😁


それではまた次回🎵

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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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