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トルストイの国 愛すべき隣人たち ③ 夏のウラジオストク編
ロシア人は笑わない?
「ロシアには『無意味な笑顔はバカの印』って諺があるのは本当ですか?」
ある時先生に冗談交じりに尋ねると、かなりウケていた。
それは確かに存在するのだが、もはやソ連時代の遺物であり、笑わないなんてことはない。
熊がバスに乗っているとか、みんなが密造酒を作ってるだのお馬鹿な都市伝説は枚挙にいとまがないが、
本当のロシア人について知ってる人はあまりに少ないのが実情だ。
東西の対立構造を維持したい人たちのニュース等によるネガティブキャンペーンや、ハリウッド映画の影響も原因の一つだろう。
にもかかわらず、彼らの殆どは超親日家であり、実際過去5度に渡る旅においていつも親切にされ、助けられ、嫌な経験など殆ど思い出せない…それが偽らざる真実だ。
いざロシアへ
「抹茶が好き過ぎて日本に来た」と冗談を言う先生はちょっと感化され過ぎなので、実際現地ではどうなのかを確かめたい。
と云う事で、彼女の地元であり最も近場のウラジオストクに白羽の矢が立った。
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ビザ発行などの手続きの煩わしさもあり、先ずは東欧に強い旅行社さんへ個人旅行のプランとまとめて依頼(当時はそんなに高くなかった)。
さっそく2014年の夏休みに、未だ言葉もおぼつかないまま勢いに任せて初めてのロシアへと旅に出た。
成田空港にてロシア人のヲタク発見
さてフライト当日、ウラジオストク行きの搭乗ゲートでいきなり「調査兵団」と遭遇した(笑)。
某漫画でお馴染みの、特徴的な茶色いジャケットを着ていたのは10代と覚しき二人のロシア人少女たちで、多分斥候として秋葉原を調査していたに違いない。
視線に気付いた彼女らは、おそらくこちらが同類であり、認知されたと思ったのかメチャクチャ喜んでいた。
そもそもヲタクに国境は無いのだった(笑)
おかげで緊張も解け、無事シベリア航空の旅客機に搭乗。
と思ったのも束の間、わずか2時間程のフライトで、あっさり北の大地へと降り立った。
極東のヨーロッパ
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現在は中東かモンゴル経由で折り返さねばならず、
最も遠いヨーロッパになってしまった…
ウラジオストクは軍港都市として知られるが、それとはうらはらに街も人も穏やかな印象で、我が故郷の呉市と似た雰囲気にシンパシーを感じる。
みんな思いの外のんびりしてるのにも驚いた。
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ウラジオストクで一番賑わう名所
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雰囲気はやっぱりヨーロッパ!
人口60万人あまりだが、街はコンパクトに纏まっていて便利だし景観も非常に美しい。
最近はサンクトペテルブルク、マリインスキー劇場の沿海州別館も出来たりと、極東の中心地として発展に力を注いでいる。
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日露戦争前までは日本人街もあったそうで、
その他アムール川流域にはロシア人が入植する以前から、ナナイ族等の原住民も住んでいる。
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彼を主人公に黒澤明監督によって映画化もされた
探検家、アルセーニエフの家記念館にて
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アルセーニエフ記念国立沿海地方博物館
フレンドリーな人々
見所が有りすぎて観光ばかりに気を取られ、三泊四日の行程はあっという間に過ぎ去ってしまった。
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ゴールデンブリッジ
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ビョ〜ン(笑)
そんな中でも、実際に触れ合った現地のロシア人たちは、ステレオタイプなイメージとは異なって、思った通りみな親切な人ばかりだった。
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後のカップルも気になる(笑)
通りを歩いているときに落としたカメラのキャップを拾って手渡してくれた女性もいたし、
別の時にはカメラの修理業者の人から声を掛けられ、ニコン好きのその彼とジェスチャー混じりのカメラ談義に花が咲き、互いのメアド交換なども出来た。
商店街でもみんなにこやかに対応してくれて、買い物するのも楽しかった。
小心者の自分には上出来だったかもしれない。
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店員さんの丁寧な接客で気持ちよく買い物ができた
ただ、こちらの勉強不足と意気地の無さで、
いま一歩深い交流が出来なかった感じは拭えず、唯それだけが心残りとなってしまった。
「もっと良く知り合いたいな」
その思いはますます募るばかりで、帰国早々、冬に再びウラジオストクを訪れることを考え始めたのだった。
そんな時、先生がこう提案してくれたのだ。
「私の両親を紹介しますから、一緒に釣りにで
も行ってみてください」
「エッ、ホントに?!」
渡りに船とはこのことだが、こんな良い話ってあるだろうか?
「是非宜しくおねがいします!」
もう乗るしかない。
ロシア人は情に厚い人たちだ。
アジアの心を持ったヨーロッパ人とも言われている。
こうした経験を通し、それが事実であると理解し始めた自分は、より一層彼らに引き寄せられていくのだった。
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