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息子に紡ぐ物語

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1男1女の子供を持つ平凡なサラリーマンと、父で作家の「長谷部さかな」は、不思議なキッカケから毎日メールをやりとりすることに。岡山県の山奥にある見渡す限りの土地や山々はどのように手…
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2021年8月の記事一覧

【20日目】吉野村の謎

【20日目】吉野村の謎

ご隠居からのメール:【吉野村の謎】

【謎の回答】
①いつ、長谷部の子孫は吉野里もしくは高瀬に移り住んだのか
⇒長谷部の子孫が吉野里もしくは高瀬に移り住んだのは、たぶん上月城の戦いの後。

②なぜ、長谷部は広い土地を持っているのか
⇒たぶん先住民の鬼を追い払って、自分の土地にし、権力者(東寺、尼子氏、毛利氏、新見氏、豊臣氏、徳川氏などの代官とテイクアンドギブの交渉をしながら、しぶとく生き残った。(

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【19日目】吉野村

【19日目】吉野村

ご隠居からのメール:【吉野村】

角川地名大辞典の奥村(中世)に関して「鎌倉中期当村は高瀬村と中奥村とに分れた下って室町の寛正2年・・・・・・」という記述は、あまり信用できない。「分れた」と「下って」との間の句読点が抜けているのは校正不足。「当村」とは 「奥村」のことだと思うが、そうなると、吉野村・高瀬村の他に奥村という地名があることになる。奥村は正式な村の名称ではないと思う。

 「鎌倉中期当村

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■【より道-6】孤独死

■【より道-6】孤独死

時間はすでに13時を過ぎていた。朝から活動しておなかが減ったので、大井町駅近くの商店街にあるステーキ屋に入り、3人でランチを兼ねて献杯をすることにした。せっかくなんで、でかいリブステーキと生ビールを頼んで故人を偲ぶ。ちょっと脂っこいステーキ屋のテーブルの上で「死亡届」を記入しステーキをたいらげた後、品川区役所へ行き無事手続きは終了した。

あとは、葬式の段取りだ。

親族や知人が集まるわけではない

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【18日目】資料

【18日目】資料

ご隠居からのメール:【資料】

鎌倉時代には既に、吉野里から高瀬に変わっているとすれば、戦国時代に、尼子の落人松田氏が宍道湖の高瀬城から落ちのびてきて吉野村を高瀬村に変えたというオレの仮設が成立しなくなる。

――当村内には坂本里・知屋里・東田口里・西田口里・三坂里・渡田里・吉野里・加摩里・足立里・タソ里・吉河里などの里名渡田里・野里・加摩里・足立里・タソ里・吉河里などの里名が見え,表題には領家方

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【17日目】平家物語

【17日目】平家物語

ご隠居からのメール:【平家物語】

「平家物語」によれば、長谷部信連は平清盛に反抗した罪により伯耆(ほうき=鳥取県)の根雨に流刑となったが、源頼朝の天下になってから頼朝にとりたてられて能登の守護になった。備中や伯耆の守護にはなっていない。

しかし、一族の長谷部元信の先祖が備後の上下地方の地頭になった。新見荘の地頭になったのは新見氏や多治部氏で、東寺が直営したこともある。

やはり、元信の頃、長谷

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【16日目】一族の歴史

【16日目】一族の歴史

ご隠居からのメール:【一族の歴史】

庶民一族の歴史はせいぜいのところ、曾祖父の時代までしかわからない。曾祖父の時代は長谷部氏も岡村氏も養子になるか、とるかしているから、DNAはとぎれている。しかし、実は養子も親戚から選んでいるから、ある意味ではつながっているかもしれない。

今度、浦安に来るなら資料として、「新見太平記」と「尼子の落人」のコピー、および、「神郷町史」の一部コピーを用意しておく。

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■【より道-5】仏さま

■【より道-5】仏さま

大井町の駅周辺をキョロキョロとみわたしながら、父をさがしていると携帯電話が鳴った。母親からの着信だ。ワンコールで電話にでる。

「さっき、お父さんから電話がきて、ジュンシロウがいないと言ってたのよ。どこから電話をかけてるの?と聞いたら公衆電話だといってたわよ」

「それで、どこにいるって?」

「なんか、近くにスーパーがあるといっていたわ」

「もう一度電話がかかってきたら、大井町線の改札をでたと

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【15日目】吉田氏

【15日目】吉田氏

ご隠居からのメール:【吉田氏】

 吉田→岡村進さんは吉田文子さん(義理母)のお父さんではない。文子さんは実家の吉田氏の誰かの娘だろう。

 妹の吉田和子さんは「少年時代」という雑誌を送ってくれたし、就職祝いに背広をつくってくれたりしてたいへんお世話になった。息子の喜一さんは高校教師になり、浦安の我が家に泊まったことがある。そのときJの勉強をみてくれたが、頭をかかえていた。喜一さんの息子は大手製薬

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【14日目】長谷部氏

【14日目】長谷部氏

自分からご隠居へのメール:【長谷部氏】

ネットで調べると祖父の興一さんから神郷町長選挙の地盤を譲り受けた井上富士夫さん系列のDNAがご先祖さまということだね。さらに、井上富士夫さんが神郷町長時代には亀三おじさんが副議長をしている記録を見つけた。親族みんな政治家だ。

自分のルーツとして名は長谷部だけど、DNAは井上なんだね。織田信長に裏切られ尼子氏は、滅亡してるので、ご先祖さまは無念の負け戦を経

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【13日目】養子縁組

【13日目】養子縁組

ご隠居からのメール:【養子縁組】

今はそうでもないが、昔は家柄というものに価値があるとされ、結婚するときなどは重視された。関係者の中でもっとも家柄が高いのは豊島氏で、雲州益田藩の家老だった。佐藤徹さんの母博子さんと佐藤浩一さんの母信子さんは家老の娘だから、なぎなたで戦い、謡曲を趣味にしていた。

岡村氏は鳥取藩士の家柄で、士族だから、明治時代になっても家柄はよいとみなされた。吉田進さんが、金を払

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■【より道-4】長谷部さかな

■【より道-4】長谷部さかな

父とは11時に東京品川区にある大井町駅で待ち合わせをした。しかしこの待ち合わせには、少々不安なことがある。それは、父が82歳の高齢ということ。そして、携帯電話を持っていないということだ。

だから、現地に到着してから父と連絡がとれない。なので、ちゃんと待ち合わせの場所にいてくれたらいいのだが、、

大井町は出口がそれほどたくさんあるわけでもないし何とかなるか。淡い期待を持ちながら東急田園都市線に乗

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【12日目】DNA

【12日目】DNA

ご隠居からのメール【DNA】

父長谷部与一の再婚相手は吉田文子(あやこ)。吉田氏は岡村氏と親戚だったらしい。祖父の父進さん(?)が吉田氏から岡村氏の養子になった。医者の家で岡村氏はそれなりの家柄だったらしい。塩田雅子さんの話によれば、進さんは金を払って、養子縁組をしたという。そういえば、勝海舟の祖父も金を払って、勝氏の御家人株を買ったと伝えられている。

養子縁組ではDNAは伝わらない。長谷部

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【11日目】岡村家②

【11日目】岡村家②

ご隠居からのメール:【岡村家②】

岡村家の縁者は次の通り。不器用のDNAは祖父の素(はじめ)さんが元祖らしい。本来なら医者になるべき人だったが、早稲田の第一期生になり、文学、哲学、宗教に関心を抱き、医者にならなかった。息子の弘さん、孫の徹さんも同様。

Jが小学四年生のとき、会ったのは伊丹浩さんではなく、岡山県児島市味野の渡辺広安さんだったかもしれない。渡辺さんはオレの学業成績がパッとせず、新見

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【10日目】岡村家

【10日目】岡村家

自分からご隠居へ:【岡村家】

岡村家をまとめると、以下のような感じかね。                        

■おじさん(おばあちゃんの兄)
⇒京大理学部卒業
⇒豊島博子さんと結婚
⇒石原産業の重役を断り高校教師に
⇒広島市長を歴任した「佐藤信安」さんの夫婦養子となる
⇒息子の徹さんはケンブリッジ大学の学者

■おばあちゃん(お父さんのお母さん)
⇒満州で亡くなる。享年28歳
⇒息

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