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気持ちを代弁してくれているものもあれば、ただひたすらに読んで打ちひしがれたもののような。
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#コラム

星野源の音楽と共約不可能性

星野源の音楽と共約不可能性

 科学哲学の分野には、「共約不可能性」という概念がある。もともとは、“いかなる整数比によっても表現することのできない量的関係”を表すための数学用語であったが、人文科学ではしばしば、この「共約不可能性(通約不可能性とも)」という用語が、別のパラダイムを背景に持つ他者との分かりあえなさや、他者理解、共感の限界を示す言葉として使われる。

 そして私は、“共約不可能”という事態について考えるとき、ふと、

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内向的・外向的のちがいは刺激に対する反応のちがい。『内向型人間のすごい力』感想とレビュー

内向的・外向的のちがいは刺激に対する反応のちがい。『内向型人間のすごい力』感想とレビュー

前にブログを読んでいたら『内向型人間のすごい力』がおすすめされていて、気になって読んでみたら目からうろこだったので、私も紹介していきたいと思います。

外向的(extravert)か内向的(introvert)かというのは、今まで自分がどっちなのかって意識したことがなかったのですが、この本を読んで自分は内向的よりだということがはっきりわかりました。

もちろん人のパーソナリティを簡単に二分すること

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「パートナーとはどう?」と聞いてくる、私の自慢のおばあちゃん

「パートナーとはどう?」と聞いてくる、私の自慢のおばあちゃん

今日は、私の大好きなおばあちゃんの話。

*****

おばあちゃんの作るドーナツが好き。
おばあちゃんの作る天ぷらが好き。
おばあちゃんの作る甘いカフェオレが好き。
おばあちゃんが、今でも亡くなったおじいちゃんを大好きな所が好き。
今でもお菓子が大好きなおばあちゃんが好き。
私の話を楽しそうに聞いてくれるおばあちゃんが好き。
おばあちゃんとする子供みたいな痴話喧嘩が好き。

おばあちゃんの好きな

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受容すること以上にできることはない

自分ではない、周りにいる人達に向けて、できる最善のことは、「受け入れる」ことだけなのでは、と思っている。

そのままの自分の姿を、誰だって受け入れてもらいたがっている。そして、他者である私達はその隠れた欲求に気付くか気付かないか、その違いだけがコミュニケーションの質を左右するのではないだろうか。

私はなんとなく話しながら、他者が持つ「こう在りたいと望んでいる自分の姿」を想像し、その姿を黙って見つ

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伝える、と言葉にするの狭間に立って

伝える、と言葉にするの狭間に立って

「好き」「愛している」

そういう言葉が私は少し苦手かもしれない。

それは勿論そういう言葉を言い慣れていないし、言われ慣れていないからでもあると思う。でもそれだけではない歯がゆさが、そこにはある気がしてしまう。

先日、『断片的なものの社会学』という本を読んだのだけれど、そこには戦争体験者の方の語りに対して、こんなことが書いてあった。

 おそらく彼は、毎日のように日本各地のそういった集会で

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