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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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#人間関係

去るもの追えず

去るもの追えず

「あたし、来るもの拒まず、去るもの追わずなんよね」

と言ったのは、高校時代に出会い仲良くなった友達だった。その会話からしばらく経ったあと、彼女とわたしは一年半ほど疎遠になる。きっかけは、今となってみると些細なことにも感じられるのだけれど、その当時のわたしにとっては重大で、だけど彼女にとっては何てことはないものだった。むしろ、その温度差こそが一時的にでも疎遠にならざるを得なかった理由だったのだろう

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悪いときほど滲み出る

悪いときほど滲み出る

10代の頃、友人が付き合っていた彼氏がモノに当たる人だった。ふだんは明るくて楽しい人だったのだけれど、「そこだけが気になるんよね」と話した友人に、「ネガティブなときの様子で、一緒にいられるかいられないかを判断するほうがいい気がする」と応えたことを覚えている。結局、どういった理由かは知らないけれど、彼女たちは最終的に別れた。



人間性が一番出るのは、非常時、特にその人にとってネガティブなことが

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脊髄反射と熟慮

脊髄反射と熟慮

高校生3年生の頃、「一人を好むけれど独りを嫌がる若者たち」という小論文を書いた。とある大学のAO入試用に書いたその小論文は、教授たちに大いに面白がってもらえたらしく、なかなかの高倍率だった1次試験を突破した。結局、2次試験の面接で落ちてしまったのだけれど。

当時、ほぼ9割の友達が携帯(ガラケー)を持っているなか、わたしは親が許さず所有していない稀有な女子高生だった。だからこそ、「持っていることに

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怒りを甘い優しさで隠すこと

怒りを甘い優しさで隠すこと

ある人にひどい対応をされたとき、その様子を見ていた人から、「あの人は〜だから、周りも大目に見ているんですよ。かわいそうな方なんです、だから仕方ないんですよ」と言われた。

「〜」の部分は伏せておく。その人の生育歴だとか、そういった「どうしようもないこと」が入ると思ってください。

わからなくはない。自分なりのコミュニケーションの作法は、生きてきた蓄積から作られるから。わたしが考える常識が、相手にと

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それ、本当に「その人」を見ている?

世の中にはいろんな人がいて、どうやらそれぞれ違う価値観、考え、感情をもっているらしい。

そのことに気づいたのはいつだったろう。我が家の5歳児を注意しながら、そう思った。

彼はまだまだ「自分のおもしろい」と「他人のおもしろい」が分かれていることを理解しきれていない。兄に茶々を入れて泣かせるたび、「自分だけがおもしろいのはダメ。嫌がられたら止める!」と口酸っぱく言い聞かせている。



自分の価

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見えているのは多面体の一面に過ぎないかもしれないけれど、

見えているのは多面体の一面に過ぎないかもしれないけれど、

長男、小学校2年目のスタート。クラス替えの結果、幼稚園年少から同じクラスの友達とのクラスメイト歴を更新した。

彼らは一歳になる前からの友達で——いや、元はといえば公園で母親同士が先に友達になったのだけれど、まあそれはともかく——、いまや名実ともに幼馴染だ。ちなみに誕生日が同じで、彼の兄と我が家の次男は漢字違いの同名。縁を感じざるを得ない。

もうひとり、同時期からの友達の息子くんも同じクラスにな

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「いい」が指す条件の曖昧さ

「いい」が指す条件の曖昧さ

オリエンタルラジオの中田敦彦さん(あっちゃん)の、「いい夫やめます」という記事を読んだ。

記事はこちら。

妻がほかの女性たちと話す中で「いい夫」比較をしてしまい、求めるラインがどんどんうなぎのぼりになってしまっていたのでは、と。

妻のために求められることに応えてきたのに、結果的にそれが妻の中で「当たり前」になってしまい、夫婦にとってよくなかったのでは、と。

カウンセリングを受けてみたら、自

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いらないものは、差し出さない

いらないものは、差し出さない

夫婦だけではなく、人とのコミュニケーションは鏡だと思っている。

強い言葉には強い言葉が返ってくる可能性が上がるだろう。攻撃的な言動には、やっぱり攻撃的な言動が戻ってきやすい気がする。言われた方は反射的に自分を守ろうとするだろうから、当たり前ともいえることだ。

噛みつきやすい人には、噛みつく人が集まる。ポジティブな人の周りにポジティブな人が集まりやすいのと同じことだと思う。

だからこそ、誰かに

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好きな人の「嫌い」とわたしの感情

好きな人の「嫌い」とわたしの感情

小学生のころ、Tちゃんという子がいた。なかなか個性的な子で、気が強くて、損してしまう言動を繰り返す子だった。わたしはなぜだか彼女に好かれていたらしく、何となく一緒に動くことが多かった。

あるとき、別の子に「若菜ちゃん、Tちゃんとよく仲良くできるな」と話しかけられる。「エラそうやん」「すぐ先生にチクるしさあ」。その後続いた理由をまとめると、要するに「Tちゃんのことがあんまり好きじゃない」という内容

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雑音に左右されない

雑音に左右されない

女子の世界のあるあるなのだけれど、部活動の同学年部員に一斉に無視を決めこまれたことがある。中三の頃だ。

当時、わたしは上級生からの指名で部長職を担っていた。(指名制が恒例だった)その頃、わたしは顧問に頼まれて、新入生向けの説明兼チラシを作ったのだけれど、おそらくそれが気に食わなかったらしい。「仕切ってる」とか言われる、まあくだらないやつだ。

部室内には三年生だけが使える部屋があったのだけれど、

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人との距離、そして深さ

人との距離、そして深さ

「人と距離感を測るのがむずかしい」という言葉を多々見かける。

相手の性格、相手との関係性によって正解が異なるわけだから、簡単なもののはずがないのだろう。

わたし自身がどうかというと、特別下手ではないけれど、得意だといえるほどではない、といったところだろうか。

ふだんは問題ないのだけれど、好きになった相手には途端に下手になる。嫌われたくない気持ちが肥大化してしまい、迷惑にならないようにと、それ

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切られた糸の理由

切られた糸の理由

親しかった人に離れられたとき、わたしはいつだって原因を探してしまう。

「何かしてしまったのかな」「何をやらかしてしまったのかな」と考えたところで、答えは出ない。

そもそも、本当に意図的に離れていったのかすらわからないのだ。ただ、連絡を取り合わなくなっただけで。

これまでに、そうしたことが2度あった。そして、さらに最近になって1度。

なんとなく、以前のふたりは、きっとどうしようもないことだっ

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割り切れなくてもいいじゃない

割り切れなくてもいいじゃない

「若菜は精神的に弱いから、図太くなれるように意識しなさい」

中1の秋から冬にかけて、部活の人間関係トラブルが原因で不調になった。わたし自身が当事者であったわけではない。先輩、同輩が揉めている中に放り込まれていたような立場だった。

「わたしには関係ないもーん」とすれば良かったのかもしれないけれど、当時のわたしにはできなくて、まともに受け止めてはどうすればいいのかを考え、その結果腹痛やら吐き気やら

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“似ている”と“わかる”は別のもの

“似ている”と“わかる”は別のもの

「つまり、こういうことでしょ?」
「わたしもそうだったからわかる。〜なんだよね」
「〜って思っちゃうんだよね。わかるわかる」

誰でも、一度くらいは誰かに言われたことがあるのではないかと思う発言だ。そして、誰かにしたことがある人も少なくはないと思う。かくいうわたしだって、こうした発言を何度かしてきていると思う。特に妹に言いがちだったことを自覚している。

言われる側は言う側よりも年齢が下であったり

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