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【SLAM DUNK Gl】130話「イタリア観戦記」


牧紳一のCBAリーグルーキーイヤーは、所属する本田トラベル準優勝の原動力となり、個人として新人王のタイトルを獲得。
代表には招集されなかったものの待望論も起こり、2年目のシーズンは代表でのキャリアスタートも期待された。


シーズンを締めくくる納会にて、本田トラベル社長から選手へ言葉が贈られた。


「ここ数シーズン中位をさまよっていた我が本田トラベルでしたが準優勝と躍進しました。飛躍のシーズンと捉え来シーズンこそ優勝というタイトルを獲りましょう。選手の皆様、1年間お疲れ様でした。」

「そして最後に会社から新人王を獲得した牧紳一選手にサプライズがあります。牧選手は、業務においても優秀な成績をおさめ、日本代表待望論もある有望な若手選手です。本田トラベルに入社したからには、経験してもらいたいこともあります。牧選手、檀上にお上がり下さい。」社長


牧は檀上に上がり、社長からサプライズプレゼントをもらった。そして後に社長と話す機会を設けた。


「ありがとうございます。」牧

「中身は確認したかね?」社長

「いえ、後程と思っていましたので、、、。」牧

「確認したまえ。牧君のためになるものだ。」社長

「はい。」


牧は中身を確認した。


海外旅行券?」牧

「その通りだ。本田トラベルに入社したんだ。オフにリフレッシュと新たな活気を持ち帰ってきなさい。」社長

「ええ、ありがとうございます。新たな活気というのは何ですか?」牧

「よく確認したまえ。もう一つチケットがあるはずだ。」社長

はい、、、。イタリア? セリエA?? サッカーですか?」牧

「そうだね。ACミラン。日本代表の三田良佑の試合だ。今後、代表を担う有望格として、日本を代表して世界で戦う選手を現地で生観戦してきなさい。きっと新たな活気、刺激になるはずだ。」社長


三田良佑。サッカー界のスター選手ですね! ありがとうございます。ありがたく使わせていただきます。」牧

「本田トラベルでは久々の新人王だ。世間の期待も高い。業務でも貢献してもらっているし、投資のようなものだよ。ははは、ゆっくりしてきなさい。」社長


こうして牧はシーズンオフにイタリアへ飛んだ。ミラノの街を散歩しながら、伝統的な建造物の観光、買い物等を堪能、


そして夜、セリエA、三田良佑所属ACミランの試合を観戦した。
三田の背番号はエースナンバーの10番。

ビッククラブの10番を背負えるチャンスが目の前にあるならつけない理由はない

と語った。

謙虚な姿勢やビッククラブのプレッシャー等ということを考える前にその気持ちが勝った。
それだけの話だという。


牧はスタジアムの雰囲気、サポーターの熱気、異国で戦う日本の戦士の勇士を目に焼けつけた。

そしてこの日、最もインパクトを受けたシーンが訪れた。


左斜めペナルティーエリア付近のFK。


「ボールの周りには5人の選手が集まっています。ボールをセットしたのは三田ですね。いや、マネズがボールをセットし直しましたね。」実況

「この位置は本来、マネズの位置ですからねー」解説


「おっと!三田がボールを奪い返しました。三田、ボールを放しません!マネズもすごい形相です。三田譲りません!両者が言い争います!」実況

「昨シーズンの三田なら譲っていた場面なのですが、譲りませんね。」解説

「チームメートも仲裁に入りますね。しかしこのメンタルの強さが三田良佑の真骨頂です。」解説


この場面を目の当たりにした牧、


日本を代表して戦うにはこのメンタルが必要なのか?、、、、俺も同じ場面でそれができるのか?」牧


サッカーとバスケットの協議上の違いはあれど牧はその堂々たる三田の姿が勇ましくうつった。


「言い争いの末、ボールをセットしたのは三田良佑です。」実況

三田行ったー!! 壁を抜け、、、カーブがかかる!! 入りました!! 三田のFKがつきささりました!!」実況


「!!! 入った!!!」牧



牧も同じ日本人として、そして日本を代表するアスリートの良き見本としてその光景に興奮を隠せなかった。

ACミランというビッククラブでサポーターのプレッシャーも尋常じゃない。ボールをよこせという外国人を蹴散らし、集中力をきらさず決めた。この屈強なメンタル、、、。俺にあるのか!?

帝王と呼ばれるが所以のたたかいをし、プレッシャーとも闘ってきた。
しかしここまで闘ってきたものと、この異国の地でビッククラブの10番を背負い、戦う意味の違いを肌感で感じた。



「これが世界と戦うということなのか?」牧



ルーキーイヤーに好成績を残し、新人王を獲得した牧紳一に用意されたイタリア観戦記。

本田トラベル社長の思惑通り、新たな活気、刺激を感じたのだった。


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