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【SLAM DUNK Gl】131話「イタリアの土産」
セリエAを観戦した翌日、牧のアドレナリンはおさまらなかった。
https://note.com/tyimage/n/n674a95904e86
昨日、見かけたバスケットコートのある公園で集まる人達とプレーをし、汗を流した。
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そしてランチ、カフェへと赴いた。
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「ボールさえあれば世界とつながれる、、、か?」牧
本場イタリアンも、公園でのプレーも日本では感じることのなかった経験をした牧。
そしてあたりをよく見渡すと人だかりが出来ていることに気付く。
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「何かもめてるのか? いやあれ は 、、、、、!?」牧
牧の目に飛び込んだのはファンの囲まれている三田良佑だった。
海外では選手とサポーターの距離が近いこともあると言う。
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サポーター一人一人が監督でサッカーが文化として根付いている。サポーターが選手を直接批評することもあるのだ。
昨夜、値千金のFKを決めた三田に称賛の声があがっている様子だった。
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牧は遠慮をしながらも、この上ないチャンスだと考え、挨拶に伺うタイミングを図っていた。牧が声をかける前に三田は日本人である牧に気付き、近づき声をかけた。
「こんにちは。日本人ですね。観光ですか?ミラノはいいでしょ?」三田
「こんにちは。はい。すみません。こちらから挨拶に伺おうと思っていたのですが。」牧
「何、言ってるんですか(笑)気にせんでええよ。」三田
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三田は気さくに牧に応じた。
牧は昨夜のボールを奪い合い三田の形相のギャップを感じていた。
「三田さん。昨夜の試合観戦させていただきました。あの場面、同じ日本人として感銘を受けました。自分にあれができるのか?と考えてしまいました。」牧
「はは(笑) ありがとうございます。いいフィジカルしてますねー。いいプレーしそうやなー(笑)」三田
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「えっ?(俺のことわかってる?、、、なんてことは、、?)」牧
牧紳一はCBAリーグの新人王でもあり代表待望論も巻き起こる注目選手である。
三田は牧を認識して上で声をかけたのか?
「どこかでプレーしてるん? Jリーグ? セリエBとかCとか?」三田
「!?!?いや、、、。(知ってるはずないよな?これが日本バスケットの認知度の現状か?)」牧
「いや、、、。日本でプレーしてます。」牧
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牧は自分がバスケット選手であることは言わなかった。
いつか名乗らなくても認知される選手になるという反骨心と同時に日本バスケットの認知度の低さが、このイタリアという異国の地においてあろうことか後ろめたく感じたというのも嘘ではなかった。
「牧紳一と申します。三田良佑選手、これからもあなたのご活躍をみていきたいと思っています。」牧
破天荒な桜木花道なら、
「いつか嫌でも俺の名前を覚えさせてやる。」
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なんて言うかもしれない。
牧はこんなことを思いながら、しかし牧紳一は言わなかった。
「ありがとうございます。牧さん、僕はね、日本の若者によく伝えてることがあるんです。ライバルに差をつけたいなら、環境を変えてほしい。何だかんだ言っても、一度ぬるま湯に浸かってしまうと、なかなか抜け出せない。だから、「何か物足りない」と思ったら、自分のことを知らない環境に飛び込んで行ってほしいと思う。」三田
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「ぬるま湯、、。(日本のバスケット、海南はぬるま湯だったのか?)」牧
帝王として君臨し続けた海南時代。
牧が手を抜いたことはなかった。
しかし視野を広げてみることを説いた三田の言葉は響いた。
「すみません。こうしてイタリアで会えたのもなんかの縁やと思ってね。」三田
「とんでもないです。」牧
そして三田は牧に言葉を送った。牧のことを知らないはずだが、なぜかリンクした言葉だった。
「昨日は上手くいった。でもね、上手くいかないことなんてざらにある。とにかく必死ですよ。」三田
「「現実を認めたくない」自分がいて、「現実を受け入れろという」自分もいる。現実を認めなければ、今を生きることができないですから、、、。」三田
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23歳シーズンオフ、新人王を獲得し代表待望論も起こる現状は順風満帆にもうつり、何かを怠る、そんな人間の弱さを見透かすような三田良佑の言葉は、2年目のシーズンを迎える牧紳一のメンタルを引き締めた。
そしてこれがイタリアでの牧紳一と三田良佑の出会いだった。
牧はこの言葉をイタリアの土産として持ち帰った。
続
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