藤井月

職業はwebライターと主婦業。日頃はコスメ系のライティングなので、こちらでは自由に書い…

藤井月

職業はwebライターと主婦業。日頃はコスメ系のライティングなので、こちらでは自由に書いてみたいです。ペンネームはネットのツールで出てきた「藤井月」。住んでるのは都内。年齢はとても書けない。

マガジン

  • note企画

  • 人生はほふく前進

    ダメダメ話を、なんちゃってエッセイ風に…できますように!

  • 親からの愛情に飢えながら、拒絶し、しかしそれ無しに生きる事の難しさ。孤児院でのボランティア体験記を軸に我が人生を振り返る

  • フィクションの名のもとに

    フィクションです!

記事一覧

(小説)心のまま…5

「これは…1人のようでいて、2人が重なって写っているね…」 「視える」タイプの理穂が、集合写真の「和馬」を眺めてそう言った。 私から見た、写真の中で笑っている…

藤井月
8年前
6

心のまま…4

「もしもし、マナミ?同窓会で途中でいなくなったでしょう〜なんで?」 同窓会主催者のマキが 電話をかけてきてそう言うからドギマギした。 私はちょうど手元に、記…

藤井月
8年前
3

心のまま…3

「それで?したの?しなかったの?」 理穂は、その小さな目を見開いて聞いてきた。 「ないない、ないない」 私は両手をブンブン振って否定した。 理穂の目は、ま…

藤井月
8年前
4

心のまま…2

「マナミ」 と、和馬は片手をあげて、 口の端だけで笑って近づいて来た。 「久しぶり、生きてたんだ」 私はニヤニヤしながら軽く言ったが、これはシャレにならない挨拶だ…

藤井月
8年前
2

心のまま(小説)…1回

このトシで参加する同窓会は、まるで不思議な別次元にいるような気分になる。 デパート屋上の小さな遊園地。 例えればそんな空間だ。 昔、気分を高揚させ訪れた場所。お…

藤井月
8年前
3

ほがらかさん

会社で化粧なおしをする際に 今困っているのはチークをポンポン叩いて 塗るタイミングです。。。 最近のチークは 頬の一番高い場所にポンポンしましょう、 と、たいがい…

藤井月
8年前
2

やっさんの思い出

思い出というものは、自身の頭の中にあるが、場所にも見えないマーキングとして存在すると信じている。 新宿駅の中の南口にあるコーヒーショップ。 今はドトールになって…

藤井月
8年前
4

人生はそんなに悪くない

ドライブ中に、ロシア料理を今度食べに行こうという話になりました。 主人「あのシチュー美味しいよね、ロシア料理の、、、ミネなんとか」 私「ミネストーネだっけ、…

藤井月
8年前
3

(小説)あなたは何を見たの

1 恋人にフラれた時、ドミノ倒しの1つ目が倒れたような気がする。 あり得ない別れのセリフに、泣く泣くうなづいて帰宅したら、我が両親が離婚を決めていた。 一人娘で…

藤井月
8年前
5

土筆の味

バス停に続く遊歩道に出たら、春の草の匂いがした。ヨモギの香りだ。 思わず立ち止まり草むらを見つめてしまう。 小さな頃はみんなで、土手に這うようにして、ヨモギやノビ…

藤井月
8年前
2

好きだった人

Facebookに毎朝、体重報告をしている。ある先輩の真似っこなのだが、 これが日課になってしまい、やめどきが分からない。とりあえず毎朝きちんと続けている。 それには、 …

藤井月
8年前
2

人騒がせ

玉ねぎを薄くスライスして、水を張ったボウルに さらしておりました。 埃をかぶると嫌だから、蓋をしておき、 数時間経過した頃に、 「そろそろいいかな、 ツナと混ぜ…

藤井月
8年前
2

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(4/最終回)

マンションの玄関ドアを開けてくれた梨花子は いつもの何倍も明るい笑顔で迎えてくれた。ただ、顔色は相変わらず土気色だけど。 そしてその後ろに「旦那様」こと、私の「彼…

藤井月
8年前
1

やさしい嘘の糸

やさしい嘘の糸で 私たちは繋がっている まるで安いドラマのようだが だけど まぎれもなく 切れずに繋がっている糸は だいぶ強い 女が吐きあう、優しい嘘は 蜘蛛の糸…

藤井月
8年前
5

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(3)

帰り支度をしながらパソコンの電源オフ操作を終え、マウスから手を離した私に、隣の席の梨花子が言った。 「ねえ、週末に我が家に来ない?ダンナを紹介するよ」 私の…

藤井月
8年前
1

飛行機で移動中の一昨日、生まれて初めてのブロッケン現象に遭遇しました。
ネット検索したら、迷信で「これを見たら翌日死ぬ」とありました。
今朝の移動時の飛行機がガタガタ揺れて、死ぬのかも〜と真剣に覚悟してしまった。
実際は、けっこうラッキーな現象だと思います。

藤井月
8年前
2
(小説)心のまま…5

(小説)心のまま…5

「これは…1人のようでいて、2人が重なって写っているね…」

「視える」タイプの理穂が、集合写真の「和馬」を眺めてそう言った。

私から見た、写真の中で笑っている「和馬」は、例のホクロもあるし、右端の歯が1本、外を向いている。
絶対に和馬でしか無い。

しかし、主催者であるマキが言うには、
和馬の代わりに会費だけ持ってきた弟・優馬君が、集合写真に参加しているだけなのだそう。

もっとみる
心のまま…4

心のまま…4

「もしもし、マナミ?同窓会で途中でいなくなったでしょう〜なんで?」

同窓会主催者のマキが
電話をかけてきてそう言うからドギマギした。

私はちょうど手元に、記念撮影の写真を持っていた。

「実はね、和馬と隣のホテルのラウンジで飲んでたんだ」

と言ったら、マキが黙り込んだ。そしてこう言った。

「え?は?和馬って、広田和馬?嘘。来なかったよ?」

「え?はこっちのセリフよ

もっとみる
心のまま…3

心のまま…3

「それで?したの?しなかったの?」
理穂は、その小さな目を見開いて聞いてきた。

「ないない、ないない」

私は両手をブンブン振って否定した。

理穂の目は、またいつもの小さな目になる。その目はいつ見ても「彫刻刀でスッと傷をつけたかのような」細くて小さな目。
彫刻刀の種類は、刃を正面から見たらVのやつだ、、、
と、どうでもいいことを考えながら、コーヒーカップについた口紅を親指でぬぐった

もっとみる
心のまま…2

心のまま…2

「マナミ」
と、和馬は片手をあげて、
口の端だけで笑って近づいて来た。

「久しぶり、生きてたんだ」
私はニヤニヤしながら軽く言ったが、これはシャレにならない挨拶だ。何故って、、

「俺、死亡説出てたらしいね。海外に行ってたから、消息不明っぽかったんだろうな、はは」

2人で、笑いながらビールを飲んだ。

同窓会会場を見渡すと、みんなよく笑っているし楽しいムードに溢れている。

記念撮影をプロのカ

もっとみる
心のまま(小説)…1回

心のまま(小説)…1回

このトシで参加する同窓会は、まるで不思議な別次元にいるような気分になる。

デパート屋上の小さな遊園地。
例えればそんな空間だ。

昔、気分を高揚させ訪れた場所。お腹の底から笑ったり泣いたり、すねて駄々をこねたりした、裸の自分がいた場所だ。

そんな場所に、昔のままのメンバーでそこに集まる。
懐かしさで盛り上がって笑い合う。心のそこから。

だが、もう遊園地の遊具では遊ばないし、心も踊るわけではな

もっとみる
ほがらかさん

ほがらかさん

会社で化粧なおしをする際に
今困っているのはチークをポンポン叩いて
塗るタイミングです。。。

最近のチークは
頬の一番高い場所にポンポンしましょう、
と、たいがいのマニュアルに書いてあるんですよね。

「チークを入れる場所に迷ったら、にっこり笑ってみましょう。
笑った時に一番高い場所にポンポンしましょう♪」

ということで、仕上げに鏡に向かってニカッとしないといけません。

そん

もっとみる
やっさんの思い出

やっさんの思い出

思い出というものは、自身の頭の中にあるが、場所にも見えないマーキングとして存在すると信じている。

新宿駅の中の南口にあるコーヒーショップ。
今はドトールになっているが、昔は違う店だった。
ただ、椅子やテーブル配置は変わらない。

その場所に、たまたま今来てコーヒーを飲んでいる。

やっさんとはほんの数ヶ月付き合った仲だった。別れ話をしたのが、ここなのだ。
お互いに相容れられない価値観があり、私た

もっとみる
人生はそんなに悪くない

人生はそんなに悪くない

ドライブ中に、ロシア料理を今度食べに行こうという話になりました。

主人「あのシチュー美味しいよね、ロシア料理の、、、ミネなんとか」

私「ミネストーネだっけ、違うね💦」

主人「ミノステリーノ?」

私「ミネストレーノ」

主人「ミネストルー……うーん何だったっけ」

私「思い出した!ミネステロール」

主人「違うって!ミネステローネだよ!」

私「あ!そっかー

もっとみる
(小説)あなたは何を見たの

(小説)あなたは何を見たの

1

恋人にフラれた時、ドミノ倒しの1つ目が倒れたような気がする。
あり得ない別れのセリフに、泣く泣くうなづいて帰宅したら、我が両親が離婚を決めていた。

一人娘である私が就職して自立したら、熟年離婚をする事にしていたらしい。

既に父は新しい妻候補との生活を夢見て、出せるだけの慰謝料を置いて出て行った。

母との2人の生活開始。
旧姓に戻った母と、新しいマンションを購入し、全てが新

もっとみる
土筆の味

土筆の味

バス停に続く遊歩道に出たら、春の草の匂いがした。ヨモギの香りだ。
思わず立ち止まり草むらを見つめてしまう。
小さな頃はみんなで、土手に這うようにして、ヨモギやノビル、そしてツクシを摘んだものだ。

ヨモギは両手に余るほど摘んで母に渡す。
母はすぐに火を通しスリコギでスって、粉と水と混ぜてお団子にしてくれたものだ。

ノビルはエシャロットみたいに、サッと茹でて酢みそで食べる。父の晩酌の友だ。

ヨモ

もっとみる
好きだった人

好きだった人

Facebookに毎朝、体重報告をしている。ある先輩の真似っこなのだが、
これが日課になってしまい、やめどきが分からない。とりあえず毎朝きちんと続けている。
それには、

「今朝の体重は◯kgでした!増えました…。今日は食べ過ぎないようセーブします⭐︎」

と言う風に数値を堂々と書いていたのだが、ある日を境に

「今朝も体重を計りました。BMIは23.5です⭐︎」

と、やんわりと数値を隠すように

もっとみる
人騒がせ

人騒がせ

玉ねぎを薄くスライスして、水を張ったボウルに さらしておりました。

埃をかぶると嫌だから、蓋をしておき、
数時間経過した頃に、

「そろそろいいかな、
ツナと混ぜて明日の朝食べよう🎶」

と、蓋を開けたら玉ねぎの香りがプワーッとキッチン中に広がりました。

そのとき、隣の部屋でごろ寝しながらTVを観ていた主人が飛び起きて、

「ガスだ!!ガスくさい、ガスストーブ消して!窓、窓あけて

もっとみる
こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(4/最終回)

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(4/最終回)

マンションの玄関ドアを開けてくれた梨花子は
いつもの何倍も明るい笑顔で迎えてくれた。ただ、顔色は相変わらず土気色だけど。
そしてその後ろに「旦那様」こと、私の「彼」がやって来て、
「こんばんは…」
と発した瞬間、私を凝視して目を見開いて動かなくなった。

「こんばんは〜〜♪梨花子さんにはいつもお世話になっておりま〜す♪」

と、極力、ノー天気なキャラで挨拶をする。

ある意味「修羅場の

もっとみる
やさしい嘘の糸

やさしい嘘の糸

やさしい嘘の糸で
私たちは繋がっている
まるで安いドラマのようだが

だけど
まぎれもなく
切れずに繋がっている糸は
だいぶ強い

女が吐きあう、優しい嘘は
蜘蛛の糸のように
美しくて
そして
少しこわい
#女 #詩

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(3)

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(3)

帰り支度をしながらパソコンの電源オフ操作を終え、マウスから手を離した私に、隣の席の梨花子が言った。

「ねえ、週末に我が家に来ない?ダンナを紹介するよ」

私の顔色がくもった理由は、PCモニタの明かりがちょうどプツンと消えたせいだけではない。

(いいよ、もうダイブ知ってるから。あなたのダンナ)

と、脳裏には浮かんだが…言える訳がない。

「いいね。じゃ、何か買って行くよ。ピ

もっとみる

飛行機で移動中の一昨日、生まれて初めてのブロッケン現象に遭遇しました。
ネット検索したら、迷信で「これを見たら翌日死ぬ」とありました。
今朝の移動時の飛行機がガタガタ揺れて、死ぬのかも〜と真剣に覚悟してしまった。
実際は、けっこうラッキーな現象だと思います。