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フィクションの名のもとに

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記事一覧

(小説)心のまま…5

(小説)心のまま…5

「これは…1人のようでいて、2人が重なって写っているね…」

「視える」タイプの理穂が、集合写真の「和馬」を眺めてそう言った。

私から見た、写真の中で笑っている「和馬」は、例のホクロもあるし、右端の歯が1本、外を向いている。
絶対に和馬でしか無い。

しかし、主催者であるマキが言うには、
和馬の代わりに会費だけ持ってきた弟・優馬君が、集合写真に参加しているだけなのだそう。

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(小説)あなたは何を見たの

(小説)あなたは何を見たの

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恋人にフラれた時、ドミノ倒しの1つ目が倒れたような気がする。
あり得ない別れのセリフに、泣く泣くうなづいて帰宅したら、我が両親が離婚を決めていた。

一人娘である私が就職して自立したら、熟年離婚をする事にしていたらしい。

既に父は新しい妻候補との生活を夢見て、出せるだけの慰謝料を置いて出て行った。

母との2人の生活開始。
旧姓に戻った母と、新しいマンションを購入し、全てが新

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心のまま…4

心のまま…4

「もしもし、マナミ?同窓会で途中でいなくなったでしょう〜なんで?」

同窓会主催者のマキが
電話をかけてきてそう言うからドギマギした。

私はちょうど手元に、記念撮影の写真を持っていた。

「実はね、和馬と隣のホテルのラウンジで飲んでたんだ」

と言ったら、マキが黙り込んだ。そしてこう言った。

「え?は?和馬って、広田和馬?嘘。来なかったよ?」

「え?はこっちのセリフよ

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心のまま…3

心のまま…3

「それで?したの?しなかったの?」
理穂は、その小さな目を見開いて聞いてきた。

「ないない、ないない」

私は両手をブンブン振って否定した。

理穂の目は、またいつもの小さな目になる。その目はいつ見ても「彫刻刀でスッと傷をつけたかのような」細くて小さな目。
彫刻刀の種類は、刃を正面から見たらVのやつだ、、、
と、どうでもいいことを考えながら、コーヒーカップについた口紅を親指でぬぐった

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心のまま…2

心のまま…2

「マナミ」
と、和馬は片手をあげて、
口の端だけで笑って近づいて来た。

「久しぶり、生きてたんだ」
私はニヤニヤしながら軽く言ったが、これはシャレにならない挨拶だ。何故って、、

「俺、死亡説出てたらしいね。海外に行ってたから、消息不明っぽかったんだろうな、はは」

2人で、笑いながらビールを飲んだ。

同窓会会場を見渡すと、みんなよく笑っているし楽しいムードに溢れている。

記念撮影をプロのカ

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心のまま(小説)…1回

心のまま(小説)…1回

このトシで参加する同窓会は、まるで不思議な別次元にいるような気分になる。

デパート屋上の小さな遊園地。
例えればそんな空間だ。

昔、気分を高揚させ訪れた場所。お腹の底から笑ったり泣いたり、すねて駄々をこねたりした、裸の自分がいた場所だ。

そんな場所に、昔のままのメンバーでそこに集まる。
懐かしさで盛り上がって笑い合う。心のそこから。

だが、もう遊園地の遊具では遊ばないし、心も踊るわけではな

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こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(4/最終回)

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(4/最終回)

マンションの玄関ドアを開けてくれた梨花子は
いつもの何倍も明るい笑顔で迎えてくれた。ただ、顔色は相変わらず土気色だけど。
そしてその後ろに「旦那様」こと、私の「彼」がやって来て、
「こんばんは…」
と発した瞬間、私を凝視して目を見開いて動かなくなった。

「こんばんは〜〜♪梨花子さんにはいつもお世話になっておりま〜す♪」

と、極力、ノー天気なキャラで挨拶をする。

ある意味「修羅場の

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こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(3)

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(3)

帰り支度をしながらパソコンの電源オフ操作を終え、マウスから手を離した私に、隣の席の梨花子が言った。

「ねえ、週末に我が家に来ない?ダンナを紹介するよ」

私の顔色がくもった理由は、PCモニタの明かりがちょうどプツンと消えたせいだけではない。

(いいよ、もうダイブ知ってるから。あなたのダンナ)

と、脳裏には浮かんだが…言える訳がない。

「いいね。じゃ、何か買って行くよ。ピ

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こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(2)

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(2)

ジグソーパズルの最後の1つのピースが足りない、そんな心境だった。突然の別れ。いや、別れなのだとすぐに認識できればまだ良かった。突然消えたのだ、彼は。

その苦しみは、眠れない夜を10か20過ぎた頃に、私の持つ普通の感覚を、少しばかり狂わせた。

足りない1つのピースを自力で埋めて、この恋愛を「完全に終わり」にする手段。
どんな方法が適当だろうかと考えながら、それはある意味、何でも良いのだと

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こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(1)

こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(1)

「お前は紛れもなく女なんだよって、
こぼれたワインが私に知らせるの」
梨花子はそう言って顔をゆがませ、ため息をつく。
ワインは比喩で、赤ワイン=月のモノって事らしい。

「へぇ。いいじゃない。順調で。なんで落ち込むの」
と私は返しながら、もう次に梨花子が言うセリフを知っている。

「わたしね、女って大嫌いなのよ。男に産まれたかったな〜」
ひんぱんにこのセリフを繰り返す梨花子は、実は同性愛者

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ホストクラブのJ君

ドアを開けたら、そこは光が絡み合う、まばゆい異界だった。

何年前だったか、ノーベル賞のTV報道で、スーパーカミオカンデなる施設を見たことがあるが、あんな感じのきらめきっぷりだ。

店の奥のピンクに輝くシャンパンタワーの前には、
ステージ風の丸いエリアがあり、そこに15人くらいの男子が並んでいた。

髪が金、銀、赤色でスーツ姿の男子達。ニッコリ笑って、

いらっっしゃいませ!
○※

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