心のまま(小説)…1回
このトシで参加する同窓会は、まるで不思議な別次元にいるような気分になる。
デパート屋上の小さな遊園地。
例えればそんな空間だ。
昔、気分を高揚させ訪れた場所。お腹の底から笑ったり泣いたり、すねて駄々をこねたりした、裸の自分がいた場所だ。
そんな場所に、昔のままのメンバーでそこに集まる。
懐かしさで盛り上がって笑い合う。心のそこから。
だが、もう遊園地の遊具では遊ばないし、心も踊るわけではない。
もうここじゃない。自分達が心踊る場所は…。
私はそんな想いを胸にひろげつつ、
同窓会の乾杯をした。
すぐに目に飛び込んで来た人は、やはり付き合っていた和馬だ。
40も過ぎたら見た目も変わる。
でも和馬は、変わっていなかった。
それが和馬との、最初で最後の恋の始まりだ。
つづく