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【二次創作小説】 罪と動物の森
罪を犯した。タクシーを捕まえて逃亡する。
あたしは運転手に、「どこか人里離れたところへ。とにかく遠くへ!」と頼み込んだ。カッパのような頭の運転手はそれを了承し、アクセルを踏んだ。
さっきより強くなった雨が降る中、タクシーは町をはずれて森の中に入っていった。それからどこまでも深くに入っていく。なんか、重厚な門みたいなのをくぐった気もするけど……こうしてどのくらい走った頃だろうか、タクシーはどこかの
【空想】イデン /キャラ設定
ダイーラ(ユニジ・ダイーラ)母ライラのあとを継いでクレブ城に勤務する26歳女兵士。通勤はライラの送迎で。ダイーラは朝9時に出勤するとまず、ロッカーで甲冑に着替える。業務はまず、全体での朝礼と朝の剣の稽古から始まる。それが終わると各自、城内を警備する業務にあたる。12時から、60分間の休憩。休憩室で、持参している弁当を食べ、同僚のシグルと談笑するなどする。午後の業務も警備が主である。17時まで仕事を
もっとみる旅路【FFⅢ二次創作】
年中強い風の吹く大陸、ダルグ。その大陸には、偉大な魔導師ノアが、人間としてはたった一人で住んでいた。彼の住居(ノアの館)以外に建物はなく、彼の館のある辺りは、険しい山々に囲まれた盆地の地形をしていた。
シーザはノアの館で育った。物心ついた時、母も父もいなかった。以前、ノアが各地方を回った時、ある村で、赤ん坊のシーザをノアに預けてきた女性がいた。ノアはシーザを連れ帰り、その後自分の屋敷にて養育した。
【掌編小説】カルーセル
その少女には名前がない。ある年の冬の初め、とある遊園地で奴隷商人の男によって売りに出されていた子供の奴隷である。商人の目の前で、奴隷は声を出すことも許されない。人間らしく言葉を話すと、むちで打たれるのだ。下着さえ身につけさせてもらえずに、薄いワンピース一枚で毎日、通行人にとっての見世物として路上に長時間座らせられていた。
大人の女である『わたし』はその日、この遊園地を訪れた。遊ぶ人たちの賑やかな
【二次創作小説】ピク星の刹那
ピク星はこの銀河の無数の星々の中の一つ。人の住まない小さな星であり、表面は岩石で、この星に降り立つと一面灰色の景色のみが広がる。
ピク星と呼ばれる所以はピクという魔物がここに棲んでいたからだ。全長五メートルほどの赤黒い流動体のような魔物で、周辺の星に被害を出すため、周辺の宇宙人たちは大いに困っているとのことだった。
そこでピクを退治するよう依頼を受けたわたしがこの星に一人でやってきた。ピクは人の
【小説】シーザの旅路
元薬学者の男シーザは故郷の島を追われて本土の田舎町にある老女ネニコの家を終の住処に決めたわけではあるが、そのネニコの家にネニコも、シーザも居なかった期間が一年あまりある。
それはシーザがネニコの家に来て五年目の春。ネニコは六十八歳、シーザは三十三歳になっていた。
「ねえ……シーザさん。わたし、あなたを描くのもう何回目かしら? あなたはモチーフとしてとても美しいんだけど、なんか最近、もう少し何か