【小説】シーザの心情
赤子の頃から、島に住んでいた。
その島はマンションやオフィスビルや研究所などがあり、割と適度に都会だった。その島には子供の時と成人してからで別々の名前を名乗るという風習があり、俺の子供の頃の名前はルーネイといった。
島にはファドという名前の幼なじみの男の子がいて、俺とファドはほとんど兄弟のように育った。大人になると、彼は島を出て、城下町に住処をこしらえて王子さまの教育係として働くまでになったそうだが、俺はずっと生まれ育った島を出なかった。ずっと、この島の研究所に薬学者として