マガジンのカバー画像

塚本あおいのショートショート

18
塚本あおいの書いた記事の中から、ショートショートだけをまとめました。
運営しているクリエイター

記事一覧

エリスの家

今より遥かな過去か未来かどちらかの世界に、人の住まない、だだ広い草原がありました。 草原…

塚本あおい
1か月前
3

【二次創作小説】ピク星の刹那

ピク星はこの銀河の無数の星々の中の一つ。人の住まない小さな星であり、表面は岩石で、この星…

塚本あおい
8か月前

【小説】シーザの旅路

元薬学者の男シーザは故郷の島を追われて本土の田舎町にある老女ネニコの家を終の住処に決めた…

塚本あおい
10か月前
5

【小説】オリキノ

暗闇の無人ホームに、記憶をなくした少女が一人立ちすくんでいた。 ここがどこかも、自分の名…

塚本あおい
11か月前
2

【小説】コスモス

闇の時間と光の時間が繰り返し訪れる世界。 この世界には太陽がない。代わりに、この世界の上…

1

【二次創作小説】 由真

光の中に黒い渦の回転があった。 彼女は一人、その中から這い出た。 水は回り、闇をゆっくりか…

2

【小説】シーザの心情

赤子の頃から、島に住んでいた。 その島はマンションやオフィスビルや研究所などがあり、割と適度に都会だった。その島には子供の時と成人してからで別々の名前を名乗るという風習があり、俺の子供の頃の名前はルーネイといった。 島にはファドという名前の幼なじみの男の子がいて、俺とファドはほとんど兄弟のように育った。大人になると、彼は島を出て、城下町に住処をこしらえて王子さまの教育係として働くまでになったそうだが、俺はずっと生まれ育った島を出なかった。ずっと、この島の研究所に薬学者として

【小説】 作詞

歌を求めて長い旅をしてきた。 旅人の少年は絶望していた。 どこを訪ねても、そこにあるのは他…

5

【小説】キリム時計塔

ああ、世界は、滅びた。 終わりを告げたのは、世界の中心に天をつくようにそびえ立つ時計塔の…

5

想い出

美術大学に進学して一番よかったことは、ホックと出会えたことだと思う。 最初の全体ガイダン…

4

【小説】ネニコとシーザ(改)

ネニコという名前の老婆が一人、とある国の田舎町の、山の麓にポツンと建つ一軒家で静かに油絵…

3

【小説】『リトル・リト』 美大生活の終わりに

1 あるところに、女がいた。名前をアキソラホホといった。彼女は自分がいつまでもは生きられ…

7

【読み切り小説】ウルビ国の歩み

ウルビ国王は大帝国から脱出した。 薄暗い洞窟を抜けると、緑豊かな土地がある。そこで自らが…

2

【読み切り小説】イーグレカ

夕方で、空は赤かった。血のような太陽が西に沈む。 「今日の収穫はこれだけか」 俺はひとりごちて恐竜の死体を担ぎ上げた。さてと、ねぐらに帰るか……。 山奥の、ここは恐竜たちの縄張りだ。もしもいま、たちの悪いやつに出会って、せっかくの獲物を横取りされてしまっては敵わない。暗くなるとこっちは何も見えなくなるのだから、早く帰ってこいつを焼いて食ってしまおう。 それにしても、この辺りは随分と減ったな。俺が殺しているためだ。たくさんの竜が、前はもっといたものだ。この山の動物が全滅