【小説】ネニコとシーザ(改)
ネニコという名前の老婆が一人、とある国の田舎町の、山の麓にポツンと建つ一軒家で静かに油絵を描いて暮らしていた。
ある満月の夜、シーザと名乗る二十代後半くらいの男が一人、ネニコの家に突然やってきた。玄関先に立つ、長髪に大きな荷物の彼は、「突然ですみませんが、この家に居候させて欲しい」とネニコに頼み込んだ。優しいネニコは素性の知れぬこの男から、一体何があったのか話を聞き出した。
シーザはもともと、この国が所有する離島のマンションに住んでいた。ところが島の方針の変更で、肌の色が