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歴史本書評

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オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
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2022年9月の記事一覧

【書評】小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書)

【書評】小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書)

 ロシアによるウクライナ侵攻により、ロシアの軍事戦略についての関心が高まっています。著者はロシア及び軍事の専門家でもあるため、この分野を学ぶには外せない一冊でしょう。

 本書は2021年5月の発行です。ウクライナ侵攻より前ですが、余計な先入観なしに書かれているという長所があります。

 軍事の用語は無味乾燥な略語であることが多いのですが、本書は一般向けにできるだけ易しく書かれていると感じました。

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【書評】中川裕「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」(集英社新書)

【書評】中川裕「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」(集英社新書)

 今年大団円を迎えた『ゴールデンカムイ』は、アイヌの文化を詳細に取材していることで知られています。アイヌ文化の認知度向上に大きく貢献したといっていいでしょう。

 本書は、『ゴールデンカムイ』でアイヌ語監修を務める専門家による解説書です。

『ゴールデンカムイ』はアイヌ文化に対してリスペクトの念を持っていますが、あくまでフィクションのため架空の習俗なども書かれています。なので、実は『ゴールデンカム

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【書評】立石博高『スペイン史10講』(岩波新書)

【書評】立石博高『スペイン史10講』(岩波新書)

 大航海時代の主役となり、「太陽の沈まぬ帝国」を築いたスペイン。きわめて興味深い歴史を持っていますが、イギリスやフランスなどと比べると通史に詳しい人は少ないかもしれません。

 本書は250ページほどのコンパクトな新書ですが、原始時代~21世紀までのスペインの通史を扱っています。駆け足のため人名・事件名の羅列になりがちな箇所もありますが、スペイン史の入門としては最適だと思います。

文明の十字路だ

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