山田 稔明(GOMES THE HITMAN)
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インタビューという交歓|マイク・ミルズ「C'MON C'MON」とミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」
マイク・ミルズ監督、ホアキン・フェニックス主演の映画『C'MON C'MON』が素晴らしかった。全編モノクロームで描かれる4都市を移動する物語。親子の話ではなく伯父と甥の話、というよりもこれは大人と子供の心の通いを描いたとても優しいストーリーだった。雰囲気やテーマも含めて3年前にマイク・ミルズがディレクションしたTHE NATIONALの「I AM EASY TO FIND」の双子のような作品だな
もっとみるラジオ英会話と100年
昨年11月から毎朝の楽しみだったNHK連続ドラマ小説「カムカムエブリバディ」が終わった。ちょうど30年ぶりにNHKラジオ英会話を去年の春から聴くようになって、しばらくして時期朝ドラの「カムカム」がラジオの英語講座がキーとなるドラマだと知ってびっくりしたのだけど、そういう偶然の符合の一致などもあいまって、3世代の100年を描くこのドラマをより一層楽しめたように思う。第一幕となる安子:岡山編では戦争の
もっとみる思い思いのゴースト・ストーリー
子供の頃、死んだら人はどうなるのかということを考えるのが怖くて、いや、怖いというか途方もなくわからなくて、目をそむけたり瞑ったりしてきて、それは大人になってもそんなに変わらないまま気づいたら40歳を越えたころに愛猫ポチを亡くした。さっきまで小さく息をしていた身体が鼓動を打つのを止めたとき、名前を必死で呼びながら手やしっぽを触っていた僕に「あ、魂が抜けていった」と感じた瞬間が確かにあって、多分初めて
もっとみる立ち直らない強さ、救われない強さ
今年5月からずっと観続けたNHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」が終了した。朝ドラと波長が合うと約半年の生活のペースが完全に朝方になり規則正しい日々になる。僕はどうやらひとくせある現代譚が好きなようで、久々「半分、青い」以来の<感情移入>だった(もちろん他にも好きなやつはいろいろあるけどね)。
「おかえりモネ」はそこはかとなく暗く静かで思慮深い、なかなか珍しい雰囲気の朝ドラだったと思うけど、毎
『NEW ADVENTURES IN HI-FI』25周年とデビュー40周年記念ハイレゾCD5作品+1コンピ、リイシュー
解散して10年になるのに定期的にファンとしての喜びをくれるR.E.M.だけれど、1996年の『New Adventures in Hi-Fi』25周年にあわせて、今ちょっとした祭りである(個人的なやつ)。ファンとしては一番高い全部入りのスーパーデラックスエディションを買うのが努めで、先日アメリカから2LP、2CD、1Blu-ray、フィールド・ノート、バンダナ、パーカー、Tシャツのセットが届いて「
もっとみる町はぼくらのもの|1985年のまちづくり宣言
この前の連休、ぼくは大阪への一人旅を経験した。「うわっ、かっこいい」というのが第一印象だった。道路のそばにぽつぽつと木が植えてあるくらいで、緑なんてほとんど無かったが、きたない町だなんて全然思わなかった。それは時代の移り変りと、近代的建物にあこがれているぼくがあるからかもしれない。ぼくたち現代っ子としては、ぼくの町基山にも、もうちょっと大きな店などもふやしてもらいたいし、かっこいい建物も立ててもら
もっとみる昨日と今日がくっついてゆく世界で
小沢健二「キツネを追ってゆくんだよ」という配信を観た。歌を歌わない配信、さて何をやるんだろうと興味津々だったのだけど、なんだかとても面白くてMacBookProの前でずっと最初から最後まで見入ってしまった。多分予定されていた映像や段取りがトラブルでてんやわんやになって、予定より時間が大幅に押したのだろう、気づいたら日付が変わってしまっていた。たくさんの人が関わって入念な準備もされただろうに「ああ、
もっとみるa sort of homecoming|帰郷、のような旅
ネットでGO TOキャンペーンのことをいろいろ調べて、いろいろ複雑で困惑しながらもようやっと旅行程を整えて九州は佐賀県、故郷の基山町へ。慌ただしい短い旅。基山町立図書館で行われているカレンダー展をこの目で確かめて挨拶してお礼をするのが目的の旅だ。飛行機での旅行、最後はすでにコロナが生活に忍び寄っていた3月に所用があり福岡へ日帰りして以来。その前も2月の警固ジョイトリップカフェでのライブだったの
映画「カセットテープ・ダイアリーズ」と中学生の僕
レイトショーで映画「カセットテープ・ダイアリーズ」を観た。雨の月曜日の夜に映画を観る人なんてそんなにいなくて、僕含めて5人くらいがだだっぴろいシアターの銀幕の前にいた。ブルース・スプリングスティーンの歌に基づいた青春映画という触れ込みだけでもワクワクして楽しみにしていた作品だったのだけど、想像していた以上に素晴らしくて爽快で、最後は感動して笑いながら泣いた。1980年代イギリスを舞台にした物語だけ
もっとみる映画「ア・ゴースト・ストーリー」とフィービー・ブリッジャーズ新作
テレビで2017年の映画「ア・ゴースト・ストーリー」というのをやっていた。冒頭からすごく惹き込まれる物語だったのだけど、くたびれた一日だったのと長回しのシーンが多かったのとで途中で寝てしまった。あらためて昨日観直してみたら、やっぱりとても良かった。ここ数年で何番目というくらいだった。音楽家の主人公は映画の冒頭であっけなく死んでしまい、主演ケイシー・アフレックはその後だいたいずっと(回想シーン以外は
もっとみる夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】10
昨年の夏の終わりにサンフランシスコに行った記録。こんな2020年になるなんて微塵にも思わなかった。また心を昂ぶらせながら海外旅行に行きたい。
旅の最後の夜、僕はサンフランシスコ郊外の街パロアルト、フロスト・アンフィシアターの最前列にいた。夜のとばりが降りて、ついにTHE NATIONALの面々がステージへ。Youtubeで漁るように観たダイナミックな演奏を生で、目と鼻の先で体験できる喜び。僕がT