山田 稔明(GOMES THE HITMAN)

1973年佐賀県出身。1999年ゴメス・ザ・ヒットマンでデビュー。ソロ名義での作品発表…

山田 稔明(GOMES THE HITMAN)

1973年佐賀県出身。1999年ゴメス・ザ・ヒットマンでデビュー。ソロ名義での作品発表、執筆、などその活動は多岐にわたる。愛猫家として知られ、愛猫との日々を綴った自伝的小説「猫と五つ目の季節」エッセイ集『猫町ラプソディ』を出版。NHK Eテレ『0655』で歌唱を担当。

マガジン

  • 夏の終わりとサンフランシスコ2019【山田稔明 旅日記】

    2019年の夏の終わりにサンフランシスコへ好きなバンドのライブを観にいったお話。2005年以来14年ぶりのカリフォルニア旅。コロナ禍のトンネルを抜けたらまた遊びにいけますように。

  • Rarities for note

    noteのためにアップロードしたレアトラックです

  • sound samples

    不定期に公開されるフルストリーミング楽曲です。

最近の記事

インタビューという交歓|マイク・ミルズ「C'MON C'MON」とミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」

マイク・ミルズ監督、ホアキン・フェニックス主演の映画『C'MON C'MON』が素晴らしかった。全編モノクロームで描かれる4都市を移動する物語。親子の話ではなく伯父と甥の話、というよりもこれは大人と子供の心の通いを描いたとても優しいストーリーだった。雰囲気やテーマも含めて3年前にマイク・ミルズがディレクションしたTHE NATIONALの「I AM EASY TO FIND」の双子のような作品だなあとも感じる。音楽担当はそのTHE NATIONALデスナー兄弟で、流麗なスコア

    • ラジオ英会話と100年

      昨年11月から毎朝の楽しみだったNHK連続ドラマ小説「カムカムエブリバディ」が終わった。ちょうど30年ぶりにNHKラジオ英会話を去年の春から聴くようになって、しばらくして時期朝ドラの「カムカム」がラジオの英語講座がキーとなるドラマだと知ってびっくりしたのだけど、そういう偶然の符合の一致などもあいまって、3世代の100年を描くこのドラマをより一層楽しめたように思う。第一幕となる安子:岡山編では戦争の無慈悲さと愚かさを改めて思い知ったわけだけども、まさかこうやってロシアのウクライ

      • 30歳のボス

        久しぶりに映画館へ。一夜限り、一回限りの『ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド:ノー・ニュークス・コンサート』上映のチケットを手に入れたのだ。1979年にマジソン・スクエア・ガーデンで行われた伝説のステージがリストア(修復)とマスターテープからのリミックスが施され、2021年になって初めてその全貌が公開された。僕は5日間行われた模様を3枚組で収録した『NO NUKES』のレコードを中学生の頃に手に入れた(親戚に段ボール一箱分のレコードをもらったなかに入っていた

        • 思い思いのゴースト・ストーリー

          子供の頃、死んだら人はどうなるのかということを考えるのが怖くて、いや、怖いというか途方もなくわからなくて、目をそむけたり瞑ったりしてきて、それは大人になってもそんなに変わらないまま気づいたら40歳を越えたころに愛猫ポチを亡くした。さっきまで小さく息をしていた身体が鼓動を打つのを止めたとき、名前を必死で呼びながら手やしっぽを触っていた僕に「あ、魂が抜けていった」と感じた瞬間が確かにあって、多分初めてそれから魂はどこへ行くのか、どこにいるのかを考えるようになったと思う。どんどん冷

        インタビューという交歓|マイク・ミルズ「C'MON C'MON」とミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」

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        • 夏の終わりとサンフランシスコ2019【山田稔明 旅日記】
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        • Rarities for note
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        記事

          立ち直らない強さ、救われない強さ

          今年5月からずっと観続けたNHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」が終了した。朝ドラと波長が合うと約半年の生活のペースが完全に朝方になり規則正しい日々になる。僕はどうやらひとくせある現代譚が好きなようで、久々「半分、青い」以来の<感情移入>だった(もちろん他にも好きなやつはいろいろあるけどね)。 「おかえりモネ」はそこはかとなく暗く静かで思慮深い、なかなか珍しい雰囲気の朝ドラだったと思うけど、毎日濃厚な15分で、日々にいろいろなことを考えさせられた。「おれは立ち直らないよ」

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          『NEW ADVENTURES IN HI-FI』25周年とデビュー40周年記念ハイレゾCD5作品+1コンピ、リイシュー

          解散して10年になるのに定期的にファンとしての喜びをくれるR.E.M.だけれど、1996年の『New Adventures in Hi-Fi』25周年にあわせて、今ちょっとした祭りである(個人的なやつ)。ファンとしては一番高い全部入りのスーパーデラックスエディションを買うのが努めで、先日アメリカから2LP、2CD、1Blu-ray、フィールド・ノート、バンダナ、パーカー、Tシャツのセットが届いて「どんだけ好きかよ」と思ったけれど、続いてユニバーサル・ミュージックからリリースに

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          町はぼくらのもの|1985年のまちづくり宣言

          この前の連休、ぼくは大阪への一人旅を経験した。「うわっ、かっこいい」というのが第一印象だった。道路のそばにぽつぽつと木が植えてあるくらいで、緑なんてほとんど無かったが、きたない町だなんて全然思わなかった。それは時代の移り変りと、近代的建物にあこがれているぼくがあるからかもしれない。ぼくたち現代っ子としては、ぼくの町基山にも、もうちょっと大きな店などもふやしてもらいたいし、かっこいい建物も立ててもらいたいのだ。 ぼくの住んでいる基山も見方を変えれば緑も多いし自然のあふれる良い

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          昨日と今日がくっついてゆく世界で

          小沢健二「キツネを追ってゆくんだよ」という配信を観た。歌を歌わない配信、さて何をやるんだろうと興味津々だったのだけど、なんだかとても面白くてMacBookProの前でずっと最初から最後まで見入ってしまった。多分予定されていた映像や段取りがトラブルでてんやわんやになって、予定より時間が大幅に押したのだろう、気づいたら日付が変わってしまっていた。たくさんの人が関わって入念な準備もされただろうに「ああ、ライブ配信ってやっぱ超こわい…!」と思ったけれど、そのハプニング含めて2時間のな

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          a sort of homecoming|帰郷、のような旅

          ネットでGO TOキャンペーンのことをいろいろ調べて、いろいろ複雑で困惑しながらもようやっと旅行程を整えて九州は佐賀県、故郷の基山町へ。慌ただしい短い旅。基山町立図書館で行われているカレンダー展をこの目で確かめて挨拶してお礼をするのが目的の旅だ。飛行機での旅行、最後はすでにコロナが生活に忍び寄っていた3月に所用があり福岡へ日帰りして以来。その前も2月の警固ジョイトリップカフェでのライブだったので、今年は3回目の福岡へのフライトということになる。タイミングがまた感染者数が急

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          あれから1年も

          今からちょうど1年前、8月の終わりからサンフランシスコ旅行をした。 THE NATIONALというバンドのライブを観にいくための、5日ほどの短い旅だったけれど、県境すらまたげない今年の現状を考えると本当に夢のような時間だったと感じる。1年前はむりやりお金と時間を捻出したけれど、今は時間とお金があったとしても難しい。「想い出のサンフランシスコ」というスタンダードナンバーがあって、原題は「I Left My Heart in San Francisco」、心をサンフランシスコに置

          映画「カセットテープ・ダイアリーズ」と中学生の僕

          レイトショーで映画「カセットテープ・ダイアリーズ」を観た。雨の月曜日の夜に映画を観る人なんてそんなにいなくて、僕含めて5人くらいがだだっぴろいシアターの銀幕の前にいた。ブルース・スプリングスティーンの歌に基づいた青春映画という触れ込みだけでもワクワクして楽しみにしていた作品だったのだけど、想像していた以上に素晴らしくて爽快で、最後は感動して笑いながら泣いた。1980年代イギリスを舞台にした物語だけれど、2020年の今とリンクする部分がたくさんあった。差別、ダイバーシティ、断絶

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          コロナ禍と都知事選

          東京は日曜日に選挙だ。僕は午前中に行くつもり。新型コロナウィルスとか東京オリンピックとか、大きな問題がたくさんあるのにそこに差す希望の光のようなものは見つからない。数週間前ポストに投函された選挙公報をため息をつきながら何日も眺めた。テレビでの報道は少なく、街頭演説にも一度も出くわすこともなく、Twitterとラジオが思考の材料になっている。これまで僕が票を入れた人が都知事になったことは一度も、ない。今回もどうせ、と思ってしまうけれど、ジョン・レノンが「Imagine」のなかで

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          映画「ア・ゴースト・ストーリー」とフィービー・ブリッジャーズ新作

          テレビで2017年の映画「ア・ゴースト・ストーリー」というのをやっていた。冒頭からすごく惹き込まれる物語だったのだけど、くたびれた一日だったのと長回しのシーンが多かったのとで途中で寝てしまった。あらためて昨日観直してみたら、やっぱりとても良かった。ここ数年で何番目というくらいだった。音楽家の主人公は映画の冒頭であっけなく死んでしまい、主演ケイシー・アフレックはその後だいたいずっと(回想シーン以外は)白いシーツをかぶった幽霊として無言でスクリーンに立ち尽くしている。生き別れたル

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          夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】10

          昨年の夏の終わりにサンフランシスコに行った記録。こんな2020年になるなんて微塵にも思わなかった。また心を昂ぶらせながら海外旅行に行きたい。 旅の最後の夜、僕はサンフランシスコ郊外の街パロアルト、フロスト・アンフィシアターの最前列にいた。夜のとばりが降りて、ついにTHE NATIONALの面々がステージへ。Youtubeで漁るように観たダイナミックな演奏を生で、目と鼻の先で体験できる喜び。僕がTHE NATIONALを好きになったのは2017年『Sleep Well Bea

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          猫町わらしべ長者

          とにかく家と、家から一番近いスーパーくらいしか出かける用事がないから運動不足解消のために毎日1時間歩いている。もう近所に通ったことのない道はなくなってきたところだ。買い物帰りに遠回りして道を選んで歩いていたら、花壇を世話しているおばあちゃんがいたので、その花を眺めながら歩いたところ、「この花は育ちすぎて間引いてるの」と話しかけられた。「きれいですね」と返すと「お兄ちゃん、花持っていきなさい。これはカキツバタ、これはアイリス、これは…」とあれよあれよという間に向こうの見えないく

          草を刈る午後

          ずっと家で過ごしているでやっぱり今までやり過ごしていたいろいろな部分を丁寧に正して快適にしていきたい、と思う。うちの庭は今一番いい季節、蚊もまだいないし、いろんな芽吹きがあって楽しい。問題は雑草で、ハナニラ、どくだみ、その他手強いやつがいっぱい。毎年気づくと手が付けられないくらいになって、庭師さんに頼み込むことになるのだけど、今年は蚊が発生する前に雑草を刈ることにした。時間がたくさんあるからこそできることだ。もう草を抜く、根絶やしにするということは諦めているから、電動草刈機の