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ともみの部屋 #2

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伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜
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#オーストラリア

目が覚めた時、私は異国のオーストラリアの空の下にいて【Sydney→Hunter Valley】

目が覚めた時、私は異国のオーストラリアの空の下にいて【Sydney→Hunter Valley】

目が覚めた時、一瞬本当にどこにいるかわからなくて。私はオーストラリアにいて、話しかけられている言語は日本語ではなく英語で、さらには車の中にいて、その車の天井の窓はオープンになる仕様で、車の中にいるらしいのに、鮮やかな夏色をした街路樹と、南半球の空が頭上に広がっていて。

思い出すまで、きっと0.2秒くらいのほんの短い出来事だった。1秒後には私は状況を把握して、車の運転手であった彼に、日本語ではない

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夜の国際線ターミナルは、世界にただ一人みたいだった【Tokyo→Sydney】

夜の国際線ターミナルは、世界にただ一人みたいだった【Tokyo→Sydney】

22:20羽田空港発、シドニー行き。普段の旅ならLCCを選びがちだけれど、今回は贅沢にも仕事の渡航のため、ANAで飛ぶ。私は知ってる。ANAのフライトは、チェックインカウンターも、搭乗口も、すべてが入り口の近くにある。

「余裕を持って少し早めに」と空港に到着しても、カウンターや搭乗口を探してキョロキョロとする前に、ANAの世界への入り口は目の前に現れる。

今日、羽田空港の出国手続きを終えた先の

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明日から、2年3ヶ月ぶりの海外旅へ【2022.3時点 オーストラリア出入国情報 備忘録】

明日から、2年3ヶ月ぶりの海外旅へ【2022.3時点 オーストラリア出入国情報 備忘録】



久しぶりの国際線フライト!明日から、久しぶりの海外旅に出かけます。行き先は、オーストラリア。

世界一周中にとっても気に入ってしまって、国内一周はもとより、その後キャンピングカーで東海岸を旅してタスマニアまで行くなど、元々大好きな国なので、今から楽しみです。

(コロナ明けの最初の旅、どこへ行くのだろうなぁ、とずっと想像していたのですが、私はオーストラリアだったかぁ……!)

なのですが、正直

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半年間の勝手な決算をしてきた【オーストラリア・アリススプリングス】

半年間の勝手な決算をしてきた【オーストラリア・アリススプリングス】

「数年ぶりに会う、さきちゃんは元気にしているだろうか」
「私は、鳥井さんに出会わなければ、今の人生はなかったな」
「なんて広い、空だろう」

そんな雑多なことを思いながら、カンタス航空の飛行機に乗って、飛び立つ時を待っていた。

スピードを上げて走っていく滑走路。機体が地面から離れる瞬間。この瞬間を、この1年で何度感じただろう。

アリススプリングスという、オーストラリアのちょうど真ん中に位置する

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今までで一番きれいな夕焼けを見た【オーストラリア・ウルル】

今までで一番きれいな夕焼けを見た【オーストラリア・ウルル】

今まで見た中で、それは一番きれいな夕焼けだった。

昨日までは、全然そんなこと思っていなかった。夕暮れはたしかにすごく、毎日美しかったけれど、雲がひとつもないせいか、「今まで見た中で、一番空が広いなぁ」という感想だった。

けれど違っていた。今日のそれは、もう言葉が出ないくらい、とにかく美しい色をしていた。

少し、展望台に立ち寄ろう、と気軽に足を向けただけだった。夕方突然の雨が降ってきて

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ついに行くのだ、憧れの場所へ【オーストラリア・エアーズロック】

ついに行くのだ、憧れの場所へ【オーストラリア・エアーズロック】

飛行機の上。一面に広がる空の青。空と地面の境目に、濃くてぼやける緑。手前に近づくに連れて、段々と乾いていく大地。色は赤。そして最寄りの眼下は黄色に近い黄土色。

なんて色のグラデーションなんだろう、と思いながら流れていく景色を見ていた。

こんなに乾いた大地は、見たことがなかった。なんだこれ。ケアンズ、ゴールドコーストと海沿いを南下しながらやってきた。ここへきてシドニーを経由して、オーストラリアの

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吸い込まれそうな青い目の沈没【オーストラリア・バイロンベイ】

吸い込まれそうな青い目の沈没【オーストラリア・バイロンベイ】

通りの奥に、これからまさに歌い始めようとする人を見つけた。男の人が、ふたり。

ギターを持って視線を下げる、小麦色の肌をした髪の長い人。その一歩後ろでバナナをフォークで切りながら、ミューズリーらしき何かをボウルに入れて、これからまさに食べようとしている人。

歌う人と、食べる人。何なんだその組み合わせは、と思って視線を彼らに投げること数秒。

その隙を掴まれる。

目が、合った。そして私を見つめて

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名前も知らない誰かと人生を交わして【オーストラリア・ケアンズ】

名前も知らない誰かと人生を交わして【オーストラリア・ケアンズ】

今日はどこかで仕事をしよう、と思ってケアンズの街をふらつく。この街には、あまりWi-Fiが飛んでいるカフェがなさそうだ。

店は、17時、18時には軒並み閉まる。電源があっても、Wi-Fiがない。Wi-Fiがあっても、電源がない。あるのは、プールと海だ。あとは1食18ドルくらいする、食事とドリンク。

あんまり仕事、しすぎんなよ、ということか。だって、仕事も遊びも、あまりもう区別がないんだもの。何

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旅に出られなかった過去の私への鎮魂【オーストラリア・ブリスベン】

旅に出られなかった過去の私への鎮魂【オーストラリア・ブリスベン】

どうして私は、移動を続けるのかな、とずっと思っていた。

色々理由はあるはずだ。海外が好き、知らない世界が見てみたい。

今はもうないけれど、旅や移動を繰り返し始めた頃は、「ここではないどこかに、きっと」「きっと私の求めている何かが」。

成田からケアンズへ向かって、すでにいくつかの街を訪れてみた。

キュランダ、パームコーブ、ポートダグラス、ゴールドコースト、ブリスベン。

昨日は、ブリスベンを

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恋と、誰かのために生きてみたいという気持ち【オーストラリア・ケアンズ→ゴールドコースト】

恋と、誰かのために生きてみたいという気持ち【オーストラリア・ケアンズ→ゴールドコースト】

ふわりと飛行機が、陸から浮く。今年はもう何回、飛行機に乗っただろう。船も、飛行機も、新幹線も、移動させてくれるものたちは、全部すき。

ケアンズからゴールドコーストまでは、2時間と少し。ちょっと隣町まで、という気持ちで移動したのに、東京から福岡よりも遠いのだから、オーストラリアというのは恐ろしい。

私は最近の旅は、1週間、長くても2週間足らずでひとつの街から動いてしまっているのだけれど、オースト

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忘れられない青色の海を見た【オーストラリア・グレートバリアリーフ】

忘れられない青色の海を見た【オーストラリア・グレートバリアリーフ】

海の中は、深くて濃い、そしてとても淡い青色をしていた。今までも、数度海には潜ったことがあった。海外でも、日本でも、海の中をシュノーケリングやスキューバダイビングや何やらで、覗いてみたことがあったはず。

けれどそこは、今までのどんな海とも違った。

日本がすっぽりと入ってしまうくらいの、大きなスケールのサンゴ礁地帯。白や青や緑やオレンジ。なぜあなたはそんなに蛍光色なの、と海の中で思わずしゃべってし

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海沿いの風が通り抜ける場所で【オーストラリア・ケアンズ】

海沿いの風が通り抜ける場所で【オーストラリア・ケアンズ】

海から吹く風が気持ちよくて、今日はこの席で仕事をしよう、と決める。

3日歩いて、やっとお気に入りの場所を見つけた。きっと今日から、私はここで仕事をするはず。(まぁ明日明後日はこの街にいないんだけど)

別に、ケアンズにいるからって遊ばなきゃいけないわけじゃない。というか、遊びたいんだけど、もちろん海に潜ったりして遊ぶんだけれど、毎日遊んでばかりはいられないじゃない? 

だって私は、この暮らしを

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3ヶ月ぶりに見る、海外の空【オーストラリア・ケアンズ】

3ヶ月ぶりに見る、海外の空【オーストラリア・ケアンズ】

遠くに沈みそうな夕陽を見ながら、新しく買ったカメラ「SONYα7Ⅱ」をいじって、後ろから聞こえてくる音楽に耳を傾ける。

いつだって、海沿いの街がすきだ。どうしてだろう? 一応、海がある街で生まれたはずなのに。

山もすき、川もすき。けれどやっぱり、海がすき。

じっとそこで、音楽を奏でるひとたち。干上がった地面とコントラストをなすように潤う海。見ながら、やっぱりみんな音楽に耳を傾けていた。

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きちんと帰ってくるために、もう一度私は旅に出る【日本→オーストラリア・ケアンズ】

きちんと帰ってくるために、もう一度私は旅に出る【日本→オーストラリア・ケアンズ】

やっと、やっとまた旅に出られる。ほっとしたような、特に何も思わないような、不思議な感覚で出発の当日を過ごす。

朝目が覚めたら、弟の家だった。となりで眠る、3つ下の男の子。お姉ちゃん、変でごめん(笑)と寝顔に言って、もう一度眠る。(私は弟がだいすきなのだ、あまり会わないけれど。だって兄弟ってすばらしいから)

さいごの日まで、やることは少し残っていた。大切なひとに会ってランチをして、東京に置いてい

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