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ついに行くのだ、憧れの場所へ【オーストラリア・エアーズロック】

飛行機の上。一面に広がる空の青。空と地面の境目に、濃くてぼやける緑。手前に近づくに連れて、段々と乾いていく大地。色は赤。そして最寄りの眼下は黄色に近い黄土色。

なんて色のグラデーションなんだろう、と思いながら流れていく景色を見ていた。

こんなに乾いた大地は、見たことがなかった。なんだこれ。ケアンズ、ゴールドコーストと海沿いを南下しながらやってきた。ここへきてシドニーを経由して、オーストラリアの大陸の中心、アウトバックと呼ばれるエリアへ向かう。海から、中心部へ。

乾いていく、という表現が本当にぴったりだった。大地が、乾いていく。

気温もきっと、上がっていく。ケアンズは30℃、ゴールドコーストは25℃ほどだった。シドニーは、それよりもう少しからりとしていた。アウトバックは、35℃だ。

インドを訪れたときも、それくらいの気温をしていた。日によっては、40℃、50℃。「あぁきっと、この気温であれば人は死ぬこともあるんだろうな」と思う、殺意を感じる暑さだったことを覚えている。

なんて広い国なんだろう、と改めて飛行機の窓の外を見て思う。

フライトは、シドニーからで3時間半。日本との時差はシドニーは2時間なのに、アウトバックは30分に減る。今朝、私はゴールドコースト空港を経由してシドニーで乗り換えたのだけれども、その時の時差は1時間だった。

なんだ、これ。ともう一度思う。時間も、気温も、移動する度にころりころりと変わっていく。

変わらないのは、ここがオーストラリアという同じ国で、第一言語が英語だ、ということくらいだった。

じゃあ私は、と思う。何が変わっているんだろう。旅をして、移動をして。

どうやら何も変わっていないようにも思えた。それでいいんじゃないかって今は思う。半ば開き直るように。だってもうきっと、人生で2度と同じようなスタイルの旅はできない。

またきっと旅には出るけど、こんな風に気ままに、長く、お金に糸目を付けずに(いや気をつけているけれど)自由に、どこへでも。仕事をしながら、けれど仕事は少し落ち着いていて。家族は元気で日本にいて。

きっともう、こんな日々は2度とないのだ、と思って私は毎日を過ごしている。

この旅を、もっときちんと形に残したほうがいいとか、もっとお金に変わる形でとか、いろんな話があると思う。けれどなんでだろう、私は今ので精一杯だし、これ以上今は手が動かなかった。

乾いていく大地を、ずっと見ていた。見渡す限りの広い空に、はぐれ雲がいくつかあった。なんでそんなところにひとりでいるの、と言いたいくらい小さな雲たちが、けれど途切れずにまばらに空に浮かんでいた。

地面に、濃い影を残して。そうだ、雲だって影をつくるんだ、と思いを馳せる。そして私は、その雲の影を陸で感じるのも好きだった。

オーストラリアに何をしに来たのかと言えば、多分過去の私の鎮魂だろうし、ミーハー心からだろうし、謎のコンプリート欲で、全大陸に行ってみたいというそれかもしれないし、けれど強いて言えば、一番はエアーズロックが見たいからだったろう。

旅に出られなかった過去の私への鎮魂【オーストラリア・ブリスベン】|伊佐知美|note(ノート) 

久しぶりに、ぞくりとした。旅人なら分かるかもしれない。行きたい場所に、もうすぐたどり着くのだ、というあの感覚。

フライト時間は、けれどまだあと1時間は残っていた。これ以上、地面が乾いていく様を想像できない。そういえば私は、砂漠というものも見たことがなかった(鳥取砂丘ならある)。

エアーズロックへの旅は、ざっくり言ってめちゃくちゃお金がかかるみたいだった。なぜかと言えば、行くのだけでもチケットはまぁまあ高いのに、エアーズロック内を動くだけでも、基本的にはツアーに入るかレンタカーをするかのようで、しかも移動範囲は軽く20キロ、遠ければ300キロくらいのようだった。

まぁいいのだ。今回は、オセアニアを満喫しにきたのだ。エアーズロックリゾートから、アリススプリングスへと抜けて、パースへ。また数日、新しい土地で朝を向かえる日々が始まる。さて何をしよう? と、かばんの中にしまってあるMacBook Airを横目に、遊ぶ計画も立て始める。

※いや、砂漠見たことないって言ったけれど、もしかしてこれ、砂漠じゃない…?(調べたらシンプソン砂漠という砂漠でした。)


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