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「もう死にたいわ」と呟いた。
喫茶店「時々、雨」を始めてしばらく経ったが、なかなか商売として上手くいかず、どうしたものかと悩んでいた。
そんな時、一人のおばあちゃんが店を訪れた。
彼女は杖をつきながら、80代くらいに見える。
席につくなり、彼女は「ナポリタンはある?」と尋ねてきた。
僕はナポリタンを作り、お出しした。
彼女は信じられないスピードでそれを平らげ、「美味しいわ」「懐かしいわ」と微笑んでくれた。
食後、珈琲を飲み
この世界は苦味と甘みでできているのね
雨の日の喫茶店_____
「私、雨が好きなの。」窓を覗きながら君は言った。
理由を尋ねると、君は「なんとなく」としか答えなかった。
その曖昧な返事が君らしく、僕は少し微笑んだ。
喫茶店のテーブルに並んだ二つのカップ。
僕のカップはブラックコーヒー、君のカップには砂糖が二杯。
君はいつも
「この世界は苦味と甘みでできているのよ」と言っていた。
その言葉を聞くたびに、僕は少し胸が痛かった。
窓の