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あの時"逃げて"よかった

あの時"逃げて"よかった______


早いもので、5月で喫茶「時々、雨」を始めて2年が経ちました。
本当にあっという間の2年間でした。
何かを成し遂げたわけでも、特別な夢が叶ったわけでもありません。
ただ、気がつけば2年という月日が流れていたのです。
僕がこの喫茶店「時々、雨」という居場所を作るまでの経緯を少しだけお話しさせてください。

2年前、僕は28歳で適応障害という心の病気と診断されました。死ぬこと、どうしようもない怒り、不安、恐怖…毎日毎日、虚無感が襲いかかってきました。
約1年間、そんな状態の中で生きていました。

糸が切れた瞬間____

2022年の3月、
ある日の仕事中に小さな出来事がきっかけで、心の中の大きな糸がバチッと切れてしまいました。
突然、全てがどうでもよくなり、気がつけば職場を飛び出して国道沿いを歩いていました。
職場から何度も鳴る電話にも気づかず、ただひたすら歩き続けました。
気づいた時には家でうずくまっていて、次の日には会社を辞めていました。

8年間も勤めた会社ですが、辞める時はあっという間でした。
「自分がいなくては回らない」
「たくさんの人に迷惑がかかる」
「良くしてくれた人たちに申し訳ない」
といった思いも、辞めてみれば全くそうではありませんでした。
辞めるのも電話一本、後日送られてきた書類に少し記入するだけでした。
自分が辞めても会社は回るし、3日も経てばみんな忘れていきました。

あっけないものです。

解放の瞬間_____


会社を辞めた瞬間、
胃の奥底から大きな塊が抜けたように体が軽くなり、大きな安堵感に包まれました。

今まで何を躊躇していたのだろうか。

変な責任感は、自分が必要とされていると思い込みたかっただけだったのでしょう。

そんなものさっさと捨ててしまえば、
もっと早く楽になれたのに。

今の僕ならそう思えますが、
当時はそう簡単には思えません。

それが正しいとも言えません。

ただ、今の僕が言えることは、 

あの時"逃げて"よかったということです。

もう僕は自分を指差して責めることはしません。

あの日、僕に土下座していた僕はもういません。

今、心の底から思えるのは、
あなたの日々は間違っていなかったのだと。

喫茶「時々、雨」____


会社を辞めてしばらくは、何をするべきか、何がしたいのか全くわかりませんでした。

しかし、心の中にぽっかりと空いた穴を埋めるために、自分自身を見つめ直す時間を持ちました。

そんな中で、心が休まる場所、誰もが安心して過ごせる居場所を作りたいと思うようになりました。

そうして生まれたのが、喫茶「時々、雨」です。この場所は、僕にとっても、訪れる人々にとっても、心の雨宿りができる様なそんな場所。
雨が降る日も、晴れる日も、どんな日でもここに来れば少しだけ心が軽くなる。
そんな場所を目指して、日々過ごしています。


あの時"逃げて"よかった。
そう思える日々を過ごせている今、
これからも喫茶「時々、雨」で、
皆と共に穏やかな時間を生きていきたい。
あなたの日々も、決して間違っていません。
自分自身を責めず、時には「逃げる」ことも必要だと。

そして、その選択をいつか笑える日まで。

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